7月 272012
 

「人生の幅と深さは自分で決める 赤字社員からトップセールスへの道」と題されたインタビュー記事(月刊『致知』2012年8月号)の中で,長谷川千波さんが次のように語っている.

演劇には台本があり、舞台前には何度も稽古をしますよね。我われ営業も一緒で、営業スクリプト(台本)を何度も書き換えるし、仲間同士でロール・プレーイングを繰り返して、自分の営業をつくり込んでいくのです。

いま企業はダントツで「コミュニケーション能力のある人」を求めているといいます。ただ、学生時代に友達がたくさんいて「コミュニケーション能力がある」と自負していて、面接をした人事部も「トリプルA」として採用した人が営業ができるかというと、必ずしもそうではない。むしろ早々に辞めてしまう人が多いんです。

「自分は会話術に長けている」と自信を持って営業に出た新人が、生まれて初めて厳しい拒絶をされて心が折れてしまうケースが多い。逆に少し口下手だったりコミュニケーション能力が高くない方でも、熱心に勉強されて生き残る人もたくさんいます。

だから、どんな人であっても、職業人としての仮面がかぶれるまでに鍛えないといけないということです。

これは芸人さんでも同じだそうですよ。吉本興業で横山やすしさんのマネジャーをされていた大谷由里子さんから教えていただいた話ですが、仲間内で面白い人は「あんた、吉本に行ったらいいんちゃう?」と言われて来るんだけれど、大したことないと。それよりも、素は面白くないけれど懸命に漫才の台本をつくり込んだり、アドリブ用の台本をつくって覚えたり、ビデオで撮って見直して、「ここは削る」「ここは膨らます」と、つくり込んでいく人は生き残っていくそうです。

営業もまったく同じで、お客様の前で何気なくやっていい言動は一つもありません。むしろ、練習していない下手な説明を聞くのは、お客様も苦痛です。どんな職業も、素のままで結果を出せる仕事はないと思います。

セールスパーソンとしての経験から,営業とコミュニケーション能力について語られた内容だが,営業だけでなく芸人でも同じのみならず,研究者でも同じことが言える.例えば最後の文章で,「営業」を「研究発表」に置き換えると,次のようになる.

研究発表や講演もまったく同じで,聴衆の前で何気なくやっていい言動は一つもありません.むしろ,練習していない下手な説明を聞くのは,聴衆も苦痛です.どんな職業も,素のままで結果を出せる仕事はないと思います.

全くこの通りだろう.

国内および海外の学会等で,見てもらう気がまるで感じられないスライド(文字が小さい,手抜きがバレバレ)や,練習不足が明らかなプレゼンを時々見掛けるが,それならやらない方がましじゃないかと思う.

プレゼンについて指導してもらう機会に恵まれなかったのだとしたら可哀想ではあるけれども,次の機会があったとして,その人の発表を聴きに行こうとは思わないし,招待講演などをお願いしようとも思わない.

別の可能性として,以前はしっかりした発表をしていたのだが,年を取って偉くなったと慢心して,「俺の講演を聴かせてやる」という態度になってしまうこともあるのかもしれない.もし大学教授みたいなお山の大将がこうなったら,もう付ける薬はないだろう.

このブログでも繰り返し,研究者にとってのプレゼンテーションの重要性を指摘している.自分のプレゼンが気になった人は,とりあえず「学会発表や卒業研究発表の前に読みたいプレゼンテーション・アドバイス」を読んでみて欲しい.

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>