1月 222012
 

これまでの個人的な経験に基づいて,日本の大学には海外の大学のようなサバティカル制度(大学教員などが研究に専念するために一定期間与えられる長期有給休暇)がないと思っていたら,実は,予想以上にサバティカル制度のある大学が多いことを教えていただいた.恥ずかしながら,実は京都大学にもサバティカル制度があった.

所属している大学にサバティカル制度があるのに,制度の利用を勧められたことがないばかりか,その存在を通知されたこともないのが不思議だ.そんなことを思いながら,この機会に少し調べたので,簡単にまとめておこう.

京都大学では,2007年4月に「国立大学法人京都大学教員就業特例規則」が改正され,教員はサバティカルを取得することができると規定されたようだ.

(研修の機会)
第12条 大学は、教員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めるものとする。
2 教員は、教育研究に支障のない限り、組織の長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3 教員は、教授会等の議に基づき、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。
4 前項に定めるもののほか、教員は、教授会等の定めるところにより、研究に専念できる期間としてのサバティカルを取得することができる。

資料:
国立大学法人京都大学就業規則一覧
国立大学法人京都大学教員就業特例規則[PDF]

ただし,全学的に制度が導入されたわけではない.「平成18年度 経営協議会議事録 第13回 平成19年3月28(水曜日)開催」には,平成19年度国立大学法人年度計画(案)に関して,サバティカルに関する質問に対する大学側の回答が以下のように記載されている.

サバティカル制度については、各部局の責任において導入することができるよう規程の整備を行った。平成18年度には文学研究科、教育学研究科、経済学研究科、医学研究科で実施しており、平成19年度には、法学研究科が実施の予定である。

サバティカル制度は、一定期間勤務した教員には制度を利用する権利がある。諸外国では周期的に教員が制度を活用しており、教育に支障をきたさない体制が整備されている。実施している京都大学の各研究科においては、同制度の活用により増加する講義及び管理業務について、教員相互の協力体制を整え対応している。

要するに,部局ごとの責任で実施しろということだ.そして,実施部局の中に工学研究科の名称はない.少なくともこの時点では,医学研究科を除いて,文系部局でしか実施されていないことがわかる.

平成21年度国立大学法人京都大学年度計画」[PDF]には,「研究実施体制等の整備に関する目標を達成するための措置」として,

サバティカル制度を活用して、教育研究活動の活性化や質的向上に努める。

と,また「人事の適正化に関する目標を達成するための措置」として,

部局等の特性に応じ、サバティカル制度等を活用して教員に実務経験を含む研修の機会を与え、その資質向上を図るよう努める。

と明記されているので,少なくとも京都大学はサバティカル制度の活用に積極的であるとのポーズを示している.

しかし,その意気込み(あるいはポーズ)と実態の乖離は甚だしい.2010年6月に京都大学が出した「平成21事業年度に係る業務の実績及び中期目標期間に係る業務の実績に関する報告書」[PDF]には,サバティカル制度の実施状況が以下のように記載されている.

(平成20年度の実施状況概略)
各部局の特性に応じ、サバティカル制度を利用することで、教育研究の活性化や質的向上に努めている(平成20年度利用教員数:8名)。また、制度を導入していない部局においても、具体的な導入に必要な検討事項等の検討を行っている。

(平成21年度の実施状況)
「国立大学法人京都大学教員就業特例規則」を改正し、各部局の長の承認、教授会等の議または定めにより、教員はサバティカルを取得できることとしている(平成19年4月)。現在、部局の特性に応じて10部局でサバティカル制度を導入し、教育研究の活性化や質的向上を図った(平成21年度利用教員数:3名)。なお、制度を導入していない部局においても、導入に必要な事項や手続き等を検討しているほか、研究上の必要に応じ一定期間の組織運営業務を免除するなどの措置を取っている。

つまり,京都大学全体で平成20年度にサバティカルを利用した教員は8名,翌21年度には3名しかいない.京都大学の規模を考えれば,事実上,サバティカル制度は機能していないと言える.

その上,私が現在所属している工学研究科に関する情報が見当たらない.このことをもって工学研究にはサバティカル制度がないとは言えないが(週末のため未確認),実施していれば声を大にして喧伝していそうなものだ.

さらに,サバティカルに関しては,制度があっても実際に利用可能かどうかは別問題だ.現在のように教員数が削減され続ける状況では,サバティカルで教員が抜けた穴を埋めるのは容易でない.それに,「俺が行っていないのに若いのが行くのはけしからん」と言い出す年配教授がいないとも限らない.特に小講座制を採用している組織でそのような傾向があるかもしれない.

ともかく,海外の研究者を間近に見ていて,サバティカルは必要と強く感じる.半年から1年を海外の研究機関や企業で過ごせば,その経験は教員を大きく成長させ,日本の大学のレベルを向上させるのにも貢献するに違いない.それに,仮に何の役に立たないとしても,私はサバティカル制度を利用して海外に行きたいし,若手研究者を海外に行かせたい.つまり,何としてでも,実行可能な形で制度化するべきだ.

1月 212012
 

現在,京都大学大学院工学研究科化学工学専攻にて,「プロセスデータ解析学」という講義を担当しています.この科目は,数年前に,これから企業その他で活躍が期待される学生にはデータ解析の素養が必要であるはずだという想いから,私が提案し,開講を承認してもらったものです.というのも,企業との共同研究を多数手掛ける中で,データ解析手法を正しく使用できる技術者が少ないことに危機感を持ったためです.もちろん,ほとんどの学生はデータ解析の専門家になるわけではありません.それでも,どのような分野に進もうとも,日常的にデータを扱うことになる可能性は高く,道具を正しく使えるようになっておくべきだと思うわけです.

1つ,例を挙げておきましょう.単回帰分析です.最小二乗法を用いてデータから直線を求めるというものです.EXCELを含め,この程度の計算は多くのツールで簡単にできるはずです.ところが,この単回帰分析で求まる直線がどのようなものであるかを全く理解していない人が多いわけです.絶対的な自信がある人を除いて,「回帰分析(最小二乗法)を理解してるか?主成分分析との違いは?」を読んでみて下さい.

この「プロセスデータ解析学」の本年度最後の講義が今週水曜日にありました.また,その講義をもって,化学工学専攻での私の講義はすべて終了しました.プロセスシステム工学研究室以外の学生に何かを述べるのもこれが最後ということで,講義の最後の30分ほどを利用して,学生に伝えておきたいことを述べました.そのとき話した内容を,以下に抜粋してメモしておきます.

最終講義で学生に伝えたメッセージ(抜粋)

まず,研究について,学生に自分の研究が基礎研究と応用研究のいずれと思うかを尋ねてみました.工学研究科の学生達だけあって,応用研究だと答えた学生が多かったです.そして言いました.

「君達は研究を基礎か応用かの二分法で捉えているかもしれない.しかし,基礎研究の対極にある研究は応用研究だろうか.応用研究の反対が基礎研究だろうか.基礎研究ではない研究は非基礎研究,応用研究ではない研究は非応用研究ではないだろうか.」

このような考え方をすると,恐るべきことに,世の中には,非基礎かつ非応用の研究が存在していることがわかります.そんな研究にだけは手を出してはいけないはずですが,自分の研究がそうではないと自信を持って言えますか?

この「基礎研究と応用研究」については,「計測自動制御学会 制御部門 パイオニア技術賞」に詳しく書いていますので,興味のある方はそちらを参照して下さい.

非基礎&非応用研究には手を出さない
非基礎&非応用研究には手を出さない

学生の多くは技術者としての道を歩むわけですが,その「技術者」について,トヨタ生産方式を確立した大野耐一氏が著書で次のように述べています.私自身も戒めとしている言葉です.

英語の辞書でエンジニア「engineer」を引くと,ご承知のように「技術者」という訳がでている.この訳語の中にある「術」という字だが,この字をよく見ると,「行」の間に「求」がはいっている.「行動」が要求されているのが「術」なのではあるまいか.

(中略)

「技術」も(剣術と)同様に,行動が要求される.実際にやるに限るのである.「述」もジュツと読む.最近は「技術者」ならぬ「技述者」のほうが多いのではないか.気になることである.

将来のことを考えると,日本の技術者というのは,なかなか難しい立場に置かれているように思います.中国やインドを含め新興国の技術者がレベルアップし,日本の技術者と対等に渡り合えるようになると,現在のような賃金格差を維持することは当然ながら難しくなるでしょう.日本国外でできる仕事はどんどん日本国外でするようになるでしょう.そのような状況を踏まえて,トーマス・フリードマンは「フラット化する世界」において,次のように述べています.

フラットな世界には,適切な知識と技倆と発想と努力する気持ちがあれば,ものにできるいい仕事が山ほどある.ただ,はっきりいって,このやりがいのある仕事は楽ではない.いまのアメリカの若者は,中国やインドやブラジルの若者と競争することになるのを,肝に銘じたほうがいいだろう.

(中略)

フラットな世界にいる彼女たち(著者の娘たち)へのアドバイスは単純明快で味気ない.「いいか,私は子供の頃,よく親に『トム,ご飯をちゃんと食べなさい-中国とインドの人たちは食べるものもないのよ』といわれた.おまえたちへのアドバイスはこうだ.宿題をすませなさい-中国とインドの人たちがおまえたちの仕事を食べようとしているぞ」

アメリカも日本も同じことです.「誰も勉強しろとは言ってくれなかった」とは言わせません.確かに言いましたから.勉強しないのは誰の責任でもなく,自分の責任です.その後始末は自分でするしかありません.大学生にもなったら,それくらいは自覚すべきでしょう.健闘を祈ります.

勉強と言えば,「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という言葉は聞いたことがあるはずです.そう,福沢諭吉の「学問のすすめ」に出てくる言葉ですね.ところで,その後に何と書かれているかを知っていますか.「学問のすすめ」にはこう書かれています.

人は生まれながらにして貴賤貧富の別なし.ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり,無学なる者は貧人となり下人となるなり.

わかりますね.福沢諭吉は平等の大切さなんて一切説いていません.平等に扱われるべきだなどと少しも言っていません.彼が主張しているのは「勉強しない奴が悪い」ということ,ただそれだけです.

もう1つ,よく誤解されている名言を見ておきましょう.クラーク博士の“Boys be ambitious.”です.知らない人はいないでしょう.ところで,この続きを知っていますか.クラーク博士はこう言ったのです.

Boys be ambitious. Be ambitious not for money, or selfish aggrandizement, not for that evanescent thing which men call fame. Be ambitious for that attainment of all that a man ought to be.

夢を叶えるための勉強,夢を形づくるための勉強」にも書きましたが,夢を叶えることは素晴らしいことです.しかし,重要なのは,夢を叶えるというときの「夢」が何なのかということです.勉強しないと夢が叶わないということも勉強する理由になりますが,もっと根本的な問題として,勉強しないと「夢」がくだらない欲望になってしまう恐れがあります.だから,叶える価値のある「夢」を掲げ,それを叶えるために,勉強する必要があると思うのです.

ちなみに,工学部の学生は,他学部に比べて,大学での拘束時間は長いですよね.最も勉強させられている学部の1つだと思います.必修科目も多いし,実験も多い.これだけ理系の方が勉強しているのに,なぜか企業社会での理系は文系に馬鹿にされている感があります.なぜでしょうか.それは教養がないからという説があります.哲学も,歴史も,文学も,何も知らないから.そんな奴に重要な意思決定は任せられないということです.

ここで,「化学工学会誌の経営者インタビュー記事」にも書いた,諸君(京大化学工学)の先輩である住友化学副社長の神田氏の言葉を少し引用してみましょう.

立場が上になれば人間そのものが評価されますので,専門的なところは絶対に必要ですが,そこだけで勝負しようとはしない方がいいのではないでしょうか.そういう意味で,本を読んだり,美術作品を鑑賞したり,映画を見たりといったことも決してむだではありません.人間性というのは若いときからの蓄積に左右されますね.若いときからどういう本を読み,何を考えて,どういう人と接してきたかということが積み重なってその人間をつくり上げていくわけです.

一気にたたみかけます.安岡正篤は「青年の大成―青年は是の如く」の中でこう述べています.

現代人の一般的缺陥(けっかん)は,あまりに雑書を読み,雑学になって,愛読書,座右の書,私淑する人を持たない.一様に雑駁・横着になっている.自由だ,民主だということを誤解して,己をもって足れりとして,人に心から学ぼうとしない.これは大成するのに,最も禁物であります.

本を読むべきですね.成毛眞は「本は10冊同時に読め!―生き方に差がつく「超並列」読書術 本を読まない人はサルである!」において,一生奴隷のように会社に尽くしてどうするんだ?,負け組に転落していく人生でいいのか?,庶民と同じことをしていても庶民からは抜け出せない,人と違うことをしろ,本を読んで差を付けろ,と主張しています.この考え方を私は必ずしも是としませんが,そのくらいに読書は大切だというわけです.

実際,京都大学を卒業して無教養なのは恥だと思います.京大卒業生本人が自分自身を特別視していなくても,世間は「京大卒のくせに」という目で見るでしょう.京都大学を卒業するからには,それは覚悟しておく必要があります.まずは,世界的な古典・良書を10冊だけでも読みましょう.プロセスシステム工学研究室では課題図書を用意し,学生は年50冊読むことを目標としています.ちなみに,吉田松陰は年500冊を読んだそうです.吉田松陰が松下村塾の門下生にあてて記した遺書である「留魂録」なども読んでおくといいと思います.彼は30歳で刑死したわけですが,その年齢までにあと何年ありますか.私は既に10年以上オーバーしてしまっていますが...

もちろん,私の話を聞いて,共感できることもあれば,共感できないこともあると思います.生き方や考え方は人それぞれですから,私の考え方を押し付けるつもりもありません.それでも,なお,次のような言葉を紹介しておきます.

ショーペンハウアーは「幸福について―人生論」において,こう述べています.

誰しも自分以上のものの見方はできない.

同様に,ゲーテは「ファウスト」の中で,悪魔メフィストフェレスにこう語らせています.

しょせん,人間は,自分が学べることしか学ばない.

いずれも全くその通りだと思えます.

最後に,私の座右の銘を紹介しておきます.マルクス・アウレリウス・アントニヌスの「自省録」にある言葉です.

名誉を愛する者は自分の幸福は他人の中にあると思い,享楽を愛する者は自分の感情の中にあると思うが,もののわかった人間は自分の行動の中にあると思うのである.

とまあ,このようなことを最後の講義の最後の30分くらいで話してみたのでした.ともかく,学生にはハッピーな人生を送って欲しいと切に願います.お世話になりました.

1月 162012
 

米国ジョージア州サバンナより帰国失敗緊急報告」に書いた通り,空港でトラブルが発生し,日本に帰れなくなってしまった.ユナイテッド航空にサバンナからの脱出を希望することを伝えたところ,シカゴかワシントンかの二択ということなので,高校時代の友人夫婦に会えるかもしれないシカゴを選択し,午前中にサバンナからシカゴへ移動することになった.

朝8時前,サバンナ空港からシカゴ在住の友人の携帯に電話すると,まだ寝ていた様子だった.電話する時間が早過ぎたかなと思ったが,よく考えてみれば,サバンナとシカゴでは時差が1時間あり,シカゴではまだ土曜日の朝7時前だ.寝ていて当然で,休日に大変申し訳ないことをしてしまった.

ともかく,寝惚けたままの,アメリカに来ていることさえ伝えていなかった友人に事情を説明し,「今日の午後シカゴに行くから,予定がなければ遊んで!」とお願いした.心優しい友人家族はOKと言ってくれて,シカゴのホテルに迎えに来てもらうことになった.

ちなみに,私は原則として携帯電話を使いたくないので,必要に迫られない限り,自分の携帯電話番号は教えないし,人の番号を聞きもしない.このため,登録件数は実に10件にも及ばない.それにもかかわらず,この友人家族には一年前にもシカゴでお世話になっており,そのときに携帯電話番号を教えてもらっていた.そのおかげで,運良く連絡を取ることができた.

昼前にシカゴに到着した後,ユナイテッド航空に空港に近いダブルツリーホテル(ヒルトン系列)を手配してもらった.すぐに空港から友人に連絡し,ホテルまで迎えに来てもらえることになった.

無料のシャトルバスでホテルに向かい,チェックインして部屋に入るとすぐに,友人からホテルに到着したとの電話があった.急いで荷物を整理して,たまたま日本から持参して食べていなかったお菓子を持って,ロビーへ.お土産が何もないため,その代わりというのも何だが,お菓子を子供たちに渡した.

挨拶をして車に乗り込むと,「シカゴ美術館に行く?」とのこと.実は,昨年シカゴに友人を訪ねたときには,シカゴ科学産業博物館(The Museum of Science and Industry, Chicago)かシカゴ美術館(Art Institute of Chicago)かで迷った挙げ句,シカゴ科学博物館に連れていってもらった.それを覚えてくれていた友人が,今回はシカゴ美術館に行こうと言ってくれたわけだ.本当にありがたい.

ちなみに,その友人家族はシカゴ美術館に行ったことがないのだという.まじですか!?

シカゴ美術館のメインエントランス
シカゴ美術館のメインエントランス

シカゴ美術館の近代的な建物
シカゴ美術館の近代的な建物

アメリカ3大美術館に名を連ねているだけあって,シカゴ美術館のコレクションは素晴らしい.印象派,特にルノワールが好きな私にとっても,大満足の内容だ.鑑賞した絵画のいくつかを写真で紹介する.

ルノワール@シカゴ美術館
ルノワール@シカゴ美術館

ルノワール@シカゴ美術館
ルノワール@シカゴ美術館

モネ@シカゴ美術館
モネ@シカゴ美術館

スーラ@シカゴ美術館
スーラ@シカゴ美術館

ルーベンス@シカゴ美術館
ルーベンス@シカゴ美術館

ボッティチェリ@シカゴ美術館
ボッティチェリ@シカゴ美術館

ピカソ@シカゴ美術館
ピカソ@シカゴ美術館

ピカソ@シカゴ美術館
ピカソ@シカゴ美術館

シャガール@シカゴ美術館
シャガール@シカゴ美術館

ゴーガン@シカゴ美術館
ゴーガン@シカゴ美術館

ダリ@シカゴ美術館
ダリ@シカゴ美術館

ミロ@シカゴ美術館
ミロ@シカゴ美術館

シカゴ美術館にいたのは2時間ほどで,その後,Whole Foodsという店で買い物をし,友人宅へと向かう.Whole Foodsで購入したのは自宅で使うハンドクリーム2種など.彼女愛用のクリームだが,アメリカでは日本の半額ほどで買える.しかも,今は円高なので,割安感が凄い.実は,前回の訪問時にもWhole Foodsで同じクリームを大量購入したので,友人がお土産用にといくつかを買っておいてくれた.さらに追加購入した形だ.ちなみに,会うことが決まったのは当日の朝だから,それから昼までの間に,夕食の材料なども含めて用意してくれたことになる.その気遣いに感謝するばかりだ.

夕食は友人宅でご馳走になった.ずっとアメリカ食ばかりだったので,ご飯や和風に味付けされた料理が特に美味しく感じる.ビールに,シャンパン,ワインもいただき,楽しく過ごさせてもらった.

友人夫婦のおかげで,これ以上は望めないような充実した時間を過ごすことができた.当初の予定通りに日本へ帰国することはできなかったが,そのトラブルを補って余りある経験をすることができた.本当にありがたい.

人間万事塞翁が馬.

1月 162012
 

化学プロセス制御関係の国際会議Chemical Process Control (CPC)に参加するため,米国ジョージア州サバンナに来ていました.会議そのものについては,その一端を「Capability Trap: 改善活動が効果を発揮できなくなる罠」で紹介しましたが,ここでは,往路と復路についてメモしておきます.まさに,行きはよいよい帰りは怖いでした.

往路:アメリカへ

往路は,全日空ANAとユナイテッド航空UAを利用して,伊丹→成田→ワシントン→サバンナという経路でした.幸運にも,成田からワシントンへの長距離フライトで,ビジネスクラスへアップグレードしていただき,快適な空の旅でした.そのときの機内食を写真で紹介しておきます.

ANAビジネスクラスの食事
ANAビジネスクラスの食事

ANAビジネスクラスの食事
ANAビジネスクラスの食事

ANAビジネスクラスの食事
ANAビジネスクラスの食事

ANAビジネスクラスの食事
ANAビジネスクラスの食事

ANAビジネスクラスの食事
ANAビジネスクラスの食事

復路:サバンナ脱出

登場予定だったサバンナからシカゴへのフライトが大幅に遅れたことに,ユナイテッド空港のシステムトラブルが追い打ちをかけて,帰国が丸1日遅れることになりました.経緯は「米国ジョージア州サバンナより帰国失敗緊急報告」にまとめましたが,そのおかげで,今,シカゴ空港のユナイテッドクラブにいます.

そして,これだけではすみませんでした.シカゴ空港にて,トラブル続編が展開しました.

「備えあれば憂いなし」を信条とする私は,離陸時刻の3時間前(カウンターが開く時刻)にシカゴ空港に到着し,ビジネスクラスカウンターで最初に対応してもらいました.

ANA係員「(チケットを見て)予約はされていますか?」
私???「いや,昨日のフライトが遅れて,予定していた成田便に乗れなくなり,このチケットを持っているのですけど」
ANA係員「お客様の名前がANAのリストにありません.少々お待ち下さい」
私「はい」
ANA係員が3名くらいで相談・電話とか.....
ANA係員「(UA端末を操作して)お客様の情報がユナイテッドにはあるのですが,何かのトラブルで,ANAに情報が送付されていま
せん.調べますので,しばらくお待ち下さい」
私「はい」(まじですか.昨日もデータ転送失敗で飛行機に乗れなかったんですけど...)
ANA係員「お客様の予約がANAになかったため,とりあえず,ウェイティングリストにのせます」
私「満席ですか?」
係員「満席ではありませんが,食事がないそうです.何とかなると思いますので,もうしばらくお待ち下さい」
私「はい」
ANA係員数名が相談・電話など..
私(この際,食事はなくても我慢するので,このフライトに乗せて下さい.2日も遅れるのは洒落になりませんから)
ANA係員「座席を用意できるようになりました.窓側か通路側かどちらがよろしいですか」
私「通路側でお願いします」
ANA係員「(手続きをしつつ)あれ,どうなってるの?ちょっと!」
私???
ANA係員数名が相談.....
ANA係員「お客様,成田までの座席は用意できました.17Dになります.ただ,申し訳ありませんが,乗り継ぎ便の搭乗券をこち
らで発券できません.成田で荷物を受け取った後,チェックイン手続きをして下さい」
私「はい」

そんなこんなで今,シカゴ空港のユナイテッドクラブにいます.日本には無事帰れそうですが,ユナイテッドのシステム,一体どうなってるんだ!!

1月 142012
 

本日(01/14),国際会議CPC参加のために滞在していた米国ジョージア州サバンナから日本へ帰国するはずが,できなくなってしまいました.原因は,ユナイテッド空港のシカゴ行きUA5691便がサバンナ空港から飛べなかったことです.ホテルを朝4時に出発して空港へ来たのに,がっかりです.それでも,早く空港に到着していたからこそ,別ルートへの振り替えも早く対応してもらうことができたと考えられます.

不幸中の幸いは,同行していた学生がコンチネンタル航空に振り替えてもらい,ニューアークと成田を経由して,当初の予定通りに伊丹空港に着けることです.本来なら,私も同じ旅程でニューアークと成田を経由して帰国できたはずなのですが,システムトラブルで私のデータだけがユナイテッド航空からコンチネンタル航空に伝達されず,何度か双方のカウンターを行き来したものの解決せず,時間切れで断念となりました.このため,私のみシカゴで一泊し,丸1日遅れで帰国します.

ユナイテッド航空のチェックインカウンターでは,「サバンナでホテルを手配する」と言われましたが,「ここから出たい!!」と主張し,「それならシカゴかDCかどちらがいい?」となり,最終的に,高校時代の同級生に会えるかもしれないシカゴを選びました.

幸い,シカゴ在住の友人と電話が繋がり,本日の午後にほぼ一年ぶりに再会できることになりました.これも予定が狂ったおかげであり,万事塞翁が馬の精神で,1日遅れで帰国せざるをえない事態を満喫します.

ところで,別ルートで無事に帰国できるはずの学生が,先程,私の隣に来ました.なぜここにいるのかと驚いて尋ねると,「飛行機が加速した後に減速して飛びませんでした」とのこと.まあ,離陸してから減速するよりは遙かに良いよねと励ましましたが,90分遅れまでで再離陸できれば乗り継ぎ便に間に合うはずで,それがダメでも,約1時間後にもう一便,成田行きがあるそうなので,何とかなることを期待しています.万が一ダメであれば,私はシカゴ,彼はニューアークで宿泊することになります.

以上,久しぶりの帰国失敗に関する緊急報告でした.

追伸:こういうときは英語力がものを言いますから,皆さん,英会話を練習しておきましょう.

1月 122012
 

現在参加中の国際会議Chemical Process Control (CPC)において,MITのGeorge Stephanopoulos教授から”Systems Thinkng in the Management of Process Operations”と題した講演があった.製造プロセスのオペレーション(要するに運転)のマネジメントにおけるシステム的思考の重要性を訴える内容であるが,企業が実際に陥ることがある問題として”Capability Trap”の紹介があった.不勉強で初めて聞いた内容だったので,メモしておく.

講演者のGeorgeは,名前から分かる通りギリシア出身で,私の元ボスの親友であり,米国アカデミア界の大御所でもある.プロセスシステム工学分野の重鎮だが,日本との付き合いも古く,かつ濃く,かつては三菱化学のCTOを務めていたこともある.今回の”Capability Trap”の話題についても,彼の三菱化学時代の経験をふまえたものである.

“Capability Trap”とは,元々,MIT教授のNelson RepenningとJohn Stermanが定義したものだ.彼らは,多くの企業においてプロセスの改善活動が失敗してしまう原因を調査し,マネジャーや担当者が”Capability Trap”に陥ってしまうことが原因であることを突き止めた.”Capability Trap”とは,みずからを追い込んだり,あるいはマネジャーに強制されたりすることで,担当者がより賢く働く(work smarter)よりもむしろ,より一生懸命に働く(work harder)ようになってしまう状態を指す.これは,仕事をする方法を改善するためにではなく,従来のままの方法でより一生懸命に働くような方向に経営資源が継続的に振り向けられることで発生する.

次のように解釈することもできるだろう.改善活動の成果を「すぐに」出せという指令が来ると,目先の成果をあげるために,もっと頑張って働けという圧力が強くなり,その結果,まさにもぐら叩きに全力を尽くすようになる.確かに,モグラを叩きまくれば点数は上がるが,その効果は叩いている間しか継続しない.しかも,モグラを叩きまくることに担当者の時間と労力が費やされるため,逆に長期的な視点で”Capability”を向上させるための投資が疎かになってしまう.こうして,一時的に改善効果が現れたとしても,その効果は持続せず,現場が疲弊しきったところで改善活動は失敗に終わる.

つまり,”Capability Trap”に陥らないためには,改善活動で成果をあげるためには時間がかかること(何かをしてから効果が出るまでには遅れがあること)を認識すると共に,現場に懸命に働くことを求めるのではなく,賢明に働くことを求めること,そしてそのための自由を与えることが大切である.


reference:
N. Repenning and J. Sterman (2001). Nobody Ever Gets Credit for Fixing Problems that Never Happened: Creating and Sustaining Process Improvement. California Management Review 43(4), 64-88.

1月 112012
 

彼女と子供たちのリクエストに応えて,一泊二日でユニバーサルスタジオジャパン(USJ)に遊びに行った.というか,USJオフィシャルホテルであるホテルユニバーサルポートに泊まりに行った.もちろん,激安宿泊プランを選んで.

ホテルユニバーサルポート
ホテルユニバーサルポート

ホテルユニバーサルポート
ホテルユニバーサルポート

年間パスポートを購入して以来,今年はUSJに行きまくっているので,長男が「もう飽きてきた」とか言い始めている.それは「恐がってジュラシックパークにすら乗らないからだろ!」と指摘するも,長男長女は頑なに絶叫系(と呼ぶほどでもないが)を拒否する.一度行ったきりで,ジョーズにすら行かない.

そんな状態で丸二日もUSJに行くことはありえないので,初日はUSJからも近いIKEA(イケア)に行くことにした.いわゆる北欧デザインで,低価格なので,ちょっとした家具や食器を買うのに都合が良い.長男はIKEAのスウェーディッシュ・ミートボールが気に入っているので,IKEA行きには大賛成だ.

朝,のんびりと準備をして,IKEAに出掛けた.長男が前回行ったときに座れなかった椅子に座りたいと強く主張するのだが,何のことだかわからず,とりあえず順路に従って店内を巡る.場所が移っていたようだが,あった.これだ.

IKEAの奇妙な椅子?
IKEAの奇妙な椅子?

これを椅子と呼ぶのかどうか定かでないが,ミッション・クリアで子供たちはご機嫌だ.2階をまわったところで昼近くになったので,レストランへ.スウェーディッシュ・ミートボールも含めて,それぞれが好きなものを取る.明らかに取りすぎ.

IKEAでのランチ
IKEAでのランチ

昼食後,1階をまわって,買い物は終了.2時を過ぎていたので,ホテルユニバーサルポートへ向かう.

チェックインを済ませて,荷物を部屋に置いて,車でUSJに向かう.実は,USJオフィシャルホテルの宿泊者は,USJ駐車場の専用スペースに車を駐められる.しかも,一泊二日の駐車で料金は一日分.駐車料金が高いだけに,助かる.

USJのオフィシャルホテル宿泊者専用駐車スペース
USJのオフィシャルホテル宿泊者専用駐車スペース

長女が,YMCAをもう1回観たいというので,ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショーを観る.この他,セサミストリート4Dムービーマジックなど.長男と長女で好みが異なるため,長男は彼女とアメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライドに乗り,長女は私とペパーミントパティのスタント・スライドに乗る.

この冬の寒い時期は,ビショ濡れになるスタント・スライドは不人気になり,待ち時間も短くなる.このため,長男チームがスパイダーマン・ザ・ライドに乗っている間に,スタント・スライドに4,5回は乗れる.飽きもせずに,もう1回,もう1回と何回も乗り続けるので,しかも二日間も,物凄い回数を乗った.スタント・スライドのスタッフにも完全に顔を覚えてもらい,「あ,また乗ってくれてるの.ありがとう!」などと声をかけてもらい,長女はご機嫌だ.

しかし,ビショ濡れになるのは辛い.本当に,頭の先から靴の中までビショビショに濡れた.ポンチョを着ていても,お尻や足は濡れてしまう.濡れたまま夜になると,凍えそうだ.

もう限界ですというところまでUSJで遊んで,ホテルへ帰る途中に,ハードロックカフェで夕食.これは彼女のリクエストだ.

ハードロックカフェ
ハードロックカフェ

ハードロックカフェのハンバーガー
ハードロックカフェのハンバーガー

ハードロックカフェのチキン料理
ハードロックカフェのチキン料理

それにしても,料理が大きい.これでもかというサイズだ.いかにもアメリカという感じがするが,実は,ハードロックカフェはイギリスの店だ.ロンドンに第一号店がある.アメリカ発祥のレストランではない.

ハードロックカフェで食事をしていると,隣のテーブルで手品が始まった.長男が必死に覗き込んでいると,その手品師が「次に行くから,あまり無理な姿勢しないでね」と声をかけてくれた.次に来てくれるというものだから,長女も「まだ?どうしてずっと隣でしてはるの?」とブツブツ文句を言う.

それでも約束通り,自分たちのテーブルに来てもらい,手品を披露してもらう.隣で披露していたリングのマジックを観たいと彼女がリクエストしたが,「同じ手品を見せられるわけないでしょ」とアッサリ却下.その代わりに,まず初めに,ロープのマジックを見せてもらう.ロープの長さが変わったり,つながったり,輪になったりする手品だ.長男と長女は大興奮なのだが,驚きすぎて,全く声も出ない.

ハードロックカフェでのテーブルマジック
ハードロックカフェでのテーブルマジック

この他,容器とボールのマジックでは,空のはずの容器からボールが出てくるわ,リラックマが出てくるわで,親子共々に大いに楽しませてもらった.それにしても,これだけ間近で観ているのに,わからないものなのか.

最後に,彼女がはめていた結婚指輪を使って,消えた指輪が鍵のかかった宝箱から出てくるという手品.目の前で繰り広げられる不思議な世界を満喫した.ホテルに戻った長男は,「手品師になる!」と完全に感化されていた.

ホテルユニバーサルポートに戻り,冷え切った体を,ホットゆずティー,ホットチョコレート,コーヒーで暖めて,客室へ.

ホテルユニバーサルポート内のカフェ
ホテルユニバーサルポート内のカフェ

客室は,チェックイン時に長男がリクエストした12階.ベッドが3つあるスーペリアルームだ.

翌朝はのんびりと朝食を取ってから,再びUSJへ.よく遊んだ2日間だった.

1月 062012
 

今朝,ある学生と,就職や留学や研究の方向性などの話をしていたときに,研究者としての基盤を築くための勉強の仕方が話題になった.他の学生にも参考になるだろうから,私自身の勉強方法を紹介してみる.

誰かが本を読んで何かを理解したと言っても,私はほとんど信じていない.その人が理解した気になったことは認めるとしても,かなりの確率で,それは理解したのとは別物だ.理解した気になるのは比較的簡単だが,本当に理解するのは難しい.そして,自分が理解したかどうかを見極めるのも難しい.実際,理解するとはどういうことかを理解していない学生は多い.もちろん,学生が企業人になったら自動的に理解するとはどういうことかを理解できるわけではないので,企業人でも勘違いしている人は多いに違いない.

では,きちんと理解するためには,どうしたらいいのか.

私の場合,何かを勉強するときには,それについての解説を自分で書く.本を読んで理解した気にはなれても,きちんと理解できていなければ自分の言葉では説明できない.理解せずに解説を書こうとすれば,必ず詰まる.もし詰まらないとしたら,根本的に自分の言葉に対する理解と責任感がなさすぎるのだろう.そこまでレベルが低い状態は,ここでは対象から外すことにする.

何かを勉強して身に付けたいなら,解説を自分の言葉で書くのがよい.

私自身,どうして勉強のために解説を書くようになったのかと思い返してみると,私が修士課程在学中に,元ボスが手書きした解説資料をいくつか見たからだと思う.なるほど,このようにして勉強するものなんだと感じたのだろう.あるいは,元ボスから,解説を自分で書くようにと諭されたのかもしれない.記憶が定かではないが,とにかく,修士課程在学時以来,いくつもの解説資料を作成してきた.

今朝,雑談をしていた学生に見てもらおうと,書き溜めた自作解説を会議机の上に並べたところ,「固有値とジョルダン標準形」とか,「微分方程式と特性曲線」とか,「カルマンフィルタ」とか,「フィードバック制御下でのシステム同定」とか,15年以上も前に書いた懐かしい自作解説が出てきた.他には,分析機器の使い方をまとめた自作マニュアルなども.

もちろん,解説記事を書くのは簡単なことではない.理解したつもりになっていても,いざ書こうとすると,書けない.きちんと理解していないからだ.その都度,解説書を読み,それでもわからない部分を他書で調べ,微積分や線形代数などの数学書にまで遡り,何とか事典や何とかハンドブックを所狭しと広げて,徹底的に突き詰めて考える.そうして初めて,なるほど!と腑に落ちて,自分の言葉で説明できるようになる.

このように解説資料を作成していくことで,様々なことを自分なりにきちんと理解することができて,そして何より理解する方法が身に付いて,研究者としての自分の基盤が形成できたと思う.あの努力がなければ,研究は「砂上の楼閣」みたいなものにしかならなかっただろうとも思う.

そのようなわけで,大学院生には,自分の言葉で解説を書くことを勧めたい.

主要アドバイス一覧

勉強,レポート作成/論文執筆,研究発表/プレゼンテーションについて,主に卒業や修了を目指す学生へのアドバイスの一覧

(2015年1月15日リンク追加)