2月 052011
 

成長するティップス先生 − 授業デザインのための秘訣集
池田輝政,戸田山和久,近田政博,中井俊樹,玉川大学出版部,2001

建前では,大学の教員は教育のプロということになっているが,新米教員に教授法を伝授する制度は存在しない.最近になってようやく,日本にもFD(Faculty Development)なるものが輸入され,大学教員の教育能力を高めるために組織的に取り組む必要があるという話になってきたが,相変わらず素人が教育を引き受けているというのが実態だろう.私だって,講義はこうすべきだなんて教えてもらったことはない.

しかし,実態がそのようだからと言って,教育能力の向上に無関心な教員ばかりというわけでは決してない.非常に能力の高い人もいれば,非常に能力の低い人もいる.問題は,低い方をなんとかする仕組みがないことだ.だから,昔は,講義中ずっと黒板の方を向いて,独り言をつぶやいている先生なんかがいても許されていたわけだ.流石に,今,そんな講義をしていたらダメだとは思うが.

本書「成長するティップス先生」は,名古屋大学で作成されたウェブ版ティーチング・ティップス(講義改善の秘訣集)をベースに,他大学でも利用できるように一般化したものである.講義をよりよくするための様々なアイディアが盛り込まれている.ほとんどは当然のこと(少なくとも私にとっては)だが,大学で講義を担当するなら,目を通しておく価値はあるだろう.参考になる指摘もあると思う.

目次

授業日誌編

  • 開講が気になりはじめた
  • 開講が迫ってきた
  • 授業が始まった
  • 試行錯誤の毎日
  • ゴールが見えてきた

授業の基本編

  • コースをデザインする
  • 授業が始まるまでに
  • 第1回目の授業
  • 日々の授業を組み立てする
  • 魅力ある授業を演出する
  • 学生を授業に巻き込む
  • 授業時間外の学習を促す
  • 成績を評価する
  • 自己診断から授業改善へ
  • 学生の多様性に配慮する