9月 262012
 

京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻ヒューマンシステム論分野では,医工連携の枠組みで「てんかん発作予知」の実現を目指す研究を開始した.7月に当分野に着任したばかりの藤原助教を中心に研究を推進する.もちろん我々のようなデータ解析屋や制御屋だけでは手も足も出ないので,てんかん治療の専門家や生体計測の専門家の指導を仰ぎながらの共同研究となる.やっと「ヒューマンシステム」らしくなってきた.

この共同研究の一環として,まず我々が基礎的な知識や技術を身に付けるために,心電計測デバイスを製作する演習に取り組むことになった.要するに,心電図を測定する装置を自分で作るというわけだ.静岡大学の山川先生に指導していただくため,4日間,浜松に滞在した.

山川先生が設計された回路図を見ながら,まっさらの基盤に回路を構築していく.半田付けなんて何十年ぶりの作業だろうか...

新品の基盤に心電計測用回路を構築していく
新品の基盤に心電計測用回路を構築していく

まずは心電の計測と捉えたR波の送信を受け持つデバイスの製作から.

中央が,製作した心電計測デバイス(送信機)の本体.左上が,体に取り付ける電極(+,-,G)とデバイスをつなぐケーブル.右上が,電源(単4電池2本).右側に伸びている赤い線が送信用アンテナ.

自作した心電計測デバイス(送信機)
自作した心電計測デバイス(送信機)

心電計測デバイス(送信機)を裏側から見ると,半田付けが丸見え.美しくないように思うが,ド素人なので仕方ない.

自作した心電計測デバイス(送信機の裏側)
自作した心電計測デバイス(送信機の裏側)

続いて,心電計測デバイス(受信機)を製作した.こちらは回路が単純で部品数も少ないので,比較的簡単に作業を終えることができた.手前が電源で,左側に伸びている赤い線が受信用アンテナ.

自作した心電計測デバイス(受信機)
自作した心電計測デバイス(受信機)

テスターで回路を検査し,接続するのを忘れているところや,ショートしてしまっているところがあれば,修正していく.数カ所,配線ミスをしていた...

回路の検査ができたところで,いよいよ心電を計測する.

まず,3つの電極(+=赤,-=黄,G=黒)を体に取り付ける.左の鎖骨(G=黒),右の鎖骨(-=黄),そして左下の肋骨(+=赤)の3カ所.これで心臓の拍動に対応する電気信号を捉えることができる.

電極に3本のケーブルを接続し,心電計測デバイスの電源を入れて,デバイスで計測・処理した心電信号をオシロスコープに表示させる.別途,高価な心電モニターも接続し,理想的な心電図と製作した心電計測デバイスの心電図をオシロスコープで比較する.

綺麗な心電計測結果
綺麗な心電計測結果

オシロスコープの表示画面で,黄色が高価な心電モニターで計測した心電図,紫色が自作した心電計測デバイスで計測した心電図,そして水色が自作した心電計測デバイスでによるR波検出結果(2値)だ.製作した心電計測デバイスで綺麗に心電を計測できている.てんかん発作予知での活用を検討しているR波も見事に捉えている.

充実した心電計測デバイス製作演習だった.数日間,全く邪魔されることなく,1つのことに没頭したのはいつ以来だろうか.

さて,これで心電計測デバイスを手に入れた.今後は,10月の日本てんかん学会で基礎講習を受講し,11月上旬の京都で共同研究メンバーによる講演会を実施する.残るは研究予算の確保だ.

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>