7月 072011
 

京都大学工学部工業化学科化学プロセス工学コースでは,4回生に「プロセス設計」というプロジェクト科目の履修が課されている.3回生までに学んだ内容を総括する意味があり,化学工学その他に関する知識を総動員して,2~3人でチームを組んで,自分たちで選んだ製品を生産できる化学プラントの設計を行う.4月に導入の講義,6月にエンジニアリング会社の方からの集中講義がある以外は,5月GW明けからの約2ヶ月間,ひたすらプロセス設計に取り組むことになる.与えられた問題を解くのではなく,答えがわからない問題を自分たちで設定して,自分たちで解くという貴重な体験ができる.

このプロセス設計では,最終的に,学生は全教員と学生の前で設計結果の発表を行う.持ち時間は20分,うち5分が質疑応答だ.その発表会を明日に控えた研究室の4回生に,発表に関する注意(アドバイス)を伝えたので,ここにメモしておこう.毎年,同じようなことを言っている.

発表・初級編

  • 発表者はピシッと立つ.フニャフニャしない.
  • ポケットに手を突っこむなど言語道断.
  • 聴衆を見て話す.スクリーンに呟くのではない.
  • 大きな声で話す.
  • 意識して,ゆっくりと話す.緊張で早口になりがちだ.
  • レーザーポインターを振り回さない.
  • レーザーポインターはずっと使うモノではなく,必要なときだけ使うのが効果的.

質疑応答・初級編

  • 質問は最後まで聞く.途中で邪魔しない.
  • 質問にダイレクトに答える.「はい」か「いいえ」で答えれば済むものは,それで十分.補足したいなら,その後だ.
  • ウダウダと何言っているかわからない政府答弁みたいな真似はしない.
  • 答えるときに,フェードアウトしない.最後の「です/ます」までハッキリと口にする.
  • 質問が意味不明のときは,「は?アホですか?」という態度ではなく,「もう一度お願いします」や「○○ということでしょうか」と丁寧に対応する.
  • 質問を聞き返すのは問題ない.見当違いな回答をすることが問題だ.
  • 「さっき言いましたが」みたいな前置きは不要.その説明が意味不明だから質問が来るのだ.
  • わからなければ「わかりません」,未検討であれば「検討していません」と答える.絶対に黙るな.ただし,「検討していません」とだけ答えたら,ただの馬鹿にみえる.理由も答える.あるいは,その検討が重要であることは重々承知しているのだということを伝える.

発表・上級編

  • 伝えたいという情熱をもって発表する.
  • 重要なところでは,ゆっくりと大きな声で話し,そうでないところでは流す.抑揚・強弱をつける.棒読みはしない.
  • 重要なところでは,間をあける.3秒くらい黙り,「お前ら,ちゃんと理解してるか?」と一人一人確認する気持ちで,聴衆を見回す.一人一人の目を見るくらいの余裕があっていい.
  • 手(ジェスチャー)を効果的に使う.

質疑応答・上級編

  • 回答は,自信を持って断言する.

これだけを伝えた後に,ニーチェの言葉を書いておいた.

多くの人々を納得させたり,彼らに何らかの効果を及ぼしたいのなら,物事を断言すればいい.自分の意見の正当性を,あれやこれや論じてもだめだ.そういうことをすると,かえって多くの人々は不信を抱くようになるのだ.自分の意見を通したいなら,まずは断言することだ.

なお,学会等でのプレゼンテーションについては,「学会発表・論文作成に関するアドバイス」にまとめてある.

健闘を祈ろう.

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>