3月 022011
 

エリートの条件―世界の学校・教育最新事情
河添恵子,学習研究社,2009

インド,トルコ,エジプト,スペイン,アメリカ,カナダ,台湾,中国,シンガポール,ノルウェー,ペルー,ロシア等々,驚くほど様々な国や地域のエリート教育事情が紹介されていて興味深い.また,エリートとは言っても,勉学一辺倒ではなく,スペインのFCバルセロナの下部組織に所属する子供たちの話や,ロシアのクラシックバレー,カナダのアイスホッケーの話があるなど,かなり幅がある.しかし,盛り沢山なだけに,掘り下げが足りないように思う.英米のボーディングスクールに関する記述も非常に少ない.まあ,これは他書を参照しろということだろう.

本書全体を通して明らかになるのは,エリート教育というからには,1)少なくともバイリンガル教育(母語+英語)は当然であり,トリリンガル教育も珍しくはないこと,2)幼児期からの英才教育が普通であること,3)多額の教育資金が必要なこと,などである.さらに,様々な国における(エリートに限らない)教育と日本における教育とを対比させることで,日本の学校教育の特異性が明らかになる.例えば,日本以外の国々では,ことあるごとに国旗を掲揚し,国歌を斉唱するのは当然である.ことあるごとどころか,日課になっている.ところが,日本では卒業式ですら国旗掲揚や国歌斉唱をしなかったりする.これでは国が衰退するのも当然かと思える.

目次

  • 世界標準の「エリート教育」とは何か
  • 世界の未来を予測する教育環境
  • 国家戦略とエリート教育
  • 早期バイリンガルは世界の常識
  • IQだけではないトータルバランス
  • 日本のエリート教育は再生できるのか?