5月 312014
 

芝居の台詞について,津川雅彦氏が次のように語っている.

台詞を繰り返し何百回も言って覚えるには違いないんですが,回数をやればいいというものではなくて,日数をかけなきゃダメなんです.寝ては忘れ,起きてはまた覚えなおす.徐々に忘れる量が少なくなり,一晩や二晩寝てもワンフレーズも忘れなくなったら,今度は早口言葉で一気にロレらずしゃべれるようにする.次に車を運転しながらしゃべってみる.気は運転のほうに集中しないと危ないですから,そんな状態でも台詞がちゃんと出てくるかを確かめました.どんな障害にも気を散らすことなく言えるようになるまでに14日間かかりましたね.いまだに二週間前というのが自分の中で定着していて,そこから始めれば台詞を忘れるという心配は一切なしに,現場では相手役のセリフのニュアンス,間合い,テンポ,語気といったことにも神経を集中でき,それに自由に合わせられるようになった.これ,伊丹さんのおかげです.台詞は芝居の基本ですし,覚える作業が一番の苦行です.やっぱり職業というのは我慢とか忍耐とか苦労とか,そういうものを乗り越えない限り,プロの業とはいえないというのは,本当だなと思います.

プレゼン・研究発表もこれくらいの根性を持って臨めば必ずや上達するだろう.学会発表,卒業論文や修士論文の発表会も含めて,プレゼンをするというときには,少なくとも経験の浅い学生や若手はこれくらいの気合いで臨むといいと思う.相手役はプレゼンを聞いていくれる方々だ.

プレゼンするときに原稿を覚えておくのは当然だが,本番でアイコンタクトとかに気を配ったり,聴衆の反応を見ながら話す内容や調子を修正したりしようとすれば,なんとか原稿を覚えましたというレベルでは全く足りない.その上を目指さないといけない.特に研究発表の経験があまりないなら,推敲に推敲を重ねてスライドと原稿を完成させてから,1週間くらいは徹底的にプレゼンの練習をすべきだろう.練習しなければ上達もしない.もちろん,下手なままでいいというなら好きにしたらいい.うちの研究室では許されないが.

最後に,これまでにメモしたプレゼンテーション(学会発表)のアドバイスを紹介しておこう.

5月 162014
 

スイスには世界的に有名な観光列車がいくつもある.中でも氷河急行やベルニナ急行は人気があるため,特に夏に利用する場合には,事前に予約しておくべきとされている.予約方法についてメモしておく.

氷河急行(Glacier Express)

「世界一遅い特急列車」と呼ばれる氷河急行.パノラマ列車がスイスアルプスを横断し,高級リゾートのサン・モリッツまたはダヴォスと,マッターホルンを抱くツェルマットを結んでいる.

氷河急行の指定席はグレッシャー・エクスプレス(氷河急行)公式ホームページから予約できる.例えばレイルヨーロッパで予約すると2等車座席指定料金は4席で20800円となるが,公式サイトで予約すると132CHF(=約15000円)で購入できる.

グレッシャー・エクスプレス(氷河急行)公式ホームページ
グレッシャー・エクスプレス(氷河急行)公式ホームページ

ただし,公式サイトでも座席を選択することはできない.実際,「座席を選択することはできないのか?」と質問したところ,下記の回答を得た.

You can’t choose specific seats on www.glacierexpress.ch. The system is allocating the seats automatically. But if you book for four people you will get one table for four.

氷河急行で不思議なのは2等車の座席番号だ.予約結果を見ると,座席番号が「16号車11,12,13,18番」となっていて,「バラバラじゃないか!」と思ったが,実はこれでテーブルを囲む4席になっている.

氷河急行の2等車座席番号
氷河急行の2等車座席番号

ベルニナ急行(Bernina Express)

世界遺産のアルブラ線・ベルニナ線を通りアルプスを越えて南北ヨーロッパを縦断する壮観な鉄道ルート.クールとティラーノをパノラマ車両で結ぶのがベルニナ急行だ.その車窓風景は氷河急行を凌ぐと評されている.

ベルニナ急行の指定席はレーティッシュ鉄道(Rhätische Bahn AG)のサイトから予約できる.例えばレイルヨーロッパで予約すると2等車座席指定料金は4席で11200円となるが,ベルニナ急行チケットショップで予約すると56CHF(=約6400円)で購入できる.

ベルニナ急行チケットショップでは,座席を選択することができる.世界遺産のアルブラ線・ベルニナ線では,ベルニナ急行でも普通列車でも,ティラーノ行き(南行き)では進行方向右側,クール行き(北行き)では進行方向左側の眺望が良いとされている.このため,進行方向を考慮して座席指定をしたいところだが,下記FAQにあるように,列車の進行方向はわからない.予約時には運に任せるしかない.

How can I reserve seats on a specific side of the train?

As we don’t know on which side of the train certain seats are located, it is not possible to make such a booking. However, thanks to the large panoramic windows, you are able to enjoy perfect views from both sides of the train.

ベルニナ急行チケットショップ
ベルニナ急行チケットショップ

TGV Lyria

スイスのバーゼルからフランスのパリまでの移動にTGV Lyriaを利用する.フランスの鉄道予約には,フランス国鉄のサイト(Voyages-sncf.com)が便利だ.ちなみに,TGV Lyriaの専用サイトもあるが,ここから予約すると,自動的にレイルヨーロッパのサイトに誘導される.

なお,Voyages-sncf.comでは個別の座席を選択することはできないが,ある程度の好み(窓側・通路側,下階・上階など)を入力することができる.あと,TGVは残席数が少なくなると料金が上がること,路線によっては早々に完売になることに注意する必要がある.

フランス国鉄のサイト(Voyages-sncf.com)
フランス国鉄のサイト(Voyages-sncf.com)

5月 112014
 

世界で初めて(日本以外でやろうと思う国はないでしょうけど),クロマグロの完全養殖に成功したことでも有名な近畿大学水産研究所.今では,そのままの「近畿大学水産研究所」という名前の直営レストランを,大阪と銀座に出店するまでになっていますが,完全養殖を実現するまでの研究は実に大変だったようです.

近畿大学水産研究所がマグロ養殖技術開発に関する研究を開始したのは1970年です.1979年になって,ようやく養殖生け簀内での産卵と孵化に成功するも,なかなか育てることができず,1982年から1994年までの12年間は産卵も途絶えてしまったそうです.そのような状況の中で1991年に所長となった熊井氏は,20年もの間結果を出せないでいるクロマグロの完全養殖に関する研究を継続すべきかどうか悩み,近畿大学第二代総長の世耕氏に相談したそうです.そのとき,世耕総長が熊井所長にかけたのが次の言葉です.

生き物とは,そういうものですよ.簡単にいくはずがない.気を長くもって,長い目でやってください.

その直後,1994年に再び産卵に成功し,初めて沖出しにも成功したものの,完全養殖が成功するには,さらに2002年6月まで待たなければなりませんでした.研究開始から,なんと32年です.完全養殖マグロが出荷されたのは2004年でした.

なんとも凄い研究です.よくぞ続けたと,その根性と執念に感服します.もちろん,クロマグロ以前に多くの魚の養殖に成功した実績があり,養殖した魚を販売した売上を研究費に活用できる仕組みを構築していたことは,進捗のない研究を継続する上でとても重要だったことでしょう.それでも,32年ですよ.

一方で,昨今の大学を取り巻く状況を鑑みるに,大学や研究の在り方,マネジメント,総長の器など,色々と考えさせられる話でもあります.

5月 082014
 

平成26年5月6日,OECD閣僚理事会にて,安倍内閣総理大臣が基調演説をされたそうです.その全文が「OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説」として,首相官邸ホームページに掲載されています.この基調演説において,内閣総理大臣が次のように語っています.

日本では、みんな横並び、単線型の教育ばかりを行ってきました。小学校6年、中学校3年、高校3年の後、理系学生の半分以上が、工学部の研究室に入る。こればかりを繰り返してきたのです。

しかし、そうしたモノカルチャー型の高等教育では、斬新な発想は生まれません。

だからこそ、私は、教育改革を進めています。学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えています。

要約すると,「日本の大学では学術研究でなく職業教育を行う」ということです.

我が目を疑うほどインパクトがあったので,メモしておきます.

5月 072014
 

私が所属するヒューマンシステム論分野では,毎週1回,研究室メンバー全員が集まって,学生が研究進捗状況を報告し,その内容について議論する場を設けている.「全体ゼミ」と呼んでいるが,スライドを用いて発表することは認めず,担当学生(1回2〜3人)はゼミ資料(レポート)を準備しなければならない.

ゼミ資料(レポート)での発表を求めるのは,研究室として下記4項目の「在学中に身に付けるべきこと」を掲げているためだ.

  • 論理的に思考し,自分の考えを説明できるようになること.
  • 正しい日本語で文章を書けるようになること.
  • 魅力的なプレゼンテーションができるようになること.
  • 必要な知識を身に付けられるようになること.

全体ゼミは,特に1番目と2番目の力を身に付けるための場として位置付けている.学生は少なくとも卒業論文や修士論文を執筆しなければならない.大学院生にもなれば,国際会議やジャーナルに投稿する論文も書くだろう.そのときまでに学術的な文書の書き方を身に付けてもらいたいが,一朝一夕にまともな文書が書けるようになるわけがない.そこで,繰り返し繰り返し練習するための場として,全体ゼミを活用している.

もちろん,「書け!」と言われて書けるものではないため,どのように書くべきかを具体的に示す必要がある.その目的のために「全体ゼミ資料の書き方」という資料を学生に配布している.出来映えに不安は残るものの,レポートを書かないといけない学生の参考になるかもしれないので,公開してみる.

全体ゼミ資料の書き方 [PDF 426KB]

主要アドバイス一覧

勉強,レポート作成/論文執筆,研究発表/プレゼンテーションについて,主に卒業や修了を目指す学生へのアドバイスの一覧

(2015年1月15日リンク追加)

5月 072014
 

英英辞典は”Oxford Advanced Learner’s Dictionary”を使っているが,この度,オックスフォード現代英英辞典第8版(Oxford Advanced Learner’s Dictionary 8th edition)を購入した.付属のDVD-ROMを使うのが目的だったが,なんと,Macbook Air (OS X Mavericks)にインストールしたアプリケーション(oald8.app)が動かない.これでは購入した意味が激減するので,解決策を探して対処した.手短に手順をメモしておく.

  1. http://www.oup.com/zip/elt/Oald8_FlashPlayer10_Patch.zip をダウンロードする.
  2. 解凍したフォルダにある2つのファイル(Flash Player.pluginとflashplayer.xpt)を oadl8.app/Contents/MacOS/plugins に入れる.

これだけでいい.アプリ(oald8.app)が立ち上がり,正常に動作するようになった.音声も入っていて良い.

DVDに入っているREADME_MAC.txtの指示に従っていれば,oadl8.appは「アプリケーション」フォルダにあるはずだ.それを選択して「パッケージの内容を表示」すれば,oadl8.app/Contents/MacOS/pluginsまで行ける.

なお,フォントをインストールするためにAWLPhonetics3U.TTFをダブルクリックしたらNumbersが立ち上がってしまうという人は,「このアプリケーションで開く」で”Font Book.app”を選びましょう.

5月 062014
 

日本の大学は疲弊している.他の先進国と比較して元々多くはない予算が削減され続けている上に,安定した地位で教育・研究に携わる人員も減り続けている.その上,外部資金を獲得するために,キラキラネームな新組織に配分される予算を獲得するために,申請書を書き,申請通りにうまくやっています/やりましたという報告書を書くために,多くの時間を費やしている.しかも,研究費不正使用等が発覚するたびに,費用対効果を考えることなく厳しくなる規則と煩雑化する手続きに,研究者は時間を奪われている.実際,部局長の前で全所属教員が「不正経理はしていません」という宣誓書に自筆署名するといったことが行われているのが日本を代表する大学の実態である.

しかし,申請書の作成,進捗状況や最終結果の報告に多大な時間を費やし,一部の不届き者のために無暗に厳しくなる規則に翻弄されているのは,日本の研究者だけではない.米国も同様の問題を抱えている.そのような状況において,米国の研究費助成組織であるNSF (National Science Foundation)から,「過度な規則が研究者から研究時間を奪い,税金を無駄にしている」という内容のレポートが出された.

National Science Board. 2014. Reducing Investigators’ Administrative Workload for Federally Funded Research. Arlington, VA: National Science Foundation (NSB-14-18)

90ページに及ぶレポートだが,ここでは参考のために,”EXECUTIVE SUMMARY”と”CONCLUSION”を転記しておこう.

EXECUTIVE SUMMARY

The past two decades have witnessed increasing recognition that the administrative workload placed on federally funded researchers at U.S. institutions is interfering with the conduct of science in a form and to an extent substantially out of proportion to the well-justified need to ensure accountability, transparency and safety. A 2005 Federal Demonstration Partnership (FDP) survey of investigators found that principal investigators (PIs) of federally sponsored research projects spend, on average, 42 percent of their time on associated administrative tasks. Seven years later, and despite collective Federal reform efforts, a 2012 FDP survey found the average remained at 42 percent.

In December 2012, the National Science Board (NSB, Board) convened a Task Force on Administrative Burdens (Task Force). The Task Force issued a request for information (RFI) to identify which Federal agency and institutional requirements contribute most to PIs’ administrative workload and conducted a series of roundtable discussions with faculty and administrators. The most frequently reported areas associated with high administrative workload were financial management; the grant proposal process; progress and other outcome reporting; human subjects research and institutional review boards (IRBs); time and effort reporting; research involving animals and institutional animal care and use committees (IACUCs); and personnel management. Other areas frequently addressed were subcontracts, financial conflict-of-interest (COI), training, and laboratory safety and security.

Investigators and institutions acknowledge their responsibility to ensure transparency, accountability and safety in the conduct of federally funded research and, thus, that rules and regulations are necessary. However, they also mentioned an array of areas where those rules and regulations could be eliminated, streamlined, or harmonized across agencies to significantly reduce unnecessary regulatory burden. Further, there is a perception that we have lost focus on the science and introduced requirements that are not necessary for the assessment of merit and achievement, accountability, or the protection of research subjects. These requirements often come at considerable cost to investigators and institutions and yield a loss of valuable research time, particularly when not harmonized across Federal agencies. Investigators and institutions perceive a lack of consideration for the cost and benefit of new regulations, suggesting that the cost is often far greater than the benefit, and that there were no means to assess their effectiveness. Once implemented, regulations are not easily modified or eliminated.

Investigators at many institutions suggested that a culture of overregulation has emerged around Federal research, which further increases their administrative workload. This overregulation was associated with a perceived increase in auditing practices and resulting institutional concerns about liability. Increased Federal reporting and compliance requirements, coupled with insufficient reimbursement of costs associated with federally funded research and a resulting decline in institutional administrative support at some universities, are reported to have added significantly to the faculty workload in tracking information, gathering administrative data, and preparing reports at the expense of performing research.

Many of the issues raised have been highlighted in previous surveys and reports for more than a decade. Failure to address these issues has resulted in wasted Federal research dollars. At a time of fiscal challenges and with low funding rates at many Federal agencies, it is imperative that these issues are addressed so that researchers can refocus their efforts on scientific discovery and translation. The Board offers several key, overarching, recommendations and a series of policy actions aimed at modifying and streamlining those requirements that are essential to ensure the proper performance of federally funded research.

この要旨では,例えば以下のようなことが指摘されている.「研究代表者は平均42%の時間を管理業務に費やしている」「効果を評価することもなく導入される新しい規則の多くは,導入による利益よりもむしろ損失の方が大きい.しかも,一度導入されると,簡単には改正も破棄もされない」「これらの問題を解決してこなかったことで研究資金が無駄になってきた.研究者が再び研究に注力できるようにするために,これらの問題に直ちに対処しなければならない」

CONCLUSION

Several cross-cutting themes emerged from the RFI responses. Respondents indicated that growth in Federal requirements, lack of standardization across Federal agencies, increasing use of non-standard electronic systems, and a lack of sufficient or high-quality administrative support has resulted in PIs spending a greater proportion of their research time on administrative tasks. Regarding new regulations aimed at reducing fraud, waste, and abuse, many respondents expressed the view noted by FASEB survey respondents that regulations “punish all” for the “mistakes of a few” and suggested that these regulations fail to meet their intended goals. Respondents also suggested that unclear guidance and “aggressive” audits lead to greater institutional burden as institutions overcomply to avoid sanctions.

Respondents noted that postdocs, graduate students, and laboratory staff spend research time addressing institutional and funding agency requirements and that IRB/ IACUC, general training, and safety requirements can prevent students from conducting independent research or laboratory work generally. Most PIs and institutions suggested that new requirements are not improving how science is conducted or improving safety and that the current situation is untenable.

To reduce burdens, respondents recommended the harmonization of agency guidelines; standardization of agency forms, requirements, and methods of submission; and standard language and templates for forms and procedures. Similarly, respondents recommended reducing initial grant proposal requirements, progress reports, financial reports, and other requirements to the minimum needed.

The responses to the RFI provide valuable insight into the administrative workload that PIs and institutional administrators incur while applying for and executing Federal grants. With responses from faculty members, administrators, and institution officials, the collective insight not only substantiates information from previous work, but also provides new information and recommendations that can guide the Task Force as it seeks to address the administrative burden incurred by Federal grantees.

この結論に書かれている問題点は,米国のことでありながら,日本の現状と酷似している.例えば,「規則は『少数の誤ち』のために『全員を罰する』もので,目的を達成できていない」「不明瞭な指示や攻撃的な会計検査が組織の過剰防衛を招き,組織に過度な負担をかけている」など.

日本でも現在の高等教育行政への不満はよく耳にするが,このようなレポートが影響力のあるところから出てくるだろうか.そこが日米の差なのかもしれない.ともかく,何とかしないといけないのは確かだ.

なお,このレポートは”The Scientist”でも取り上げられている.

NSF: Researchers Need Regulation Relief

The National Science Foundation’s governing board calls for the easing of administrative requirements so that scientists can focus on their work.

5月 012014
 

対象は製造業や医療など様々ではあるが,研究室では主にデータ解析に関連する研究に取り組んでいるので,4月に新しく研究室に配属された学生に必要な知識を身に付けてもらうために,毎年4〜5月にデータ解析ゼミを実施している.

このデータ解析ゼミでは,学生数名にテーマ(データ解析手法)を与えて,勉強してもらった上で,講師として研究室の教員や学生を相手に解説してもらう.本年度のテーマ第一弾は,重回帰分析(M1担当),主成分分析(B4担当),線形判別分析(B4担当)の3つだ.

もちろん,講師役を務める学生には担当した手法を理解して使えるようになってもらわなければならないし,他の学生にも少なくともゼミで取り上げるような基礎的な手法は理解しておいてもらう必要がある.

しかし,学生にとって,このゼミの目的はデータ解析手法を理解することだけではない.理解することに加えて,

  • 勉強の仕方
  • 説明の仕方
  • 質疑応答の仕方

を身に付けることが求められている.

テキストを読んで理解したつもりになるくらいなら,一人で簡単にできるだろう.わざわざゼミで講師として説明してもらい,「は?そんなの当然でしょう.そんなことも知らないの?」と思うような質問を教員や先輩がするのはなぜか.ほんの少しでも説明に飛躍があれば,すぐに「そこ,わかりません」と説明を求めるのはなぜか.それは,自分が何を理解していて何を理解していないのかを,自分で把握できるようになるためである.当然の(ように思える)ことを質問されて答えられないのは,誤魔化していた証拠だ.理解していないのに,理解しているつもりになっていたからだ.説明に飛躍があるのに本人が気付いていないのは,論理的に考えられていない証拠だ.勉強が雑だからだ.まず,そういう中途半端にしか理解できていない状態に違和感を抱かない自分に気付く必要がある.そして,自分が何を理解していて何を理解していないのかを自分で把握できるようになる必要がある.そのための切っ掛けを与えるために,データ解析ゼミを実施している.ゼミでは先輩や教員が質問してくれるが,自問自答できるようになってもらいたい.

研究室配属されるまでの大学での勉強は,高校までの勉強と大差なかったかもしれない.しかし,研究に取り組むからには,テストで60点取れれば良かったときの勉強方法を捨て去る必要がある.完璧に理解しないと,正しく使えないし,さらに発展させることなどとてもできそうにない.

誰かに教えるというのは非常に効果的な勉強方法である.本を読んでわかったつもりになっていても,いざ人に説明しようとすると説明できないという経験がある人は多いだろう.理解していないことは人に説明できない.だから,データ解析ゼミでは学生に講師役を務めてもらう.生徒役の教員や学生が納得するような説明ができたなら,その内容について講師役の学生は理解できているとみなしていいだろう.加えて,上手に説明できる能力そのものも大切である.自分の研究成果を説明できないなら,誰もその研究成果を評価しない.自分が伝えたいことを正しく伝えられることは,仕事だけでなく,普段の生活でも大切である.

多くの学生にとって,そして研究者にとっても,修羅場になる危険性が高いのが質疑応答である.卒業研究発表会で,修士論文発表会で,あるいは学会で,ボコボコにされたという人もいるだろう.私もそういう現場を何度も目撃してきた.質問者の意図を正確に読み取り,簡潔かつ的確に答えるのは簡単なことではない.すぐにできるようになるものでもない.場数を踏む(質疑応答に慣れる)必要もある.データ解析ゼミで飛んでくる先輩や教員からの質問に必死に答えることで,徐々にではあっても,質疑応答にうまく対応できるようになるだろう.もちろん,本人が理解していないことは答えようがないわけで,優先順位を間違えてはならない.口先だけの人間にはならないようにしたい.

こういう狙いを秘めたゼミであることを理解して,さあ,今日もゼミやりましょうか.

主要アドバイス一覧

勉強,レポート作成/論文執筆,研究発表/プレゼンテーションについて,主に卒業や修了を目指す学生へのアドバイスの一覧

(2015年1月15日リンク追加)