1月 282011
 

科学研究費補助金(科研費)の監査結果の通知書が配布されてきた.

科研費というのは,いわゆる競争的研究資金であり,大学に所属するほとんどの研究者が応募する国内最大級の研究資金である.1件あたり数百万円から数億円まで規模は様々だが,日本の大学における研究を語るには,避けては通れない資金源である.

大学に縁のない人達もニュースで耳にすることがあるように,ごく希にだが,研究費を不正使用する馬鹿がいる.そうすると,無策であることを批判されないがために,もっと規則を厳格化しましょうという保身派の意見が通り,研究費が使いにくくて仕方がない状態に陥っていく.実際,ふざけるな!と怒鳴りたくなるような規則に事欠かない.

ちょっと具体例を挙げてみよう.

研究の遂行に不可欠なソフトウェアが欲しいとする.数値流体力学(CFD)のソフトでも,汎用数値計算のソフト(MATLAB等)でも,何でもいい.これらを科研費で購入しようとすると,拒絶される.なぜか.それは,例えばソフトウェアのライセンス期間が1年であると,7月に購入したソフトウェアを年度末(3月末)に使い終われないからだというのだ.つまり,ライセンスが年度末を超えて有効だから,年度末までに使い切らないといけない予算(科研費)では購入してはならないと言われるのだ.

いやいや,そのソフトウェアを購入するために科研費を申請して(申請書にそう書いてある),しかも採択されているんですけど...

そんな理不尽なことを言うなら,4月1日から予算を執行できるようにして欲しい.そうすれば,4月1日から3月31日まででライセンス契約をするから.ところが,大学の研究予算は4月,5月頃にはほとんど使えない.特に,今のように国会が役立たず状態の時にはそうだ.

配布されている監査結果通知書には,こんな例が記載されている.

最終年度の課題で,無期限ライセンスのソフトが購入されていた.(返還)

3年間サポートされるウィルス対策ソフトが購入されていた.(返還)

最後の(返還)というのは,使用した研究費を返還させられたということだ.しかし,必要なソフトを購入して一体何が悪いというのか.まったく馬鹿馬鹿しい.

ちょっと想像してみて欲しい.例えば,実験で必要な試験管を購入するとしよう.試験管に有効期限なんて書いていない.しかし,だからと言って,購入したらダメだとは言われないだろう.7月に買って,試験管が3月末に割れる保証なんてない.それでも,今年度の予算では買えませんとは言われないだろう.どうしてソフトウェアだけが差別されるのか.

普通の常識人は,こんな規則を妥当と思うだろうか.規則を作っている人が無知としか思えないのだが...

まあ,これが大学の研究費の実態です.これで生産性を高めろと責め立てられるのだから,何のことやら.

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>