12月 252014
 

red-pen

年度初め,それに卒業論文や修士論文の提出が差し迫ってくる頃に,研究室の学生に論文執筆や研究発表についてのアドバイスをする必要がある.毎年ほとんど同じ内容を繰り返すことに加えて,アドバイスの内容は私の研究室以外の学生や社会人にも参考になるところがあると思うので,このブログに書き連ねてきた.メモの数が多くなり,学生に読むように指示すべきメモを探さないといけなくなってきたので,ここに選抜したメモを列挙しておく.

論文の書き方やプレゼンの仕方は分野によっても異なるし,教員ごとに指示する内容も異なると思われる.あくまでも,私はこう思っているということで,参考になる部分があれば参考にしてもらいたい.

勉強方法のアドバイス

レポート作成/論文執筆のアドバイス

研究発表/プレゼンテーションのアドバイス

12月 072014
 

Holmes

シャーロック・ホームズがワトソンにこう言っている

I have no data yet. It is capital mistake to theorize before one has data. Insensibly one begins to twist facts to suit theories, instead of theories to suit facts.

データを集めろ.データを見ろ.それなくして,まともな解析はできない.

12月 072014
 

evernote

四六時中使用しているMacBook Air(Yosemite)で,突然,Evernoteが猛烈に遅くなった.ノートを表示しようとしても数秒どころか数十秒表示されない.遂にノート数かノートサイズが臨界点を超えてしまったかと思い,高速化する方法をググって実行してみた.うまくいったのでメモしておく.

ちなみに,劇遅状態になったときのフォルダ情報を見ると,41137項目,1.7GBとなっていた.最初の問題は,このEvernoteのローカルファイルが保存されているフォルダ(データベースフォルダ)がどこにあるのか,ということだ.データベースフォルダの場所が分からないと,データベースを再構築できない.

データベースフォルダはライブラリの深奥に存在するが,これを正攻法で探すのは簡単ではない.ところが,Evernoteのメニューから,

“Evernote” → “Evernote について”

を開いて,ポップアップウィンドウが表示されたら,そこで”option”を押す.すると,「データベースフォルダを開く」というリンクが表示される.このリンクをクリックすると,データベースフォルダが現れる.これは便利だ.

念のため,このデータベースフォルダを別名にして避難させておく.その上で,Evernoteを再起動すると,データベースが自動的に再構築される.以上.

これでEvernoteがサクサクと動くようになった.

12月 042014
 

自宅用iPadが子供のゲーム機に成り果てている.

ゲームをするのは構わないが,他を疎かにするのは良くないので,日替わりパスワードを作ってみた.

最初に作成したのが,虫食い算バージョン.地球儀を購入した後に作成したのが,地球儀バージョン.

iPadの日替りパスワード:虫食い算バージョン
iPadの日替りパスワード:虫食い算バージョン

iPadの日替りパスワード:地球儀バージョン
iPadの日替りパスワード:地球儀バージョン

11月 302014
 

最近,地球儀を購入した.渡辺教具製作所の卓上地球儀リブラブルーNo.3060だ.大きめで,文字が見やすく,高級感があって,かつ行政タイプ(国別色分け)のものを探した結果,この地球儀に行き着いた.直径は30.5cmで,小さな文字で書かれた都市名も見やすい.さらに,人工衛星からのデータを用いて凹凸があるように描かれているため,ベタ塗りの行政タイプと違って見栄えも良い.ちなみに,行政タイプというのは長男の希望だ.

卓上地球儀 リブラブルー No.3060(渡辺教具製作所)
卓上地球儀 リブラブルー No.3060(渡辺教具製作所)

この地球儀を眺めているうちに,国の名前の長さが気になったようで,「朝鮮民主主義人民共和国が一番長いかな」などと長男が言う.「いや,地球儀にはイギリスと書いてあるけど,本当の名前なら『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』の方が長いだろう」と指摘すると,日本語の正式な国名の長さのランキングを調べたいと長男が言い出した.早速調べてみると,英語での国名の長さのランキングはあるが,日本語での順位をまとめたものがないようだ.

そこで,長男が調べた.結果(トップ10)を下表にまとめておく.なお,漢字ではなく,仮名で書いたときの文字数で順位付けしてある.

<日本語での正式名称が長い国名を持つ国の世界ランキング・トップ10>

順位
国名
文字数
1 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス) 27
2 スリランカ民主社会主義共和国 22
2 セントビンセントおよびグレナディーン諸島 22
2 朝鮮民主主義人民共和国 22
5 アルジェリア民主人民共和国 20
6 エチオピア連邦民主共和国 19
6 サントメ・プリンシペ民主共和国 19
8 セントクリストファー・ネイビス連邦 18
8 ネパール連邦民主共和国 18
8 東ティモール民主共和国 18
11月 252014
 

2012年にNational Science Board (NSB)がまとめたレポート“Diminishing Funding and Rising Expectations: Trends and Challenges for Public Research Universities”がある.

このレポートでアメリカのNational Science Foundation (NSF) – National Science Board (NSB)は,公立研究大学において,長期的に財務状態が劣化していくことと,すべての学生に妥当な費用で質の高い教育を提供できなくなることとに懸念を表明している.学生数の増加と州政府による財政支援の削減が続いており,このままでは,優秀な学生を惹き付け,次世代を担う科学者や技術者を養成し,私立大学と競争していくことは困難になると共に,授業料を引き上げ続けることになるだろうと警告している.さらに,アメリカが,科学・工学分野で優れた大学卒業生を増やし,今日の知識主導のグローバル経済で競争していくためには,大多数の理工系学生の教育に貢献している公立研究大学を強化し,妥当な費用で質の高い教育が提供されるように,継続的に取り組んでいかなければならないと指摘している.

さらに,このレポートでは,公立研究大学の収入減少と公立研究大学と私立研究大学との間の給料格差が公立研究大学における優秀な人材の流出と研究能力の低下を招いている点も指摘している.

また,連邦政府による学生ローンプログラムが拡大するなか,学部および大学院教育に意図しない影響を与えないように,プログラム内容のいかなる変更にも注意する必要があると指摘している.

このレポートの概要を読んで,日本の国公立大学の現状が,NSFがその衰退を懸念するアメリカ公立研究大学の姿に重なった見えた.

“Diminishing
Diminishing Funding and Rising Expectations: Trends and Challenges for Public Research Universities

本レポートの結論部分を引用しておく.

CONCLUSIONS

The Board is concerned with the long-term fiscal health of the Nation’s public research universities and their ability to maintain affordable, quality education for all students. These institutions have witnessed substantial growth in enrollment coupled with diminishing state funding per student over the course of the last decade. This trend, if it continues or if other sources of support are not identified, threatens their continued capacity to attract the best talent, to provide quality education and training for the next generation of scientists and engineers, and to compete with their private counterparts, and is likely to result in an ongoing increase in tuition and fees. An enduring commitment to strengthen these universities and maintain quality and afford- ability is imperative if our Nation is to increase the number of highly-skilled U.S. S&E graduates and compete in today’s knowledge-driven global economy.

In future editions of Science and Engineering Indicators−the Board’s biennial report on quantitative information about U.S. science, engineering, and technology−the Board intends to expand the treatment of higher education institutions while providing greater depth of analysis specific to public research universities. The 2014 edition of Indicators will include data on the major revenue and expenditure streams of public research universities and cost to students and families, providing consistent, policy-neutral information that policy-makers can use in considering whether these universities can meet local, state, and national demand for the type of skilled S&E workers and transformative research necessary to fuel economic growth and to address societal challenges.

The National Science Board offers the following observations:

  1. Increased enrollment and declining state support have occurred in all sectors of the public higher education system. Public research universities educate and train the majority of our Nation’s scientists and engineers. They are contributors to economic development at the local, state, and national levels and represent an essential component of the higher education landscape. A continued decline in state support will negatively impact the ability of these universities to provide quality education and training to a diverse student body and attract and retain the talent needed to maintain the scope and quality of their research efforts.
  2. Increased enrollment in higher education is projected to come mainly from traditionally underrepresented minority groups. While enrollment at public research universities has continued to increase, a greater share of students, particularly minorities, are attending public 2-year or private for-profit institutions. Public research universities provide opportunities for undergraduate research training and access to researchers in the classroom that are typically unavailable at these institutions. These opportunities can positively impact students majoring in S&E disciplines at a critical time in their academic career. Greater emphasis should be placed on recruiting underrepresented groups to public research universities and facilitating the transfer and continued success of S&E majors from community colleges. The PCAST report, Engage to Excel: Producing One Million Additional College Graduates with Degrees in Science, Technology, Engineering, and Mathematics, suggests pathways that provide authentic research experience for community college students and opportunities to develop relationships with faculty at 4-year institutions to ease the transition to these institutions.
  3. Reductions in revenue of public research universities and gaps in salary between public and private research universities have the potential to lead to an outflow of talent at public research universities and reduced research capacity. These could result in greater concentration of talent and R&D in fewer geo- graphical locations, and at fewer universities, with smaller and less diverse student bodies. This could have a substantial impact on economic and workforce development at the local, state, and national levels.
  4. The Federal subsidized loan program continues to evolve. Any proposed changes to the program should be carefully examined to avoid unintended consequences to undergraduate and graduate education.
11月 242014
 

生命とは何か―物理的にみた生細胞
シュレーディンガー,岡小天(翻訳),鎮目恭夫(翻訳),岩波書店,2008

原著”What is life? – The Physical Aspect of the Living Cell”は1943年2月に行われた連続講演をもとにして1944年に出版された.つまり,ワトソンとクリックがDNAの二重螺旋構造を提唱した1953年よりも前の話ということになる.その時点で分子生物学的なモノの見方を提示しているのだから,やはり凄いのだろう(私は分子生物学を知らない).

自然現象を物理法則や化学法則といった形式で表現するために統計が必要であることの例証など実に明快に説明してくれている.また.エピローグ「決定論と自由意思について」に綴られた独白も実に興味深い.

それはともかく,本書を貫く問い「生命とは何か?」に対する物理学者としてのシュレーディンガーの回答を私なりに1枚のスライドにまとめてみた.

生命とは何か
生命とは何か

本書「生命とは何か―物理的にみた生細胞」の60節には次のように書かれている.

60 生物体は環境から「秩序」をひき出すことにより維持されている

生物体が崩壊して熱力学的平衡状態(死)へ向かうのを遅らせているこの驚くべき生物体の能力を統計的理論を使ってどのように言い表わしたらよいのでしょうか? 前には次のようにいいました.「生物体は負エントロピーを食べて生きている」,すなわち,いわば負エントロピーの流れを吸い込んで,自分の身体が生きていることによってつくり出すエントロピーの増加を相殺し,生物体自身を定常的なかなり低いエントロピーの水準に保っている,と.

(中略)

事実,高等動物の場合には,それらの動物が食料としている秩序の高いものをわれわれはよく知っているわけです.すなわち,多かれ少なかれ複雑な有機化合物の形をしているきわめて秩序の整った状態の物質が高等動物の食料として役立っているのです.それは動物に利用されると,もっとずっと秩序の下落した形に変わります.

読みやすい文章ではないが面白い.

目次

 
第1章 この問題に対して古典物理学者はどう近づくか?
第2章 遺伝のしくみ
第3章 突然変異
第4章 量子力学によりはじめて明らかにされること
第5章 デルブリュックの模型の検討と吟味
第6章 秩序、無秩序、エントロピー
第7章 生命は物理学の法則に支配されているか?
エピローグ 決定論と自由意思について

11月 212014
 

現在,AIChE Annual Meeting(米国化学工学会年会)に参加するため,アトランタに滞在している.この会議には世界中から化学工学分野の研究者が集まるため,アメリカ化学工学会の会議ではあるが,大型の国際会議と言える.約1週間にわたり,朝8:30から夜8:00まで,60以上のパラレルセッションが行われ,昼間もプレナリーセッションがあって,すべてに参加すると昼食を取る時間さえないような会議だ.

今回は,研究室の修士課程学生2名と一緒に参加している.修士2年の学生は”Visualization and Prediction of Operating Conditions of Blast Furnace”というタイトルで,修士1年の学生は”Wavenumber Selection for NIR Calibration Modeling: Application to Water and Drug Content Estimation”というタイトルで発表をした.

2人とも非常に優秀な学生で,私が修士のときと比べたら,というか,比べるのがおこがましいくらいに良くできる.しかも,3人の中で英語が一番できないのが私という状況だ.こういう学生が研究室に来てくれるのだから本当に有り難い.

見事な発表をした学生を食事に連れて行くため,何が食べたいかと尋ねたところ,「本場アメリカのステーキが食べたい」とのことだった.折角ステーキを食べるなら本格的なレストランで食べるのが良い経験になるだろうと思い,Morton’s The Steakhouseを予約した.モートンズは全米に展開している高級ステーキハウスで,食事とサービスの良さで有名だ.

“Filet
Filet Mignon 12oz. with Foie gras-Cognac-Butter@Morton’s The Steakhouse

慰労会を始めるにあたり,まずは,アトランタの地ビール Sweet Water で乾杯!このビールは美味しいので,お勧めだ.

“アトランタの地ビールSweet
アトランタの地ビールSweet Water

メインはステーキにすることが決まっていたので,前菜には生牡蠣とオイスターロックフェラーを注文した.

“前菜の生牡蠣@Morton's
前菜の生牡蠣@Morton’s The Steakhouse

“前菜のオイスターロックフェラー@Morton's
前菜のオイスターロックフェラー@Morton’s The Steakhouse

膨大なワインリストを手にしてみたものの,何を頼むのが良いかなんて全くわからない.いつもの通り,お店の人にお勧めを尋ねる.「アメリカの赤ワインを飲みたい」とだけ伝えたところ,40ドル程の高くないワインから1000ドルを超えるワインまで揃う中で,全員がステーキを注文していることを踏まえて,モートンズお勧めという63ドルの赤ワインを勧めてもらった.迷うことなく,それをお願いする.

“お勧めのアメリカ赤ワイン@Morton's
お勧めのアメリカ赤ワイン@Morton’s The Steakhouse

いよいよメイン料理だ.私は Filet Mignon 12oz(55ドル)を選んで,さらに,アップグレード(5ドル)でフォアグラ・コニャック・バター(Foie gras-Cognac-Butter)を付けることにした.学生1名も同じ牛フィレ肉を注文した.ただしアップグレードはなし.

“牛フィレ肉+フォアグラ・コニャック・バター@Morton's
牛フィレ肉+フォアグラ・コニャック・バター@Morton’s The Steakhouse

もう1人の学生は巨大ステーキ Raymond Primal Cut 24oz(64ドル)を注文した.とにかくデカイ.驚くべき大きさだ.アメリカを満喫してくれたことだろう.

“巨大ステーキRaymond
巨大ステーキRaymond Primal Cut 24oz@Morton’s The Steakhouse

付け合わせに Spinach & Mushrooms と Steamed Broccoli を注文して,みんなでシェアした.ホウレン草とマッシュルームはお店の人のお勧めだが,これもとても美味しかった.

この時点でもうお腹一杯だったわけだが,学生にとっては初めての高級ステーキハウスだから,デザートまで一通り食べてみるのがいいだろうと思い,これもお店の人お勧めのチョコレートケーキとアイスクリームを注文した.

“チョコレートケーキとアイスクリーム@Morton's
チョコレートケーキとアイスクリーム@Morton’s The Steakhouse

中に濃厚なトロトロのチョコレートが詰まったチョコレートケーキと,サッパリしたアイスクリームの組み合わせは,非常に良かった.アメリカにしては甘すぎることなく,とても美味しいデザートだった.しかし,とにかく巨大なステーキを食べた後だ.完食してから注文したことを後悔する気持ちがなかったと言えば嘘になる.

“中がトロトロのチョコレートケーキ@Morton's
中がトロトロのチョコレートケーキ@Morton’s The Steakhouse

実は,当研究室の3名(私と学生2名)に加えて,旧所属研究室の2名も一緒だった.5人でトータル640ドル.まさに予告通りの散財だが,美味しい料理を楽しくいただいて,素晴らしい時間を過ごすことができた.大満足だ.

ホテルに戻ってパソコンの電源を入れると「7年振りの円安!」とかいうニュースが目に入った.「勘弁してくれ」と呟いたのはここだけの話にしておこう.

11月 032014
 

U.S. News & World ReportからBest Global Universities Rankingsが発表された.今回発表された世界大学ランキングでは,東大が24位に入ったものの,日本の大学が軒並み順位を落としたことが注目されている.ちなみに,早稲田大学は284位,慶應大学は364位である.

1位ハーバード、東大24位 米誌が世界大学ランキング

米誌のUSニューズ・アンド・ワールド・リポートは28日、世界の大学ランキングを初めて公表した。トップは米国のハーバード大で、上位10校のうち8校は米国の大学が占めた。日本からは、東京大学がアジアの大学として最も高い24位で、京都大学が60位に入った。

(朝日新聞 2014年10月30日05時35分)

この世界大学ランキングの是非はともかく,大学の評価は一朝一夕に定まるものではない.この数年間,あるいはそれ以上の期間の活動の結果として相対評価が低下したという事実は受け止めなければならない.スーパーグローバル大学をはじめ,大学に改革を迫り続けている高等教育行政についても同様だ.

しかし,ここで,その話をしようというのではない.

日本の高等教育行政に多大な影響を与えている世界大学ランキングにおいて,お金の力で順位を上げる,それも特定の分野でトップ10に入る大学が現れたという話だ.まず,”To some a citation is worth $3 per year“(October 31, 2014)で指摘された数学分野の世界大学ランキングを見てみよう.

1103MathRanking

トップ3には,University of California-Berkeley,Stanford University,Princeton Universityとアメリカの有名大学が並ぶ.記事で指摘されているのは,第7位のKing Abdulaziz University (KAU)だ.サウジアラビアの大学だが,数学分野では全くの無名大学だという.その無名大学が世界大学ランキングでトップ10内に躍進できたのはどうしてだろうか.日本の大学もその戦略を学ばないわけにはいかないだろう.

KAUがどの程度無名かというと,ランキングでトップになったUC-Berkeleyに在籍する研究者(著者)が,KAUの研究者に会ったことも,KAUの卒業生がポジションを求めてきたこともないと述べるくらいだ.

Even more surprising is the entry at #7 that I have boldfaced: the math department at King Abdulaziz University (KAU) in Jeddah, Saudi Arabia. I’ve been in the math department at Berkeley for 15 years, and during this entire time I’ve never (to my knowledge) met a person from their math department and I don’t recall seeing a job application from any of their graduates.

トップ10に入るような大学なら,優れた研究成果を挙げており,著名な研究者もいるはずだ.一体どういうことなのだろうか.著者もその点に興味を抱いたらしく,KAUについてググっている.その結果,KAUは1967年に設立された大学だが,数学専攻のPh.D.プログラムは僅か2年の歴史しかなく,専攻長のProf. Abdullah Mathker Alotaibiは研究業績なしで2005年に学位を取得していることが判明したという.この大学がどのようにしてトップ10入りを果たせたのか?

その理由を明らかにする前に,U.S. News Best Global Universities Rankingsの評価方法を確認しておこう.このランキングでは下表の8項目が評価される.

Ranking indicator Weights used for
soft sciences
Weights used for
hard sciences
Global research reputation 12.5% 12.5%
Regional research reputation 12.5% 12.5%
Publications 17.5% 15%
Normalized citation impact 7.5% 10%
Total citations 12.5% 15%
Number of highly cited papers 17.5% 15%
Percentage of highly cited papers 10% 10%
International collaboration 10% 10%

もちろん,論文の発表数と被引用数は重要であり,日本の大学の多くが苦しんでいる国際性も評価対象になっている.これらの評価指標で高得点を取るためにKAUが採用した作戦は,被引用数が顕著に多い研究者を外部教授(非常勤教員)として雇用するというものらしい.

In fact, in “normalized citation impact” KAU’s math department is the top ranked in the world. This amazing statistic is due to the fact that KAU employs (as adjunct faculty) more than a quarter of the highly cited mathematicians at Thomson Reuters.

この記事には,KAUから著名研究者へのメールも掲載されている.「Re: Invitation to Join “International Affiliation Program” at King Abdulaziz University, Jeddah Saudi Arabia」と題されたこのメールでは,月給6000USDを支払うこと,年間3週間KAUで働くこと,ビジネスクラス航空券代金や五ツ星ホテル滞在費を含めて必要経費はすべて支払うこと,KAUのローカルな研究者と共同研究しなければならないこと,などと共に,最後に,KAUに所属していることを明示してISIジャーナルに論文を発表することが明示されている.

1103letter

この現実をどのように考えるか.KAUの手段は反則だろうか.仮に問題があるとしたら,何が問題なのだろうか.

サウジアラビアには,King Abdullah University of Science and Technology (KAUST)という別の大学がある.KAUSTは,大学運営のためにCalTechの元学長を迎え入れるなど,優れた研究者の獲得に力を入れていることで知られる.日本でも,OISTは著名な国内外の研究者を集めていることで知られる.海外にもそのような大学は多く,日本は人材獲得競争で取り残されていると言えよう.

KAUは年3週間の滞在と共同研究の実施に対して72000USD(≒800万円)を支払うと申し出ているわけだが,では,お金を支払って非常勤研究者を雇用することがいけないのだろうか.もちろん,そんなことはない.日本の大学でも,海外の大学でも,同じようなことを実施している.違いがあるとすれば,KAUが提示している条件が非常に良いということだろう.日本の大学法人が3週間の滞在に800万円どころか100万円も出せるわけがない.ノーベル賞受賞者に年数千万円の給料を支払うのがけしからんとされる国だ.

問題視されるのは,実質的にそこで研究が行われたわけではない研究機関が,研究者の所属機関としての名声を得るという点だろう.実際,その結果として世界ランキングが7位にまで急上昇したために,こうして人目に触れるようになったわけだ.

しかし,サウジアラビアの無名な大学が世界大学ランキングでトップ10に入ることができたのは事実であり,そのようなランキングに上から下までが右往左往しているのが,今の大学を取り巻く環境である.

大学は優れた研究が生まれる環境であって欲しいものだ.学生も含めて研究者同士が活発に交流し,面白いと思うことに挑戦していく場であって欲しいものだ.その多くが失敗するとしても,いや多くの失敗ができるからこそ,そのような場から優れた研究も生まれるのだと思う.研究も教育も補来,長い目で見るべきものだろう.

10月 132014
 

スイスとパリを存分に楽しんだ家族旅行も遂に終わりを迎えることになり,帰国の途につく.パリCDG空港までの移動には,モンパルナス駅からエールフランスバス(AIRFRANCE BUS)を利用することにした.モンパルナス駅6:00発の始発に乗るため,5:30前にモンパルナスのホテルHotel De La Paixを出て,みんなでスーツケースをゴロゴロと転がしながら,まだ真っ暗なパリの街を歩く.バス停には一番乗りだった.

“モンパルナス駅6:00発パリCDG空港行きのエールフランスバス”
モンパルナス駅6:00発パリCDG空港行きのエールフランスバス

往路は,エールフランスで関西国際空港からパリCDG空港を経由してチューリッヒ空港へというルートだったが,復路は,アリタリア航空でパリCDG空港からローマ・フィウミチーノ空港を経由して関西国際空港へというルートになった.ハプニングもあって大いに疲れる空の旅だったが,ともかく無事に京都まで戻ってきた.

以下に,今回の家族旅行の全体像をまとめておこう.

こうして改めてまとめて見ると,本当によく遊んだものだと思う.とても良い旅行をさせてもらい,感謝感激.