8月 182011
 

先生のホンネ 評価、生活・受験指導
岩本茂樹,光文社,2010

30年にわたる教師生活を経て,現在は社会学研究者という著者が,公立高校の先生たちのホンネを描いたのが本書「先生のホンネ」.

読むのが嫌になって途中でやめようかと思ったが,我慢して最後まで読んだ.特に前半が読み辛く感じたが,読み通してみると,高校の先生ってこういう原理で動いているんだと,その一端を垣間見ることができたのはよかった.校則とか進学とか出世とか.正直,学校というのは大変な職場だと思う.恐らく,私には務まらない.

どうでもいいような校則を徹底させるための指導方法について,かつての生徒としての経験,今までの教師としての経験,職場での立場といったものが,個々の教師の判断に非常に強く影響する.もちろん,先生にだって出世欲もあるし,保身を図ろうともする.それがまた指導にも影響する.進学実績が極端に重視される昨今,中堅進学校にとって,成績優秀者は大切な存在であり,無意識のうちに,彼らには特別な教育的配慮がなされる.不登校のように特別な事情のある生徒に対しても,当然ながら教育的配慮がなされる.そこには生徒個人個人に合わせた教育・指導という美辞麗句があてがわれるが,実のところは,教師の利己的な判断でしかなかったりする.

生徒を公平に扱うというのは,一体,どういうことを意味しているのだろうか.そんな疑問も湧いてくる.

いずれ自分の子供も,中学,高校へと進学するわけで,学校の先生の行動原理を知っておくのは良いことだろう.そういう観点から,本書「先生のホンネ」を読んでみてもいいと思う.

ところで,本書には,次のようなデータも掲載されている.

公立高等学校教員の年代別構成比(平成4年→平成19年)
20代 15.8% → 5.8%
30代 31.6% → 22.4%
40代 26.7% → 37.8%
50代以上 25.9% → 34.0%

正直なところ,この状態で新しいことに挑戦しろと言っても無理だろう.これが日本の教育の現状だ.

目次

  • 服装の乱れは心の乱れ—カチューシャの違反をめぐって
  • 難関校をめざせ—進路指導をめぐって
  • 教育的配慮とは—新たなカチューシャ問題
  • おわりに—教育幻想