2月 152011
 

修士論文発表会や卒業論文発表会の時期がやってきた.当研究室の学生もスライド作成に励んでいる.

学部4回生が頑張ってくれたおかげで,研究開始時点での予想を超えて非常に良い結果が得られた研究もある.その成果を卒論発表会で発表してもらうわけだが,卒論研究としての完成度は高いため,あとは,いかに研究成果を魅力的に見せるかが鍵となる.

学生が企業等に就職してからのことを考えても,良い主張なら通るというような妄想は捨てた方がよいだろう.目立たないもの,理解できないものは採用されるはずがない.だから,常日頃から,きちんと書け,うまく発表しろと散々言っているわけだ.

さて,問題は,どのような発表用スライドを作成すればよいのかだ.学会発表や論文執筆のアドバイスは既に示してあるが,発表用スライドについては言葉で説明されるだけではピンと来ないのかもしれない.実際,ダメ出しをくらうようなスライドを作成してしまう学生が後を絶たない.

そこで今回は,具体例を示すことにしよう.発表用スライドのビフォー・アフターだ.スライドは2枚ある.実際に学生が卒論発表用に作成したスライドがオリジナル(上側)で,私の指摘を受けて変更されたものがチェック後(下側)だ.これからスライドを作成するという人は,じっくり見比べて欲しい.その上で,自分なりのスライド作成方法を編み出して欲しい.

では,1枚目のスライド.

卒業論文発表会用スライド1(オリジナル)
スライド1(オリジナル)

卒業論文発表会用スライド1(チェック後)
スライド1(チェック後)

オリジナル(上)の問題点は,箇条書きにすべきとは思えない項目を全部箇条書きにしていることだ.恐らく,最適会で読むように指示した「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」を読んでいないのだろう.読んでいたら,恐ろしくて,箇条書きなんて使えないはずだ.しかも,ひたすら文章を読ませるスライド構成になっている.何がポイントなのか一目でわからないし,スライドの構造もわからない.さらに,話す順番で書いているために,同じ言葉が繰り返しスライドに登場している.明らかに無駄だし,聴衆の利益ではなく,自分の都合が優先されている.

上記のポイントに注意して修正したのが,チェック後(下)だ.スライド中の文字数は減っているが,情報量は変わっていない.全体的にスッキリした印象になり,図中の文字も大きく読みやすくなっている.

次に,2枚目のスライド.

卒業論文発表会用スライド2(オリジナル)
卒業論文発表会用スライド2(オリジナル)

卒業論文発表会用スライド2(チェック後)
卒業論文発表会用スライド2(チェック後)

オリジナル(上)は,書かないといけないことは書きました,以上終わり,こんなスライドだ.とにかく見栄えが悪い.まず,一行目を読んだ聴衆は,自力でタンディッシュを探して右下に視線を移動しなければならない.さらに二行目を読んで,今度は中央下だ.なぜ,上→右下→上→中央下という,こんな視点の移動が必要なのか.スライドが悪いからだ.それに,式も見にくい.何を主張したいのか,それもはっきりしない.

上記のポイントに注意して修正したのが,チェック後(下)だ.箇条書きが消滅し,スライドらしくなっている.

スライド作成も学会発表も,努力しないと上達しない.頭を使わないと上達しない.練習しないと上達しない.決して手を抜かないことだ.そうすれば,いずれ報われるときがくる.

なお,スライドは発表をサポートする道具に過ぎないことを肝に銘じておくように.肝心なのは,スライドではなく発表だ.声が小さい,早口,あ〜,え〜を連発する,時間超過,そんな発表は最低だ.いずれも練習で正せる.それができていないということは,努力不足でしかない.そんな発表を聞く価値はないだろう.もちろん,教員として学生の発表は聞かなければならないが,それが学外での発表なら誰も聞きはしない.

  2 Responses to “卒業論文修士論文など発表スライドの作り方”

  1. [...] Chase Your Dream ! ? 卒業論文修士論文など発表スライドの作り方 blog.chase-dream.com/2011/02/15/1187 – view page – cached [...]

  2. […] 関連するすべての記事が上のURLでまとめられていますが、特に加納さんのブログChase Your Dream!の中の卒業論文修士論文発表会でのプレゼン方法・卒論修論発表に向けて: スライドと原稿作成のアドバイス・卒業論文修士論文など発表スライドの作り方の3つの記事は読んでおきたいところです。 […]

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