6月 012011
 

夢と才能を育てる究極の脳力開花 七田式「魂の教育」
七田眞,講談社,2009

ちょっとした契機があり,右脳教育について勉強してみることにした.恐らく色々な流派があるのだろうが,最初に「七田式」という名前を聞いたので,手始めに七田式右脳教育の本から読んでみることにする.

いつものようにネットで調べてみると,物凄い数の七田式教育に関する本がある.とりあえず3冊ほど図書館で予約した.そして最初に手にしたのが本書「七田式「魂の教育」」だ.何と言ってもタイトルが凄い.「魂の教育」だ.

ところで,七田式右脳教育とは何か?本書には次のように書いてある.

親自身が自分の生き方を問い,身をもって子どもの夢を育み,親子ともに自分を活かして人の役に立つという夢を,具体的に実践し目覚めていくことが大事です.これは競争原理の教育ではなく,共生と感謝と貢献の気持ちで人生を送る教育です.これを伝えたいのが,七田式右脳教育の核心なのです.

素晴らしい.私の価値観とも合致している.だからこそ,読むことになったのだとも言える.本書で解説されている七田式右脳教育は主として幼少期の教育,あるいは子育てを対象にしている.しかし,他書を読めばわかるが,その能力開発方針はまさに引き寄せ系そのものだ.つまり,思考(イメージ)は現実化する,の世界.

ともかく,夢や志に重きをおく姿勢には強く共感する.

子どもたちに夢,志を持たせなければいけません.そのためには子どもたち一人ひとりに個性を磨かせ,夢,志を育てて,将来世に貢献する,人のために尽くすという魂の磨き方を教えましょう.

夢とは「自分を最大限に活かして,人々の役に立つこと」を人生の究極の目的とするということです.

人の役に立ちたいという思いは,志という言葉で表すことができます.志を高く持ち,それに向かって不断の努力を続けることで人間が練れ,魂が磨かれ,人間としての器が大きくなっていきます.志が大きいほど大きく伸び,良い運もつきます.

人のために尽くすことを,徳を積むといいます.徳を積むと気が高まり,魂が磨かれ,運も高まります.

大事なのは,夢と我欲を取り違えないことだろう.ハーバードビジネススクールで教鞭を執るリチャード・ヴィートー教授はその著書「ハーバードの「世界を動かす授業」」で「日本は初等教育と中等教育がとても優秀」と言ってくれているが,決してうまくいっていないと思う.なぜなら,京都大学新入生が「夢は金儲け」と恥じることなく言ったりするのだから.

ともかく,夢や志を育てる教育をするなら,教育者もそれに相応しい人間でなければならない.優れた教育者である吉田松陰や新渡戸稲造らも同じことを言っている.そう,魂の教育だ.

知能ではなく品格が,頭ではなく魂が,骨折って発達させる素材として,教師によって選ばれるとき,教師の職業は聖なる性格をおびる.

新渡戸稲造「武士道」

学を言ふは志を主とす.

士に貴ぶ所は徳なり,才に非ず.行なり学に非ず.

吉田松陰「講孟劄記」

しかし,夢や志を持つことが重要だとして,一体どうすれば夢や志を持つことができるのか.本書「七田式「魂の教育」」にはこう書かれている.

賢く生きるには,生きる知恵が必要です.本当は賢く生きるための教則本が必要なのです.戦いに兵法の書が必要であるように,人生をいかに賢く生きるか,生き方の本が必要です.

そのような本として,中国には『論語』があり,西洋には『聖書』があります.それらの書によって,人としていかに生きるかを学ぶことが,夢,志を大きく育てる近道です.

一斎の「言志四録」は,坂本龍馬,勝海舟,西郷隆盛たちによって座右の書として読まれた究極の人生指南書といわれます.

ここにも強く共感する.良書を読むことは大切だ.だから,自分自身が読むように努めると共に,学生にも読書を繰り返し繰り返し強く勧めている.

最初に述べたように,本書は子育てについて書かれている.当然ながら,母親の重要性が指摘されているのだが,父親の役割も記されている.父親としては見過ごせない.メモしておこう.

父親が心の教育に関わると,子どもの気持ちの面での発達が際立って良くなります.父親が子どもの心の動きを把握していて,問題解決に手を貸そうとすると,学校の成績が良くなり,協調性に富むようになります.その反対に,厳しく批判的で,家のことをあまり顧みず,子どもの気持ちには疎い父親の場合は,深刻な悪影響が及ぶ可能性があるのです.

父親は尊敬される人間でいるように努めましょう.父親は,仕事から帰ったら,妻に声をかけるより先に子どもに目を向け,「ただいま」と言ってあげましょう.すると子どもは,「お父さんは,まず自分に目を向けてくれた」と思って,父親に対する深い「愛」と「敬」の念を育てます.

私は決して良い父親ではないなと反省する.子供たちには誠に申し訳ない.こんな父親を選んで生まれてきてくれたことに感謝するばかりだ.

さて,育児に関して大切と書かれていたところもまとめておこう.

いちばん大切なのは,生まれた赤ちゃんをしっかり抱いて,愛情のこもった言葉をかけること.これがこの先何年も続いていく,子育ての基本です.七田式では,これを「愛情をかけて,手をかけて,言葉をかけて,ほめて育てる」と,「四つの『て』」という標語で,子育ての要を簡単に説いています.

子育てでいちばん大切なことは,勝手な基準を設けたり,よその子と比較したりせずに,わが子をそのまま受け入れるということです.

人間にとっていちばん重要なのは,自分の人格を高める生き方を志すということを教えたいものです.

本書「七田式「魂の教育」」には具体的なアドバイスも書かれている.その1つに「八秒間の強い抱きしめ」というものがある.

子育てに問題を感じているときは,子どもが親の愛を求めているしるしです.そんなときは,「八秒間の強い抱きしめ」をしてみましょう.これは子どもを八秒間ほど強く抱きしめて,子どもの耳に「○○ちゃんのことをママは大好きよ.○○ちゃんはママの宝よ」とささやくだけです.すると,すっと愛情が伝わり,子どもの心に芽生えていた「親に愛情を伝えてもらっていない」という不満がいっぺんに解消されます.そして,問題行動もきれいに消えてしまうでしょう.

子育てにおいてはスキンシップが大切だとよく言われるが,スキンシップと言われても具体的にどうするのがよいかわからないとうい親には参考になる.

この他にも,例えば,「五分間暗示法」というものも紹介されている.

「五分間暗示法」とは,子どもが寝入った後,さすりながら耳元で母親の愛情を伝える方法です.「○○ちゃんのことが大好きよ.このごろ赤ちゃんのことにかまけて,あなたに手をかけてあげられなくてごめんね」と謝り,子どもに母親がその子を忘れているのではないこと,しっかり愛情を持っていることを伝えるのが,とても大事です.この方法は,子どもの無意識の心に,親の愛情を伝えることができます.ここで大切なのは,まず「あなたに手をかけてあげられなくてごめんね」と謝りの言葉を最初に言うことです.

なるほど,こんな方法もあるのかと感心させられた.

本当の学問は,就職や立身出世のためではなく,窮して困ったときでも,心憂えず,禍福吉凶を知って,心を迷わせないようにすることを学ぶことです.そうして,内面的な心の安らぎを得,それを外に発して自己を捧げて,世のため人のために尽くすことを学ぶのが,本当の学問なのです.

人間にとっていちばん重要なのは,自分の人格を高める生き方を志すということを教えたいものです.

全くその通りだと思う.ここまで共感を持って読む本も珍しい.七田式右脳教育の本質を勉強してみる価値がありそうだ.

目次

  • 教育の基本とは愛情
  • 一人ひとりの能力の開花をめざす
  • 人生の夢に目覚める魂の教育をしよう
  • 子どもを伸ばし、夢を見つける育て方
  • みんなが人のために尽くすリーダーに

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