2月 272011
 

老子
老子(著),蜂屋邦夫(訳),岩波書店,2008

タオ―老子」(加島祥造,筑摩書房)を読み,老子の言葉をそのまま読んでみたいと思ったので,岩波版の本書を手にした.正直,難しい.私ごときでは,まだまだ老子は理解できない.体得できないどころか,頭でもわからないところが多い.それでも,いくつか引用してみる.

善人は不善人の教師であり,不善人は善人の手助けである.その教師を貴ばず,その手助けを愛惜しなければ,どんなに智者であっても,たいへんな愚か者である.このことを,玄妙な道理という.(第二十七章)

剛強なあり方を知りながら,柔弱の立場を守っていくと,世の中の人々が慕いよる谿となる.世の中の谿となれば,恒常の徳は身から離れず,純粋な嬰児の状態に立ちかえる.賢明なあり方を知りながら,暗愚の立場を守っていくと,世の中の人々が仰ぎみる模範となる.世の中の模範となれば,その身は恒常の徳と違わず,極まりなき道の世界に立ちかえる.栄誉あるあり方を知りながら,汚辱の立場を守っていくと,世の中の人々が慕いよる谷となる.世の中の谷となれば,恒常の徳はその身に満ち足りて,素朴な樸の状態に立ちかえる.(第二十八章)

わたしには三つの宝があり,しっかりと保持している.第一は慈悲,第二は倹約,第三は世の中の人々の先頭には立たない,ということである.慈悲深いから勇敢でありうるし,倹約であるから国が広くなりうるし,世の中の人々の先頭には立たないから万人の長になりうるのだ.(第六十七章)

すぐれた武将は猛々しくない.すぐれた戦士は怒りに任せない.うまく敵に勝つ者は敵とまともにぶつからない.うまく人を使う者は,彼らにへりくだる.これを争わない徳といい,これを人の能力を使うといい,これを天に匹敵するという.むかしからの最高の道理である.(第六十八章)

全体を通して,無欲であることを良しとする意識が強いと感じられる.恐らく,禁欲ではなく,無欲だ.

それに,水が良いものの喩えとして再三登場する.柔弱だが剛強に勝ち,低いところを好む.云々.

目次

  • 老子(第一章から第八十一章)
  • 解説

  5 Responses to “老子”

  1. 三国時代の劉備評である「語言少なく、善く人に下り、喜怒は色に形わさず」という言葉
    (陳寿,三国志 [書き下し文の出所:宮城谷昌光,中国古典の言行録,文春文庫,1996])
    と今回の老子の教えのまとめを読み,共通点を感じました.
    老子の述べた「怒りに任せず」,「人にへりくだる」という事は重要だと改めて認識しました.
    もう少し実践できるように頑張ります.

  2. Ishitobiさんはまだ若い.この時期,周囲の人間は全員,馬鹿に見えるのではないですか.全力で研究していると,そういう時期はあると思います.私もそうでした.それでも,世界トップクラスの研究者と交流して,世の中には凄い奴らがいるものだと認識を改めました.ただ,日本に籠もっていたら実感できないのではないかと思います.

    私など,人の前に出たがるし,口先だけで勝負してるしで,老子の教えの対局にいるのではないかと思います.40歳にもなってこの為体ですから,情けない話です.

  3. 余談ですが,先日,テレビで「レッドクリフ」を見ました.
    様々な本や漫画,人形劇で自分なりのイメージを作り上げていたので,
    かなり違和感がありました.

  4. 昨年に国際会議で発表する機会を頂いたのですが,発表や会食中の雑談も含めて一流の研究者の方々には圧倒されました.将来的には,是非,機会を得て海外で学びたいと思っています.まだまだ力不足で相当な努力が要求されますが...

    ...

    レッドクリフについては残念ながら私も良い印象は持ちませんでした.
    赤壁の戦いの直前期に劉備が「大事を済すには必ず人を以って本と為す」と言うところは,どのような作品でも感動します.このような思想・信念を持つ人についていきたい(+自分もかくあるべし)と思います.

  5. 私はミーハーなもので,出師表とかが好きです.
    忠や義は人間の基本だと思いますし.

    国際会議では良い経験をしましたね.
    強い想いを持って,是非,海外で学ぶことを実現して下さい.

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