3月 302017
 

凡事徹底 — 平凡を非凡に務める
鍵山秀三郎,致知出版社,1994

凡事徹底

著者は,イエローハット(前身はローヤル)創業者にして掃除で著名な鍵山秀三郎氏.

本書「凡事徹底」では,その副題にある通り,誰にでもできる平凡なことを徹底してやり抜くことの大切さが説かれている.鍵山氏の場合,その平凡なことが掃除ということになる.掃除をすることを通して,小さなことにもよく気付く人物になる.それが良いことを引き寄せることに繋がるという.その他,枠をできるだけ小さく使うという生き方も勧められている.自分に与えられたものを使い切ろうとするのではなく,少し残すようにする.例えば,宴会場を10時までと言われたら,その少し前には使い終わるようにする.そうすることで枠が広がっていくという.鍵山氏の教えは,因果応報の具体例とも言えるだろう.良い会社や組織をつくる,人を幸せにする,幸せになる,そのために何を為すべきか.そのようなことを考えるヒントを与えてくれる本だ.

本書には,浅野喜起氏との対談が収録されている.その中で,鍵山氏が掃除を始めた経緯が紹介されているので引用しておく.ローヤル創業時の話だが,切実な事情があったわけだ.もちろん,そうだからといって,殆どの経営者は掃除などに見向きもしないわけで,鍵山氏の非凡さが光る.

与えられてるものを最大限に生かすことを考えなければならないと思ったんです.そのためには何をしたらいいか.それにはまず掃除をして,いまいる場所を少しでも高めようと思いました.これが私が掃除に目を向けようと思った第一歩なんです.

零細企業ですから,社員が外へ仕事に出ると,必ず屈辱的な思いをして帰ってきます.屈辱的な思いをしないということがない.毎日なにがしか必ずあるんです.とても人にはいえないような辱めを受けて帰ってくることもあるんですね.

そんな思いを抑えて帰ってきて,汚いトイレを見たら,もっと怒りがわき上がってくるんですね.屈辱的な思いをするのは,これは私どもに力がないわけですから仕方がない.しかしトイレをきれいにしておけば,少なくともその怒りが増幅されることはない.そういうふうにしたというのが私の願いでした.

大きな字で書かれている読みやすい本でもあるので,まだ読んでいないという人は,一度読んでみたらどうだろう.きっと何かしら感じるものがあると思う.

目次

 
序のことば — 坂村真民
凡事徹底
縁をつなぐ
企業の質をどう高めるか