3月 052011
 

1泊2日の工場見学に引率教員として参加し,JFEスチール株式会社に用意していただいた宿泊施設で,学部3回生と朝3時過ぎまで話し込んだ.話題はあちこちに飛び跳ねていたが,いくつかポイントをまとめておこう.

道徳や倫理,人間としての基本

何も難しいことを考える必要はない.他人に迷惑をかけるようなことはするな.これが第一段階.遅刻するなというのも第一段階.実に簡単なことだ.これもできずに偉そうなことを言っても誰も共鳴しないだろう.

人間らしくあれ.これが第二段階.これは簡単ではないかもしれない.人間らしいとはどういうことかということから考える必要がある.自分で答えを探せ.

京都大学のぬるい実態

文句はあるだろう.自分がそうだっただけに,大学に失望するという気持ちも分かる.だが,自分自身以外のものに失望したからと言って,自分の人生に責任がなくなるわけでも,自分の人生を粗末に扱ってもよいわけでもない.環境に文句を言うのは誰でもできる.テレビに登場するのも,そんな評論家気取りばかりだ.しかし,環境や他人に文句を言うのは建設的な態度ではない.いつまでも同じレベルに停滞するだけだ.京大の現状に文句を言ってる奴は,その京大と同レベルだということだ.

文句を言う暇があるなら,自分を成長させろ.自分を磨け.自分がレベルアップすれば,環境もレベルアップする.他人を変えることなんてできない.変えられるのは自分だけだ.自分も変えられないのに,他人を変えられるはずがない.

大学院修士課程への進学

折角,京都大学工学部に進学したのだから,事情が許すなら,少なくとも修士課程までは進学するのがよいと思う.残念ながら,3回生までは高校の延長でしかなく,研究に触れられるのは4回生からだ.しかし,4回生の1年間では研究のいろはも実感できないうちに卒業することになるだろう.特に学部卒で就職する場合には,就職活動に時間を割くのだから尚更だ.それで理系と名乗ってもらいたくはないというのが正直なところだ.

さらに言うと,国際的には修士という学位にはほとんど何の意味もないことを知っておいた方がよい.専門家としての敬称はProf.やDr.である.つまり,博士であることが条件である.修士はMs.やMr.でしかなく,素人とみなされるのであって,Dr.のように別格扱いはされない.

海外の教育事情について少し話をしたが,中国,インド,韓国,台湾,シンガポールなどでは,日本の何倍,何十倍という学生が欧米でPh.D.を取得している.グローバル化・フラット化する社会で競争相手となるのは,そういうバイリンガル以上の高学歴な連中だ.日本のぬるい大学や大学院卒ではない.

今やるべきことは勉強

将来やりたいことがある学生も,まだない学生もいる.しかし,いずれにせよ,今やるべきことは勉強だろう.それが大学生の使命だからだ.目の前のやるべきことさえやれない人間が,偉そうに将来のことを語っても誰も聞く耳を持たない.大志を胸に抱き,その実現に向けて,目の前にある為すべきことを成し遂げろ.その一歩一歩が次に繋がるのだから.

仕事も同じだろう.与えられた小さな仕事に全力を尽くせないような人間に,大きな仕事は与えられない.

もしも,今やるべきことは勉強だと思えたなら,まずは大学院入試の勉強を真面目にやることを勧める.20歳の今からの5年間が勝負だと思え.そこで学んだことが自分の人生の基盤になると思え.そこでどれだけ全力を尽くしたかで人生が決まると思え.

就職

京都大学で化学工学を学んでいるのだから,就職なんて全く心配する必要はない.3月になった時点で,高々30名程度の学生に対して130社から求人が来ている.もちろん,そんな学校推薦を利用せず,自由に就職活動をしても構わない.むしろ心配なのは,自分がどのように生きたいのかを考えていないことであり,今やるべきことに全力を尽くせていないことだ.

目標

とりあえず,何でもいいから,具体的な目標を立ててみたらどうだろう.例えば,大学院入試に向けてTOEIC800点以上とか.数年前の私のように読書年50冊とか.資格を取るというのもいいだろう.重要なのは,目標が具体的である(成否を検証できる)ことと,期限を決めておくことだ.期限のないものは達成されない.

おわりに

プロセスシステム工学研究室に配属されることになり,幸か不幸か私のグループに入ることになる人,よろしくね.

  2 Responses to “夜中に話し込んだ3回生へ”

  1. ご無沙汰してます、yoshikです。おかわりなく、”熱い”ですね。

    さて、ボクとして加納先生に補足させてください。
    目標を持て、というところ。実はボクは「目標は持たない方が良い」なんてことを主張する人間なのですが、それはさておき、「目標を持つ」ことについて補足させてください。

    目標の前に、「目的」や「軸」が必要だと思っています。自分として将来どんなことがしたいのか。それが分からないなら、もう少し短いスパンで、学生として卒業するときにどういう人間になっていたいか。そのいわば「今の学生としての目的」を設定した上で、「目標を設定する」というプロセスが大切ではないかと思います。
    設定する目標自体は何でもいいと思うのですが、それが「自分が描くもの」に沿っているかどうかで達成度は大幅に変わると思うのです。

    企業でいわば、「ビジョン・ミッション」が目的であり、それにどう向かっていくかという「戦略」があるわけですね。(ちょっと説明はしょっていますが)

    ちょうどここら辺と関連するような文を、最近ブログに書いているので久々にコメントさせていただきました。

    あと、ちょっと身辺で動きがあり、また別途報告いたします。

  2. ご無沙汰してます!
    いや,仰る通りだと思います.
    私は1回生相手に毎年,「20年後,30年後に,どうなってたいんだ? それがイメージできないなら,卒業するときにどうなってたいんだ? それも考えずにボーッとしてると何もできずに大学4年間が終わるぞ!」と言っています.恐らく,この4月にも言うでしょう.でも,これが結構難しいのですよね.

    一方で,本当に今を大切にできるなら,別に目標なんて不要だとも思います.

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