3月 102016
 

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南山大学名古屋キャンパスで開催された計測自動制御学会(SICE)制御部門マルチシンポジウムに参加した.我々の研究室からは,私の他に学生5名が参加した.

今回は私自身も発表したので,一緒に参加した学生から,どのような準備をしたのか?という質問があった.その質問に答えるとともに,この機会に,学生の発表を見ていて感じたことをメモしておこう.

今回私が発表したのは,この春に就職する修士課程学生の研究成果だ.その研究成果は完全に学生のものであり,私は広報担当にすぎない.その学生が修士論文発表会で使用したスライドを譲り受け,それを改変して私の発表に利用した.もちろん,修士論文発表会と学会とでは,発表の目的も聴衆も全く異なるので,始めから終わりまで,スライドは抜本的に改変した.私が発表に使用したスライドは事前に見本として研究室の学生に配布しておいた.

発表準備については,今はもう原稿を作成することはない.スライドだけ作成して,時間調整を目的として,事前に軽い発表練習をするだけだ.今回の制御部門マルチシンポジウムでは,発表15分と質疑応答5分の計20分という持ち時間だったが,本番での発表時間は15分±数秒程度の誤差だった.

発表に関しては経験がものをいう.このため,場数を踏めば,事前準備にそれほど時間をかけなくてもよくなる.ただ,イントロ(という建前の世間話)をダラダラと話して,肝心の内容を時間の都合で飛ばしてしまう人もいるのが現実だ.そういうプレゼンをする人は,残念ながら,しかし当然なことに,学生を含む若手よりもベテランに多い.歳をとると批判もしてもらえないので,改善される見込みもない.学生諸氏には,将来そうならないように,スライドも原稿も完璧に準備する訓練をしてもらいたい.

今回初めて学会参加した学生は,学会で様々な発表を見て,字が小さい,そんなの読めないだろ!,字が多すぎる,そんな見にくいスライドではダメだ!,などといつも私が繰り返していることの意味が実感として理解できたようだ.話を聞くだけで理解して実行できればよいが,なかなか期待通りにはいかない.研究室内の発表練習で繰り返し注意しても,期待外れのスライドを作り続ける学生もいる.そのような状況にあって,反面教師を見るというのは効果的なようだ.是非とも,今後のスライド作成に反映してもらいたい.

学会発表を前に,スライドだけ作って原稿を作らないというのは論外だ.プレゼンを上手にしたいなら,スライドと原稿を作り込んで,推敲に推敲を重ねる必要がある.そして,原稿を頭に叩き込んだ上で,何回も何回も練習する必要がある.練習すれば発表はうまくなる.確実にレベルアップする.だから徹底的に練習すべきだ.

問題はその先にある,質疑応答だろう.こればかりは,研究の背景や関連分野も含めて,いかによく理解しているかが問われる.このため,質疑応答は一朝一夕に何とかなるものではない.思うように答えられず,ボコボコにされて,実力不足を痛感したなら,必死に勉強・研究するしかないだろう.国際会議で英語で発表したなら,英語を習得するモチベーションも得られるだろう.悔し泣きする経験も必要だ.

質疑応答では,鋭い質問もあれば,的外れな質問もある.どのような質問であっても,その質問から多くを学んで欲しい.中には,「それ説明したよね.聞いてなかったの?」と思うような質問もあるだろう.そのとき,質問者をバカ扱いするのは簡単だが,自分のスライドや説明の仕方が悪かった(少なくとも完璧ではなかった)としたら,どこをどう直せばもっと理解してもらえたか.そのように考えてみて欲しい.そして,次回は今回よりも良いスライドで良い発表をする.より多くの聴衆に,より正しく自分の研究を理解してもらう.できることなら,より楽しんでもらう.そういう姿勢で,自分が受けた質問を振り返り,将来のプレゼンに活かしてもらいたい.学会発表に限らず,フィードバックは大事だ.それを活かせたら強くなれる.

3月は学会シーズンなので,これから発表という学生や若手も多いことだろう.健闘を祈ります.

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