4月 022016
 

子どもたちが身を乗り出して聞く道徳の話
平光雄,致知出版社,2014

道徳

著者の平光雄氏は,小学校の学級担任として30年以上のキャリアを積んできたベテラン教諭で,これまでに問題を抱えた多くの子供たちを立ち直らせてきた手腕で高く評価されているそうだ.その経歴の中で,児童の道徳心を育むために生み出されたのが,紙芝居やイラストを使う独特のスタイルだ.

当然のことながら,最初から目論み通りの成果があがる教育方法など作れるものではない.平氏も,全く効果がなかったことが数多あると告白している.それでも,失敗しても諦めず,前進し続けた結果が本書「子どもたちが身を乗り出して聞く道徳の話」である.

本書には,その累々たる失敗の歴史の中で,「確かに子どもたちの心に伝わり,残った」と実感できたものだけを集めた.すべて子どもたちを相手にした実践をくぐらせたものばかりである.

実際,本書を読んでみると,教えている徳目そのものは何も目新しいものではない.当たり前のことばかりで,まともな人間なら当然身に付けているべきものばかりだ.しかし,様々な家庭環境で育ち,価値観もバラバラであるはずの小学生の心に確かに届けるための工夫にこそ本書の魅力がある.なるほどなと感心しながら読んだ.

自分が読むだけではあまり意味のない本だと思う.本書を読んで,子供に伝えるというようなことをして初めて生きてくるのだと思う.

目次

第1章 真っ直ぐに生きる心を育てる
  自尊 自分の中にいるもう一人の自分
  自信 どんなに揺れても折れない心
  自律 節度を保って生活する
  勇気 心に火をつける
  素直 人の優れたところを認める心
  友情 大切なのはどんな心でつながっているか
  主体性 先回りできる人になる
  感謝 意識して育てなくては生まれない

第2章 社会で生きるルールを身につける
  信用と自由 楽しいことはタダでは手に入らない
  奉仕 「自分だけのこと」から卒業する
  寛容 平気で失敗できる仲間を作る
  礼儀 「ありがとう」と「すみません」が基本
  思慮 自己確認する習慣
  配慮 やられて嫌なことを他人にしない
  独立 もたれあっていてはいけない
  注意 気づかないことは悪である

第3章 ものごとにいかに取り組むか
  初動 まずは気合が大事
  関心 何かを好きになるにはエネルギーがいる
  根気 一歩一歩着実に進む
  誠実 「言ったこと」はきちんとやる
  丁寧 「心を込めて」「念入りに」
  集中 一心不乱に取り組む
  節目 自分で「節」を作る
  忍耐 安易に口にしてはいけない言葉
  継続 成功するために必要な続ける力
  不屈 最後の最後に立てばよい
  成功 (目標の達成)あきらめないことが成功の鍵

第4章 人間ってなんだろう
  個性 「変なところ」も認めてあげる
  向上心 誰にも良いところと悪いところがある
  明朗 本来人間は明るく輝いているもの
  命の尊重 人間は一人で生まれてきたのではない