6月 102013
 

子供たちが海遊館に行きたいというので,物凄く久しぶりに,海遊館に行ってきた.これまでは,ただ海遊館に行くだけだったが,今回は,折角だからと,「海遊館ガイドツアー」に参加してみた.

最近,長男が動物(魚類や鳥類などジャンルは様々)に強い興味を示し,よく図鑑を眺めていて,先日は絶滅危惧種ばかりを掲載した図鑑を買ってもらっていたので,きっと海遊館ガイドツアーも喜ぶだろうと考えてのことだ.

エサを準備する調餌室や飼育係員が作業する様子を見学できるバックヤードツアーに参加したかったのだが,このツアーは6月には一度も開催されない.そこで,魚類の見どころを選りすぐって案内してくれるという「ガイドツアーBコース」を予約した.魚類の観覧ルートに加えて,約15分間の太平洋水槽バックヤードのエサやり見学もできる.約60分間で1人500円.

実際に参加してみて,この海遊館ガイドツアーは非常にお得だと感じた.とても面白いし,勉強にもなるし,500円は本当に安いと思う.参加したことがない人は,海遊館に行く機会があれば,是非予約することをお勧めしたい.

通常の観覧ルートでは見ることができない珍しいモノを見せて貰えるし,色々と教えて貰えるし,質問にも答えて貰えるし,至れり尽くせりだ.以下では,教えてもらったことの一部を紹介しよう.

ジンベイザメ@海遊館
ジンベイザメ@海遊館

まず,海遊館と言えば,ジンベイザメ.沖縄の美ら海水族館のスケールには及ばないものの,巨大なジンベイザメは人気者だ.

ジンベイザメの餌はオキアミなどのプランクトンで,海遊館では1日に9.6kgの餌を与えている.海水と一緒に餌を呑み込むわけだが,なんと一口で100Lもの海水を呑み込むらしい.海遊館では,人が泳ぎながら水中でジンベイザメにエサを与える.これは,ジンベイザメの体調が悪くなったときなどに備えて,給餌中に人間がジンベイザメに触れることで,人間に触れられることに慣れさせるためなのだそうだ.

ところで,昔はカイ君とユウちゃんの2匹いたはずのジンベイザメが,今はユウちゃん1匹しかいない.カイ君はどこに行ったのか.実は,ジンベイザメはまだまだ謎が多いので,生態調査のために発信機をつけて,カイ君は高知県沖で放流されたそうだ.

ジンベイザメのエサやりを見学した後,その近くの小さな水槽に閉じ込められているアオウミガメを見学した.このカメも以前は太平洋水槽で泳いでいたそうだが,3ヵ月ほど前から,この狭い水槽に隔離されているとのこと.実は,ジンベイザメに恋をして,ストーカーになってしまい,ずっとジンベイザメから離れなかったらしい.このままではジンベイザメにストレスを与えてしまうということで,小さな水槽に隔離して,頭を冷やさせているのだとか.それにしても,3ヶ月も隔離とは可哀想に.ちなみに,カメのエサは青梗菜(チンゲンサイ).

熱帯魚と珊瑚@海遊館
熱帯魚と珊瑚@海遊館

色とりどりの美しい熱帯魚が泳いでいる水槽の珊瑚は偽物なのだそうだ.珊瑚は貴重な動物であるため,生態系を破壊しないために,本物は採取しないとのこと.ちなみに,熱帯魚の餌はレタス.

鰯@海遊館
鰯@海遊館

一般の観覧コースの最後の方で,鰯の大群を見ることができる.この水槽には,なんと約15000匹のイワシが泳いでいるそうだ.

さらに進むと,クラゲのコーナーがあり,続いて,アザラシを下から見上げることができる新・体感エリアがある.その先には,サメやエイに触れることができるコーナーも.

ちなみに,サメもエイも軟骨魚類で,すべての骨が軟骨のため,陸上では体を支えられないそうだ.サメとエイの違いは,エラが横側にあるか,腹側にあるかで,平べったいのがエイというわけではない.

新・体感エリア@海遊館
新・体感エリア@海遊館

この他にも,色々なモノを見せてもらい,色々な話を聞かせてもらったが,それは海遊館ガイドツアーに参加してのお楽しみとしておこう.

最後に,長男がお姉さんに質問した内容を書いておく.実は,ガイドツアーに参加する前に,館内を全部見学して,前回来たときに見たマンボウがいないことに気が付いた.もしかして死んでしまったのかとも思ったのだが,長男が「マンボウはどこに行ったのですか?」とお姉さんに尋ねたところ,「今は健康診断のために,高知県の研究所にいるんですよ」とのことだった.健康診断が終われば,海遊館に戻ってくるそうだ.

まあ,ともかく,海遊館ガイドツアーはお勧めだ.大変面白いし,勉強にもなる.

6月 062013
 

本年度から,京都大学工学部物理工学科4回生配当科目「品質管理」の前半を担当している.今週の講義で前半が終了するということで,最後に,講義前半の感想(講義前半で最も印象に残ったこと)を書いてもらった.その感想に対する返事を書いたので,ここに掲載しておこう.ついでに,補足もしておく.


提出してもらったレポートを読ませてもらいました.色々と書いてもらいましたので,個々に答えることはできませんが,いくつかについて,私の感想を書いてみます.

まず,品質管理の講義前半では,かなり産業応用を意識した話をしました.こういう技術は現場で役立てられてナンボだと思うからです.さらに,昔話ではなく,最先端の関連研究も紹介しました.この講義を通して,応用研究の面白さを知って貰えたなら,それも講義の成果だと思います.最終講義で述べましたが,これから研究に取り組む上で,非基礎&非応用研究に取り込まれないように注意して下さい.

【補足】非基礎研究と非応用研究については「計測自動制御学会 制御部門 パイオニア技術賞」を参照.

講義で扱った内容では,応用のみならず,最小二乗法の話が目から鱗だったいう人もいますね.最小二乗法に限らず,どんな方法も,どんな道具も,正しい使い方をきちんと習得し,適材適所で使うように心掛けましょう.成果をあげるためには,とても大切です.

【補足】最小二乗法の勘違いについては「回帰分析(最小二乗法)を理解してるか?主成分分析との違いは?」を参照.

講義そのものも真面目にしましたが,どうしてもメッセージ(漫談・雑談ともいう)に力が入って,本末転倒になってしまった感もありますが,正直なところ,品質管理が将来必要にならなくても,講義で述べたメッセージのいくらかは役立ててもらえるだろうと期待しています.

ただ,メッセージは,あくまで私の個人的な考え方を述べただけであり,違う考え方の人がいて当然です.「加納はあんなこと言ってたけど,自分はそうは思わない,あいつは間違っている」で大いに結構です.大切なのは,ニュースを聞くときも,本を読むときも,論文を読むときもそうですが,鵜呑みにしないことです.疑うことも大切です.自分で考えて,高所大所から,様々な観点から,情報を吟味し,取捨選択することが大切です.もちろん,適切に取捨選択できるためには,それだけの知識と判断力を身に付けておかなければなりません.そのためにも,良書を読め,勉強しろというわけです.そして,立派な人との縁を大切にしろということです.自分のために.そして社会のためにも.

【補足】寸暇を惜しむこと,私淑する師と良い友人を持つこと,愛読書を持つことの大切さについては「博士課程進学という決断: 青年の大成 - 学生に読んでおいて欲しい本」を参照.

初回講義の「読書しろ!」に刺激されて,本を最低週1冊読むようになったという人がいました.週1冊とはいわないまでも,本を読むようになったという人が複数いてくれました.そのことも嬉しいですが,何より嬉しいのは,様々な発見があって楽しいし,視野が広がるし,もっと昔からやっておけばよかったと感じてくれていることです.読書したら,それだけのことはありますから,是非続けて下さい.

一方で,本を読もうと思うと書いていてくれた人もいます.思うだけでは意味がないので,このメールを読んだら,すぐに図書館か書店に行って本を手に入れて,読み始めて下さい.

私のメッセージのどれについても言えることですが,感心するだけでは意味がありません.心に引っかかったものがあるなら,実行して下さい.それで人生が変わります.過去は変わらなくても,今からは変えられます.

edXの話もそうですが,チャンスを見逃さない人になって下さい.ボーッとしておきながら,自分に機会が与えられないのが悪いなどと愚痴るような人にはならないで下さい.

【補足】オンライン学習MOOCについては「無料で勉強できるオープンエデュケーション」を参照.

講義では,いくつか名言(っぽいもの)も紹介しましたが,出典を辿って,アリストテレスの格言に行き着いた人もいますね.そのように自分で調べてみるのは大切です.実に偉い!

【補足】講義で紹介した名言については「最終講義での学生へのメッセージ」を参照.

あと,プレゼンについて書いてくれた人も多かったです.4回生向けの研究室説明会でもプレゼンの重要性について語りましたから,その影響もあるでしょう.プレゼンの上達には練習あるのみです.プレゼン関連の本を読みましたと書いてくれた人もいます.本を読んで,良さそうなことを見付けたら,とにかく実行してみましょう.自分のプレゼンにどんどん取り込んで下さい.スライド作成にも,原稿にも,話し方にも,

【補足】プレゼンについては「学会発表や卒業研究発表の前に読みたいプレゼンテーション・アドバイス」を参照.

随分と偉そうなことを話しましたし,書きましたけれども,心から,諸君がこれから大活躍してくれることを願っています.

志とか将来のビジョンとかを持つのは簡単でありませんが,それでも,諦めずに考えてみて下さい.充実した大学生活を送られますように.

6月 022013
 

5月も終わり,本年度も既に2ヵ月が過ぎました.大学では前期も半分が終わりました.昨今の学生は驚くほど出席率が良いですが,それでも,5月病というのか,ゴールデンウィーク頃から講義に出なくなる学生もいるでしょう.昔もそうでした.4月はキャンパスに人が溢れているのに,5月になると一気に閑散としてしまい,講義によっては誰も来なくなる.講義に出ないのにも色々なり理由があると思いますが,講義が面白くないと言い訳してみても,勉強しないで損するのは,勉強しない自分です.

そもそも私は「講義に出ろ!」とは言わない主義で,むしろ,「ある科目を修得しているなら単位を認定され,修得していないなら認定されないべき」と考えています.だから,講義に出席すること自体は全く評価しません.その科目の単位を取ったと世間に宣言するなら,これだけは知っていて,理解していて当然という最低限のレベルをクリアしているかどうかが重要だと考えています.だから,そういう視点で成績評価しています.

「勉強しろ!」と言われると,授業料を払ってるのは自分なのだから,勉強しないのも学校を休むのも自分の勝手だろ!と考える人もいるかもしれません.でも,何度も繰り返しますが,例えば京都大学では,学生1人あたりの教育に年間174万円,授業料の約3倍をかけているわけです.授業料を払ってるのは自分だから勉強しないのは自由だなどとは決して言えません.

そういう私も,もう20年以上前になりますが,大学に入学してすぐに,大学には失望したものです.ボソボソ呟くだけで熱意の欠片も伝わってこない教員とか,勉強なんて全然やる気のない学生とか,そんなのが多くて,田舎の無名高校を卒業して,京都大学って凄いところのはずだと思っていた者としては,結構ショックでした.正直,この程度のレベルかと思いましたね.

それでも,4回生で研究室配属されてから痛感しましたが,大学には,とんでもなく凄い人達がいっぱいいます.なかなか講義を聞いているだけではわからないのですが,物凄い研究をしていたり,恐ろしく頭の回転が速かったり,なんでも知っていたり,驚くべき趣味を持っていたり,そういう教員がたくさんいます.そんな一面に早く触れられるといいなと思います.私の場合,研究室で,研究する教員の凄さを目の当たりにして衝撃を受けました.

その上には,さらに海外があります.研究するようになって,何度か国際会議に参加してみると,少数ですが,こいつら化け物かと驚愕するような奴らがいるわけです.それはもう,刺激を受けますよね.

自分の目に映る景色は,自分がどれくらい高いところにいるかで変わります.だから,大学生には上を見て登って欲しいと思います.

勉強も研究も真剣に取り組む価値があるし,何より無茶苦茶面白いですよ.折角大学にいるなら,中途半端にやるだけでは勿体ないです.

北里柴三郎はこう言っています.

大業を成さんとするなら,各人がそのための基礎を固めるべきであり,その基礎とは自分自身の勉強です.どんなに志があっても力がなければ他人はその人を信頼しない.(北里柴三郎)

当然,勉強することは必要です.志があっても,力がなければならない.そして当然,志も必要です.頭が良いだけでは何も為せません.

君子に貴ぶ所のものは志のみ,胆のみ.胆なく志なくんば,則ち区々の才知将た何の用か之れを為さん.(吉田松陰)

あと,大学時代には色々なことに取り組んだらいいと思います.学校でもそれ以外でも,失敗したり間違ったりしたら減点ね,ということになっているかもしれませんが,だから無難に何もしませんでは,全然面白くありませんよね.ワクワクすることがありませんよね.楽しめませんよね.新しいことにドンドン挑戦して,やるだけやったなら,ダメでもいいじゃないですか.

皆さんの大学生活が素晴らしいものになりますように!