3月 152015
 

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法
斉藤淳,KADOKAWA/中経出版,2014

BookSaito2014

英語塾を主催している斉藤淳氏の「世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法」を読んだ.本書では,イェール大学でPh.D.を取得し,その後,イェール大学で教鞭も執った著者が,イェール大学の語学教育を紹介しつつ,英語を使えるようになるための勉強方法を紹介している.

イェール大学の語学学習環境の充実ぶりには驚くが,そのような環境を入手できるのはごく僅かな人であるため,日本国内の凡人でもできる勉強方法が何であるかが焦点となる.著者が強調しているのは,効率的に英語を身に付けられる英語勉強法の重要性である.そのためには,現実的な状況の中で活きた英語に接するために,動画を活用するのがよいという.また,発音ができるようにならないと,聞き取りはできるようにならないという.もちろん,語彙も大切だが,単語帳で英単語の和訳を暗記するような方法は試験対策だけにしておくのがよいという.具体的なアドバイスについては,本書を読んでもらうとして,下記の目次を眺めれば,雰囲気は掴めるだろう.

これから/心を入れ替えて/効率的に英語を学習しようという人にとっては,テーマごとに紹介されているテキストが大いに参考になるだろう.日本語の本も含まれるが,英語で書かれた英語の教科書,動画(DVDやpodcast),辞典など様々なものが紹介されている.本書では,繰り返し,日本語で書かれている受験勉強本には変な例文が満載なので,それで勉強しないようにとの注意がなされている.この点も踏まえて,「英語を」勉強するだけでなく,「英語で」勉強することが効果的であり,英語で書かれたテキストを使って勉強すると共に,英語でドラマやニュースを見たり,英語で書かれた本を読んだり,自分が興味のある分野について「英語で」勉強することが勧められている.

日本の学校英語がいただけない例として,”should = had better”と教えるのは良くなくて,迂闊に”You had better…”なんて使うと酷いことになりかねないとか,”will = be going to”ではないとか,いくつかが挙げられている.パズルを解くかのような受験英語に染まってしまった人の中には「えっ,そうなの!?」と驚くような内容もあるだろう.

なお,当然ながら,本書を読んで英語が使えるようになるわけではない.ここに書かれているような世界標準の方法で英語を勉強することによって,英語が使えるようになる.本書を読んで「そんなことは知っている」と言う人は,英語勉強法の知識が足りないのではなくて,英語の勉強が足りないのだ.

実は,本書を読んで,紹介されているテキストのいくつかを研究室の学生用に購入してみた.まだ効果はわからないが,購入したもののいくつかを紹介しておこう.

目次

 
 
Prologue 「英語、今度こそ!」というあなたに…
 
1 世界の非ネイティブエリートは英語をどう学んでいるのか?
・イェール大学の学生たちは,語学をどう身につけているか?
・頭を使うだけでなく,全身でダイレクトに学ぶ
・「状況」に飛び込もう!!「動画」が最強のツールだ
・「動画」で学んだ知識は,使いやすく,忘れにくい
 
2 世界の非ネイティブエリートがやっている発音習得法
・正しい発音はネイティブから学べない
・発音記号を知ると,発音がよくなる
・ABCを「本来の音」で正しく読めますか?
・「本物の発音」をつくるなら,除菌ティッシュと鏡
・声を1オクターブ下げて「腹式呼吸」で発声する
・語末の「t」の音は,語源の「息」で決まる
・シャドーイングは「単語」に始まり,「演説」に終わる
・発声を「スペル」にせず,「音」のまま再現する
・「R/L」の違いではなく,「R/L/ラ行」の違いを押さえる
・家でこっそり練習するなら,iPhoneにコーチしてもらおう
 
3 世界の非ネイティブエリートがやっている単語習得法
・単語には「意味」ではなく,「絵」を結びつけるべき
・「奥行きのある語彙力」は「動画」で身につく
・単語への「反応速度」を上げる「TRP環境」のつくり方
・前置詞は「日本語の意味」を覚えてはいけない
・使えるボキャブラリーは,「単語帳」では増えない
・語彙数を「爆発」させるには,「英語以外」を学ぶといい
・辞書のカバーを捨てて,「準備体操」をさせよう
 
4 世界の非ネイティブエリートがやっている文法習得法
・日本人には有利な「短期集中」型の文法復習
・「論理的」に読みながら,「英語の勘」を養うには?
・イェールの学生もやっている「文法の丸暗記」とは?
・「時制」の理解が進むと,英文法は飛躍する
・英語のニュアンス,9割は「助動詞」に
・couldはcanからの「2つの距離」を示している
・「状況のストック」に加えて,「ロジカルな理解」も求められる
 
5 世界の非ネイティブエリートがやっている最強の英語勉強法
・「読む・聞く・書く」よりも,まず「話す」を優先すべき理由
・エリートの反射神経も,「パターン」と「メモ」から成り立つ
・自分の英会話を「客観視」できていますか?
・「自分を語れない」かぎり,その言葉はマスターできない
・「声に出す」ように「文字にする」のが第一歩
・butから英文を書きはじめてはいけない
・「書き方」を知っている人は,「読む」のが圧倒的に速い
・「リスニングが最も難しい」と断言できる理由
・動画ニュースを書き起こすと,一挙両得になる
・「これ!」と決めたら,500回繰り返そう
・まず一冊,英語で本を読んでみよう
・「英語のため」ではなく,「自分のため」に英文を読む
 
6 世界の非ネイティブエリートは英語を「勉強」しない
・「修業」を続けていても,あなたの世界は広がらない
・大人のほうが,英語を短期間で学びやすい
・ネイティブスピーカーへの幻想はもう捨てよう
 
Epilogue イェールを辞めた私が、英語塾をはじめた理由

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