5月 022013
 

iPS細胞大革命  ノーベル賞 山中伸弥教授は世界をどう変えるか
朝日新聞科学医療部(編),朝日新聞出版,2012

2012年ノーベル生理学医学賞を受賞した山中伸弥博士によるiPS細胞(人工多能性幹細胞,induced Pluripotent Stem cells)に関する研究について,iPS細胞とは何かという基本的なことから,山中博士が渡米してから世界に衝撃を与える成果を出すまでの経緯,ノーベル生理学医学賞を共同受賞したジョン・ガードン博士のカエルを用いた研究成果や物議を醸したクローン羊ドリーなど関連研究との関係,iPS細胞が持つ素晴らしい可能性と医療応用を進めていく際の障壁が,山中博士の講演の他,ガードン博士やその他の研究者へのインタビュー等を交えて,とてもよくまとめられている.類書は多く,比較はできないが,山中博士とその研究成果の概要を知るには良い本だ.

一研究者(京都大学に在籍しているという点では同僚とも言える)の立場で本書を読むと,ビジョン(Vision)を持つことの凄さがよくわかる.そして,一生懸命に頑張ること(Work hard)の大切さも.このVWは,一流の研究者になるための条件として,山中先生がボスから聞かされ,それ以来,いつも胸に抱いている言葉だという.患者さんを救いたい,一日も早くiPS細胞を臨床に役立てたいという山中博士の熱い想い,誰も思い付かないようなことを研究目標に掲げて邁進する行動力,そして同志を巻き込んで夢を実現化する人間的魅力に感服させられる.野口英世などもそうだし,世界から絶賛される研究者とはそういうものなのだろう.

目次

  • 日本という国への感謝と、責任です
    2012・10 国民が見た希望
  • 人がやっていないことをやりたい
    山中伸弥教授の軌跡
  • 研究は真理のベールを一枚一枚はがすこと
    iPS細胞ができるまで
  • 世界の難病患者にメード・イン・ジャパンの薬を
    臨床応用研究の最前線
  • オールジャパンでないと勝ち残れない
    国の支援と特許競争の行方
  • iPS細胞がひらく未来
    井村裕夫氏・岡野栄之氏インタビュー

 Leave a Reply

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>