1月 182014
 

国際誌のエディターや査読者としての自分自身の経験を踏まえて,ジャーナル(学術雑誌)に論文投稿するときに気を付けたいことを簡単にまとめてみる.初めて論文を投稿するという大学院生くらいが対象になるだろう.既に博士(なんとか)な人は読む必要はないはずだ.また,異なる分野のことは知らない.

ちなみに,そもそも研究レベルが低い論文は無視する.

まず,ジャーナルに論文を投稿しようと思ったときにしなければならないのは,自分の研究に適したジャーナルを選ぶことだ.当然ながら,ジャーナルによって対象とする研究分野が違う.同じ分野でも,理論よりのジャーナルと応用よりのジャーナルがあったりもする.ジャーナルの知名度やランクも異なる.ジャーナルやそのウェブサイトには,SCOPEやTOPICSが記載されているはずなので,しっかり読んで,少なくとも,分野違いのジャーナルに投稿するような愚を犯してはならない.もしやれば,即刻リジェクトになる.

投稿すべきジャーナルが決まったら,論文原稿を執筆する前に,著者への指示がジャーナルのウェブサイトに掲載されているはずなので,それをきちんと読まないといけない.例えば,査読段階での原稿はシングルカラムで書けとか,色々と規則があるはずだ.図表の書き方や参照の仕方,数式の書き方,参考文献の書き方など,ジャーナルごとに決まっている.ところが,そういう規則を無視した原稿を投稿してくる輩がいる.そういう原稿は,査読にまわされずにリジェクトされて当然だ.

LaTeXで執筆する著者向けにはクラスファイルを,MS-Wordで執筆する著者向けにはテンプレートを用意してくれているジャーナルもある.その場合には,クラスファイルやテンプレートの使い方をよく読んだ上で,それらを使おう.

では,投稿規定に従っているとしよう.次に気を付けたいのは,やはり,論文全体の構成だ.その研究についての論文を初めて読む査読者が,話の流れについていけるか.ここがポイントになる.その研究の重要性や必要性を説明するのはもちろん,既存の研究をサーベイした上で,それらとの関係も整理して書いておかないといけない.自身の研究についての説明では,話が飛ぶ(論理が飛躍する)ようなことがあってはいけない.緒言から結言まで,ふむふむ,なるほど,と思いながら査読者が読めるようでないといけない.さらに,「おー,これは凄い!」と思ってもらえるなら大成功だ.

図表にも気を付けたい.よく見掛けるのは,途方もなく解像度の低い図だ.一気に評価が下がる.あと,図中の文字が無茶苦茶小さかったり,フォントが汚かったり,識別しにくい色を使っていたりというのもありがちだ.読んでもらう気があるのかと思う.これも評価は低くなる.本文と同じようなファントやサイズを使うのが無難だろう.

論文をPDFで入手するようになった現在,図はカラーでも大丈夫なはずだ.しかし,査読者や読者はモノクロプリンターで印刷するかもしれない.このため,グレースケールで印刷して識別できる図にしておかなければならない.一度,実際に印刷して確認しておこう.

そして,間違い.投稿前に徹底的に推敲して,間違いは完全になくしておくべきだが,そうはなっていない論文が投稿されてくる.そんなものを,まともなジャーナルに掲載できるわけないだろう.さらに,文法やスペルの間違いもダメだ.だいたい,そういうミスを犯す奴なら,実験でもシミュレーションでもミスを犯している危険性が高い.論文の内容を信じてくれと言われても困る.かなり強く書いているが,それくらいの心積もりで論文原稿を作成してもらいたい.

論文投稿時に提出するのは論文原稿だけではない.カバーレター(送り状)をつける.ただし,そこでダラダラと研究内容を説明する必要はない.そんなことはアブストラクト(要旨)を読めばわかる.少なくとも初回投稿時には簡潔に書けばいい.なお,カバーレターはエディターに読んでもらうので,査読後の改訂版投稿時には査読結果への反論を書く必要があるかもしれない.

投稿した論文に対する査読結果が返ってきて,修正を求められた場合,論文原稿を修正すると共に,査読者への回答書を準備する必要がある.このとき,横柄な態度は禁物だ.そもそも,査読者はボランティアであり,貴重な時間を割いて論文原稿に目を通し,コメントを書いてくれている.気に入らないコメントだったとしても,まずは,査読してもらったことに感謝するのが筋だろう.コメントへの回答にも誠意を尽くすのが良い.

ちなみに,英語に自信がないなら,投稿前に英文校正をしてもらうといい.自信があっても,それが根拠のない自信なら,英文校正を受けるべきだ.

色々と書いたが,まとめると,エディターや査読者の立場になって論文原稿等を用意しろということだ.それに尽きる.

主要アドバイス一覧

勉強,レポート作成/論文執筆,研究発表/プレゼンテーションについて,主に卒業や修了を目指す学生へのアドバイスの一覧

(2015年1月15日リンク追加)

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