10月 252012
 

Mathworks社が提供しているMATLABという数値計算言語があります.国際標準のソフトウェアといってよいでしょう.ここでは,キャンパスライセンスなどが導入されていない状況で,MATLABを非常に高いコストパフォーマンスで利用する取り組みについて紹介します.

15年以上の実績として,年間3万円程度でMATLAB/Simulinkと数多くのToolboxが事実上の使い放題です.

京都大学MATLABユーザーズグループは,京都大学内でのMATLAB利用環境(費用対効果)の向上を目的として,サイバネットシステム社(当時の代理店,現在はMathworks Japan社)との間でサイトライセンス契約を結ぶために,有志が立ち上げた組織です.大学からオーソライズされた公的な組織ではありません.1995年に,工学研究科化学工学専攻プロセスシステム工学研究室が中心となり,MATLABを既に利用していた複数の研究室からの賛同を得て,発足しました.

2012年7月現在,ユーザーズグループは,学術情報メディアセンター,情報学研究科,その他89研究室(2006年4月時点では約20研究室でした)で構成されています.工学研究科,医学研究科,エネルギー科学研究科,生命科学研究科,人間・環境学研究科,農学研究科,理学研究科,防災研究所,生存圏研究所など様々な部局の研究室が加入しています.

費用負担については,既存加入研究室,新規加入研究室ともに,年間3~6万円というのが過去数年間での実績です.研究室単独で購入する場合,MATLABとSIMULINKを含む基本セットのスタンドアローン版1ライセンスだけでも約20万円しますので,ユーザーズグループに加入する経済的メリットは非常に大きいと言えます.ユーザーズグループが契約している製品(ツールボックス)を以下に示します.

<保有ライセンス数と使用数(2012年8月)>

名称
保有数
MATLAB 359
Simulink 150
Bioinformatics Toolbox 5
Communications System Toolbox 20
Control System Toolbox 150
Curve Fitting Toolbox 6
DSP System Toolbox 20
Data Acquisition Toolbox 5
Financial Toolbox 5
Global Optimization Toolbox 3
Image Processing Toolbox 50
MATLAB Coder 7
MATLAB Compiler 10
MATLAB Report Generator 3
Mapping Toolbox 30
Model Predictive Control Toolbox 10
Neural Network Toolbox 5
Optimization Toolbox 100
Parallel Computing Toolbox 30
Partial Differential Equation Toolbox 3
RF Toolbox 5
Robust Control Toolbox 100
Signal Processing Toolbox 100
SimBiology 5
SimEvents 1
SimPowerSystems 5
Simscape 5
Simulink Coder 7
Simulink Control Design 100
Spreadsheet Link EX 3
Stateflow 5
Statistics Toolbox 61
Symbolic Math Toolbox 36
System Identification Toolbox 100
Wavelet Toolbox 101
xPC Target 4

 

加入手続きなどについては,「京都大学MATLABユーザーズグループ」のウェブサイトをご覧下さい.随時加入申込みを受け付けています.なお,グループ運営は私を含むボランティアの手によって行われていますので,無駄な負担をかけないようにご配慮下さい.

日本国内でも複数の大学がキャンパスライセンス契約を締結していますが,京都大学では難しいでしょうね.

10月 252012
 

京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻には「システム科学通論」という大学院1回生向けの科目がある.システム科学通論では,M1学生がシステム科学に関連する最新の話題を紹介することになっている.各回3名ずつの発表で,持ち時間は各人30分(発表18分+質疑応答12分)だ.

今年2月にシステム科学専攻に異動してきた私は,昨日初めて本講義に参加し,司会を務めたので,その感想などを書いておこう.

まず,講義の冒頭で,システム科学通論の受講生に対して以下のようなことを述べた.

そもそもプレゼンというのは,何らかの目的を持って行うものである.システム科学通論は,発表練習の場と位置づけられているので,プレゼンテーションと質疑応答の練習が目的であっても構わない.しかし,もしそうであるなら,理想的なプレゼンとはどのようなものか,理想的な質疑応答とはどのようなものか,について自分なりの明確なイメージを持っていなければならない.自分のプレゼンはどこに問題があるのか.そういうことを意識してプレゼンをしないと効果はあがらない.質問しないなら質問の仕方はうまくならない.

システム科学通論ではシステム科学に関連する最新の話題を紹介することになっているので,自分が興味を持つ研究分野や研究成果について紹介して,発表を聞いてくれる人達にも興味を持ってもらうというのが目的でもいい.もしそうであるなら,教員も学生も,システム科学専攻には様々な分野の人達が結集してきているので,バックグラウンドが全く異なる聴衆を前に,何をどのように話せば興味を持って理解してもらえるかを真剣に考えておく必要がある.

このような考慮や努力をして,自分のプレゼンで何がしたいのかを明確にして,システム科学通論での発表に臨んでもらいたい.

私の想いがどこまで伝わったかはわからないが,非常に大切だと思うことを伝えた.

目的を明確にすること.聴衆を知ること.これらはプレゼンの基本中の基本だ.講義という場で,多くの教員と学生に対してプレゼンテーションする貴重な機会を与えられているわけだから,それを活かそうとしてもらいたい.

以下,3人の発表を聞いての感想を述べておく.

修士課程に進学してから新たに勉強を始めた分野であれば,まだ半年やそこらの経験しかないのだから,理解できていないことが多いのは仕方がない.しかし,自分がスライドに書いたことすら説明できないのは問題だ.それは恥ずべきことだろう.

プレゼンの要件は色々あるが,とりあえず,部屋中に聞こえるだけの大きな声で話すことは最低限意識してもらいたい.声が聞こえないでは全く話にならない.スライド中の文字も同様で,書いてあることが読めないでは全く話にならない.これらは基本中の基本だが,できていない人がいるのも確かだ.学会発表でも見掛けることがあるだろう.もし見掛けたら,反面教師として,自分のプレゼンを見直そう.

発表と質疑応答のレベルには大きな差があった.発表と質疑応答を上手にできると,それだけ高く評価してもらうことができる.逆に,発表と質疑応答が下手であれば研究成果も伝わらない.このことは肝に銘じておこう.

最後に,「学会発表や卒業研究発表の前に読みたいプレゼンテーション・アドバイス」を紹介しておく.これは読んでおいてもらいたい.