4月 052013
 

本日は大学院のガイダンスがあり,修士課程と博士後期課程の新入学生および進級した学生に事務的な説明をすると共に,いくつかお祝いの言葉を申し上げた.要点をメモしておこう.

まずは,京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻への入学おめでとう.

考えてみたこともないかもしれないけど,学生が納める授業料が年間54万円ほどなのに対して,京都大学が学生1人にかける教育費は年間174万円.なんと授業料の3倍以上だ.授業料を払っているのは学生だから勉強しないのも自由だなんてことはない.真剣に勉強してもらいたい.

大学院生になると,講義よりも研究が主体になる.だが,専門性が桁違いに高くなる博士後期課程は別として,修士課程であれば,研究テーマは訓練のための題材であって,在学中には是非,下記のような能力を身に付けてもらいたい.

  • 論理的に思考し,自分の考えを上手に説明できる.
  • 正しい日本語で(できれば英語でも)レポートや論文を書ける.
  • 魅力的なプレゼンテーションができる.
  • 新しいことに挑戦するときに,必要となる知識や技能をみずから身に付けられる.

今,修士2年の就職担当をしていて感じるが,企業の京都大学卒業生や修了生への期待は非常に大きい.幸か不幸か,否応なしに,みんなはその期待に応えることを望まれている.有名企業でほどほどに働いて高給貰えると嬉しいんですが,なんて言っている場合ではない.そんな京大生なら企業は要らないと言うだろう.

今から心掛けて欲しいことが3つある.

  • 時間を大切にして欲しい.決して無駄にしないで欲しい.時間は買い戻したりできない.特に,20代前半という気力体力の充実した今を大切にして欲しい.なにも勉強と研究に明け暮れろというつもりはない.それ以外に色々な経験をして欲しい.
  • 素晴らしい先生や仲間を見付けて欲しい.大学の中でも外でも構わない.人との繋がり,縁を大切にして欲しい.私は大学院生のときに恩師と呼べるボスに出会い,指導していただいた結果,今がある.そういう出会いを経験して欲しい.
  • 古典・良書を読んで欲しい.もちろん流行の本も読むといいが,読み継がれてきた本にはそれだけの良さがあるはずだ.そこから多くのことが学べるはずだ.すぐに効果が出るというものではない.でも,10年後,20年後を考えたら,読書する人としない人が同じはずはないだろう.

修士課程に入学したこの時期から検討すれば,奨学金を得て(短期)留学するチャンスは色々とある.とにかく配布資料を読んで検討してもらいたい.私自身,修士課程を修了して助手になってから,20代後半で留学させてもらったが,アメリカで生活をして,もっと早く来ればよかったと思った.海外旅行と住むのとは全然違う.行かないとわからないことがある.検討して留学しないという結論になるなら,それでいい.とにかく,検討だけはしてもらいたい.

いいか,留学もそうだ.みんなの目の前にチャンスはある.そのチャンスを活かすか殺すかは本人次第だ.留学以外もそうだ.本人がチャンスに気付いて行動しなければいけない.

晴れて京都大学大学院に進学したわけだが,自分の力だけでここまで来たなどということはないはずだ.家族,友人,先生など多くの人達に助けられて,環境にも恵まれて,今があるに違いない.そのことに感謝して欲しい.あたりまえのことに感謝できるようであって欲しい.幸運に感謝し,成功に慢心せず,その恩返しをしようという気持ちを持って欲しい.恵まれた立場にあるものの責任を感じて行動して欲しい.ノーブレス・オブリージという言葉がある.

吉田松陰は「君子に貴ぶ所のものは志のみ,胆のみ.胆なく志なくんば,則ち区々の才知将た何の用か之れを為さん」と述べた.みんなが頭が良いのはわかっている.京都大学に入学してくるくらいだから.でも,それだけではダメだということだ.頭がいいとか,物知りとかいうだけではなく,志と気力が必要だと吉田松陰は言っている.今,志を持っているか.気力は充実しているか.

桜の美しいこの春の日に,自分の将来について,10年後,20年後の自分について,考えてみて欲しい.夢や志を持って欲しい.そして,これからの大学生活をどう過ごすかを考えてみて欲しい.こういうことを考えるのと考えないのとでは,大きな違いがあるように思うから.

みんなの大学院生活が充実したものとなるように.

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