6月 062013
 

本年度から,京都大学工学部物理工学科4回生配当科目「品質管理」の前半を担当している.今週の講義で前半が終了するということで,最後に,講義前半の感想(講義前半で最も印象に残ったこと)を書いてもらった.その感想に対する返事を書いたので,ここに掲載しておこう.ついでに,補足もしておく.


提出してもらったレポートを読ませてもらいました.色々と書いてもらいましたので,個々に答えることはできませんが,いくつかについて,私の感想を書いてみます.

まず,品質管理の講義前半では,かなり産業応用を意識した話をしました.こういう技術は現場で役立てられてナンボだと思うからです.さらに,昔話ではなく,最先端の関連研究も紹介しました.この講義を通して,応用研究の面白さを知って貰えたなら,それも講義の成果だと思います.最終講義で述べましたが,これから研究に取り組む上で,非基礎&非応用研究に取り込まれないように注意して下さい.

【補足】非基礎研究と非応用研究については「計測自動制御学会 制御部門 パイオニア技術賞」を参照.

講義で扱った内容では,応用のみならず,最小二乗法の話が目から鱗だったいう人もいますね.最小二乗法に限らず,どんな方法も,どんな道具も,正しい使い方をきちんと習得し,適材適所で使うように心掛けましょう.成果をあげるためには,とても大切です.

【補足】最小二乗法の勘違いについては「回帰分析(最小二乗法)を理解してるか?主成分分析との違いは?」を参照.

講義そのものも真面目にしましたが,どうしてもメッセージ(漫談・雑談ともいう)に力が入って,本末転倒になってしまった感もありますが,正直なところ,品質管理が将来必要にならなくても,講義で述べたメッセージのいくらかは役立ててもらえるだろうと期待しています.

ただ,メッセージは,あくまで私の個人的な考え方を述べただけであり,違う考え方の人がいて当然です.「加納はあんなこと言ってたけど,自分はそうは思わない,あいつは間違っている」で大いに結構です.大切なのは,ニュースを聞くときも,本を読むときも,論文を読むときもそうですが,鵜呑みにしないことです.疑うことも大切です.自分で考えて,高所大所から,様々な観点から,情報を吟味し,取捨選択することが大切です.もちろん,適切に取捨選択できるためには,それだけの知識と判断力を身に付けておかなければなりません.そのためにも,良書を読め,勉強しろというわけです.そして,立派な人との縁を大切にしろということです.自分のために.そして社会のためにも.

【補足】寸暇を惜しむこと,私淑する師と良い友人を持つこと,愛読書を持つことの大切さについては「博士課程進学という決断: 青年の大成 - 学生に読んでおいて欲しい本」を参照.

初回講義の「読書しろ!」に刺激されて,本を最低週1冊読むようになったという人がいました.週1冊とはいわないまでも,本を読むようになったという人が複数いてくれました.そのことも嬉しいですが,何より嬉しいのは,様々な発見があって楽しいし,視野が広がるし,もっと昔からやっておけばよかったと感じてくれていることです.読書したら,それだけのことはありますから,是非続けて下さい.

一方で,本を読もうと思うと書いていてくれた人もいます.思うだけでは意味がないので,このメールを読んだら,すぐに図書館か書店に行って本を手に入れて,読み始めて下さい.

私のメッセージのどれについても言えることですが,感心するだけでは意味がありません.心に引っかかったものがあるなら,実行して下さい.それで人生が変わります.過去は変わらなくても,今からは変えられます.

edXの話もそうですが,チャンスを見逃さない人になって下さい.ボーッとしておきながら,自分に機会が与えられないのが悪いなどと愚痴るような人にはならないで下さい.

【補足】オンライン学習MOOCについては「無料で勉強できるオープンエデュケーション」を参照.

講義では,いくつか名言(っぽいもの)も紹介しましたが,出典を辿って,アリストテレスの格言に行き着いた人もいますね.そのように自分で調べてみるのは大切です.実に偉い!

【補足】講義で紹介した名言については「最終講義での学生へのメッセージ」を参照.

あと,プレゼンについて書いてくれた人も多かったです.4回生向けの研究室説明会でもプレゼンの重要性について語りましたから,その影響もあるでしょう.プレゼンの上達には練習あるのみです.プレゼン関連の本を読みましたと書いてくれた人もいます.本を読んで,良さそうなことを見付けたら,とにかく実行してみましょう.自分のプレゼンにどんどん取り込んで下さい.スライド作成にも,原稿にも,話し方にも,

【補足】プレゼンについては「学会発表や卒業研究発表の前に読みたいプレゼンテーション・アドバイス」を参照.

随分と偉そうなことを話しましたし,書きましたけれども,心から,諸君がこれから大活躍してくれることを願っています.

志とか将来のビジョンとかを持つのは簡単でありませんが,それでも,諦めずに考えてみて下さい.充実した大学生活を送られますように.

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