5月 142017
 

考具 ー 考えるための道具、持っていますか?
加藤昌治,CCCメディアハウス,2003

考具

博報堂のアイデアマンが,アイディアをどんどん出すためのネタの集め方やアイディアの出し方を整理したのが本書「考具 ー 考えるための道具、持っていますか?」である.「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」という,「アイデアのつくり方」(ジェームス・ウェブ・ヤング著)で提示されている定義を踏襲している.このため,いかに既存の要素を集めるか,いかに既存の要素を組み合わせるかが重要であり,そのための道具が紹介されている.

以下に,アイディアを出すのに役立つ考具をザッと列挙しておく.(本書で紹介されているすべてではない)

  • カラーバスを使う.ある色を決めて意識すると自然に目に付く.関係なさそうなものが結び付く.色ではなく形や位置や音などでもよい.
  • 聞き耳をたてる.通勤電車でカフェでファミレスで居酒屋で.流行っているものや仕事のことなど生の声を聞く.
  • 思い付いたことや気になったことをメモする.ちょこっとでよい.手を動かすことが大切.文字だけでなく絵も使うと効果的.
  • 顧客とか誰かの立場になって考えてみるというとき,頭で考えるだけでなく,実際に体を動かして,成り切る,演じる,疑似体験する.
  • フォトリーディングを使う.文字情報も画像として捉え,右脳を活用する.何度も全体に目を通す仕組みになっているのがポイント.「あなたもいままでの10倍速く本が読める」(シーリィ著)に詳細あり.
  • 現場に行く.現場を知る.質問する.取材する新聞記者のように.専門用語もわかるまで噛み砕く.
  • アイディアを紙に手書きする.タイトルを大きく書いて,あとは二言三言.一案一枚で30枚は書く.殴り書きでよい.しょうもないのも臆せず書く.少しだけ違うのも書く.全部書く.抑制しない.拡げて拡げて拡げまくる.
  • 付箋(ポストイット)を使う.一枚にネタ一つ.思い付いたことを何でもそのまま書く.書きまくる.適当に貼る.アイディアが出てきたら,付箋は放置する.付箋に書くことが目的ではない.
  • マンダラートを使う.中央に問い掛けとなるテーマを書く.その答えを周囲の8セルに書く.各セルについて同様の作業をすると,それで64個のアイディアが生まれる.評価や判断はしない.ひたすらアイディアを出す.
  • マインドマップを使う.大きめの横長の紙を用意して,中央にテーマを書き,周辺にサブテーマを書く.関係するものは線で結びながら,どんどん外に拡げていく.マンダラートの数制限がないバージョン.
  • アイディアスケッチにパワーポイントやテキストエディタも使える.手書きの代わり.字が汚くて読めないという事態にならないのがいい.ただ,手書きが好きな人でもiPad Proを使うとかすればいいよね.
  • 連想ゲームをする.テーマから離れていっても止めない.むしろ離れるのも大切.どんどん広げる.アイディアが出てきたらメモする.最初まで途中まで引き返してから始めるのもよい.
  • オズボーンのチェックリストを使う.いくつかの問いに答えるだけでも全部の問いに答えるのでもいい.アイディアを生み出せる可能性が何倍にもなる.
  • ブレーンストーミングを使う.4つのルールを守る.IDEOの7つの秘訣も参考に.「発想する会社!」(ケリー&リットマン著)に詳細あり.

紹介されているオズボーンのチェックリスト,ブレーンストーミングの4つのルール,IDEOの7つの秘訣を下記に示す.

<オズボーンのチェックリスト>

  1. 転用したら? 
    現在のままでの新しい使い道は?
  2. 応用したら? 
    似たものはないか? 真似はできないか?
  3. 変更したら? 
    意味、色、動きや臭い、形を変えたらどうなる?
  4. 拡大したら? 
    大きくする、長くする、頻度を増やす、時間を延ばすとどうなる?
  5. 縮小したら? 
    小さくする、短くする、軽くする、圧縮する、短時間にするとどうなる?
  6. 代用したら? 
    代わりになる人や物は? 材料、場所などを代えられないか?
  7. 置換したら? 
    入れ替えたら、順番を変えたらどうなる?
  8. 逆転したら? 
    逆さまにしたら? 上下左右・役割を反対にしたら?
  9. 結合したら? 
    合体、混ぜる、合わせたらどうなる?

<ブレーンストーミングの4つのルール>

  1. 他人の発言を批判しない.
  2. 自由奔放な発言を歓迎する.夢物語でもよい.
  3. 質より量を求める.
  4. 他人のアイディアに便乗する.

特に,年長者や職階が上の者は無意識にダメ出しする癖がついているので,一番目のルールを破りがちだ.常に自分の言動に注意しなければならない.また,数を出すことが大事であり,良い悪いといった評価はしてはならない.たくさんのアイディアを出すことに注力する.

<IDEOの7つの秘訣>

  1. 焦点を明確にする.
  2. 遊び心のあるルール.
  3. アイディアを数える.
  4. 力を蓄積し,ジャンプする.
  5. 場所は記憶を呼び覚ます.
  6. 精神の筋肉をストレッチする.
  7. 身体を使う.

本書で紹介されている考具を,そのいくつかでも日常的に使うことで,アイディアを生み出していこう.

目次

 
序章 広告会社でも最初は「ただの人」。今からでも全く遅くない! 
第1章 「アイデア」「企画」を考えるとは、何をすることなんだろうか? 
第2章 どうしたら“必要な情報”が入ってくるのか?―情報が頭に入ってくる考具 
第3章 展開・展開・展開!―アイデアが拡がる考具 
第4章 企画=アイデアの四則演算!―アイデアを企画に収束させる考具 
第5章 時にはスパイスを効かす!―行き詰まったときのアドバイス 
第6章 あなただけの『考具』を見つけよう! 
終章 頭の動き方がシステム化することこそ、本当の『考具』かもしれない