5月 112014
 

世界で初めて(日本以外でやろうと思う国はないでしょうけど),クロマグロの完全養殖に成功したことでも有名な近畿大学水産研究所.今では,そのままの「近畿大学水産研究所」という名前の直営レストランを,大阪と銀座に出店するまでになっていますが,完全養殖を実現するまでの研究は実に大変だったようです.

近畿大学水産研究所がマグロ養殖技術開発に関する研究を開始したのは1970年です.1979年になって,ようやく養殖生け簀内での産卵と孵化に成功するも,なかなか育てることができず,1982年から1994年までの12年間は産卵も途絶えてしまったそうです.そのような状況の中で1991年に所長となった熊井氏は,20年もの間結果を出せないでいるクロマグロの完全養殖に関する研究を継続すべきかどうか悩み,近畿大学第二代総長の世耕氏に相談したそうです.そのとき,世耕総長が熊井所長にかけたのが次の言葉です.

生き物とは,そういうものですよ.簡単にいくはずがない.気を長くもって,長い目でやってください.

その直後,1994年に再び産卵に成功し,初めて沖出しにも成功したものの,完全養殖が成功するには,さらに2002年6月まで待たなければなりませんでした.研究開始から,なんと32年です.完全養殖マグロが出荷されたのは2004年でした.

なんとも凄い研究です.よくぞ続けたと,その根性と執念に感服します.もちろん,クロマグロ以前に多くの魚の養殖に成功した実績があり,養殖した魚を販売した売上を研究費に活用できる仕組みを構築していたことは,進捗のない研究を継続する上でとても重要だったことでしょう.それでも,32年ですよ.

一方で,昨今の大学を取り巻く状況を鑑みるに,大学や研究の在り方,マネジメント,総長の器など,色々と考えさせられる話でもあります.

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