3月 112011
 

プロフェッショナルの言葉
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班,幻冬舎,2010

プロフェッショナルなるものについては,先日,「国際派プロフェッショナルなんて目指す価値があるのか? あるとしたら,なぜ?」にも書いたが,本書「プロフェッショナルの言葉」を読んで,やっぱりプロフェッショナルであることは物凄く大変なことだと思う.よくもまあ,そんな大変な道をみずから歩む人がいるものだ.しかし,だからこそ,人を動かすことも,人に感動を与えることも,自分の生き方に誇りを持つこともできる.苦しさから逃げていたのでは,それはかなわない.

本書「プロフェッショナルの言葉」には実に様々な分野のプロフェッショナルが81人登場する.彼らの言葉のいくつかをメモしておこう.

大学教員として「社会貢献」を旗印に掲げる私だが,広い視野で世界を見るようにしたい.

進藤奈邦子 WHOメディカルオフィサー

私の仕事は自分のためだけでない,人類のためなんだと,奮い立たせているんです.

もちろん,自分のためであってもよいのだが,それだけでは,しょうもない.「人類のため」と言えるのは凄い.

研究者としては,逃げ出さないでトコトン突き詰めていく根性がとても大切だ.それができないなら,ろくな研究はできない.

吉岡徳仁 工業・空間デザイナー

突き詰めて突き詰めていけば,どこかにこれだ!と思えるアイデアがあるんです.そう信じて進むことが,仕事なんです.

どうしても自分で考えないといけない.つい最近,「京都大学入試問題が試験中にネットに投稿された件: いっそのこと合格通知をオークションにかけるか」にも書いた事件が世間を騒がせたが,自分で考えることを放棄するようでは大学に行ってもダメだろう.

大瀧雅良 高校教師・サッカー部監督

教えてもらったものは身につかない.いざ勝負というときに,何か教えてと頼ってくる.逆に自分がつかんだものは,どんなときも忘れません.

大瀧氏は「なぜ自分で考えないのか」と叱るそうだ.確かに,それが肝心なところだ.

3月になって,いよいよ就職活動・採用活動が本格化してくる.「夜中に話し込んだ3回生へ」にも書いたが,大卒の就職が厳しい,もはや学歴は関係ないと言われる昨今でも,京都大学大学院の看板は強い.しかし,大企業に入ればやりたいことができるなんてことはないし,そもそも,やりたいことがわからない学生も少なくない.

鈴木成一 装丁家

その仕事に向いているかどうかは,世の中の方がよく分かってる.適職なら次の依頼が来る,来ないなら,その仕事には向いていない.

さらに,もはや大企業なら安泰なんてことすらない.このグローバル化・フラット化する世界のなかで,過去を引き摺る大企業の方がむしろ弱いかもしれない.

坂本幸雄 経営者

社長が社長室にこもって長期戦略ばかり考えているなんてあり得ない.現場を知らずに,長期戦略なんて立てようがない.

最後に,その世界観とアニメーションのファンである監督の言葉.

宮崎駿 映画監督

やんなきゃいけないところに自分を追い込んで,どれだけ粘れるか.理由や言い訳は幾らでもある.ヘボが作る映画は,ヘボなんだよ.

ちなみに,本書「プロフェッショナルの言葉」中で紹介されている監督の言葉は「理想を持った現実主義者にならないといけない.理想もない現実主義者なら幾らでもいるんだよ」というもの.でも私には上記の言葉の方がインパクトがある.そう,できない理由なんて誰でも思い付ける.そんな理由に興味はない.

目次

  • プロフェッショナル81人の言葉と,担当ディレクターによるエピソード.