京都大学の財務報告書2015(平成26事業年度)が配布された.詳細に興味がある人には財務報告書を読んでもらうとして,社会,学生,教職員の立場から,京都大学の現状を把握するのに役立つ情報を厳選してメモしておこう.
国民1人あたりの負担額
京都大学に対する国民1人あたりの負担額=780円.
計算式は次の通り.
(業務実施コスト803億円+受託研究・受託事業等49億円+科学研究費補助金等126億円)/人口1億2543万人.
ちなみに,法人化当初の平成16事業年度には,京都大学に対する国民1人あたりの負担額は846円だったので,10年で66円減少している.
学生1人あたりの教育関係経費
学生1人あたりの教育関係経費=260万円.
このうち,学生納付金等(入学料282000円や授業料535800円)は61万円であり,運営費交付金収益等から199万円が支出されている.学生が支払う費用の3倍もの経費をかけて,京都大学は学生を教育しているわけだ.「授業料を払ってるんだから・・・」という学生の主張に説得力はなく,それより3/4を負担してくれている社会に対する自分の責任を自覚した方がいいだろう.
教員1人あたりの研究関係経費
教員1人あたりの研究関係経費=2065万円.
計算式は次の通り.
(経常費用等67640百万円+研究用資産支出額14151百万円)/教員3961人.
ちなみに,この5年間,教員1人あたりの研究関係経費はほぼ一定で大きくは変化していない.
経常収益と経常費用
経常収益と経常費用は1592億円.
収益の内訳: 運営費交付金34%,授業料等9%,付属病院収益21%,受託研究等18%,寄附金3%,補助金等5%,科研費等間接経費2%,その他8%.
支出の内訳: 人件費43%,教育6%,研究15%,診療14%,教育研究支援2%,受託研究費等18%,一般管理費2%,借入金利息等0%.
ざっと以上だ.ここでは京都大学の財務について紹介したが,これが国立大学法人の平均的な姿でないことは指摘しておきたい.
支出から計算する教育費と学生数から計算する教育費が合わないようですが・・
支出 1592億円×(教育6%+教育関係支援2%) = 127.4億円
学生数 (学部13569人+大学院9216人)×260万円/人=592.4億円
学生数は
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/data/copy_of_students
によります。
学生1人あたりの教育関係経費の算出法がわかれば教えていただきたいです。
そこは計算式を掲載していませんでしたね.手元に財務報告書がないので,具体的な式や数字はわかりませんが,財務報告書2014はウェブで閲覧できます.ここで同じ計算式が使われているはずですので,参考にして下さい.
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/public/issue/financial_report
早速のご返信ありがとうございます。人件費総額の46%が教育関係費に含められているとのことでした。
学生一人当たり経費が3年間で100万円近く上昇しているのも、おそらく人件費が原因ですね。
2014年度の急増している原因は財務報告書に書いてありましたが,覚えていません.すみません.ただ,人件費ではなかったはずです.