年齢別の本棚: 心から推奨する書籍

 

自分が読んで気に入った本,一読を勧めたい本を,いつ頃読むのがいいかという観点でまとめています.実際に読んだ本から数%を厳選してありますので,参考にはなると思います.

とりあえず,以下のように分類してあります.

  • 小学生に勧めたい本
  • 中学生〜高校生に勧めたい本
  • 高校生〜大学新入生に勧めたい本
  • 大学生〜大学院生に勧めたい本
  • 成人・社会人に勧めたい本
  • 親になる人,なった人に勧めたい本

なお,永遠に整備途上のページになります.


小学生に勧めたい本

本が読めるようになったら,やはり,偉人の伝記を読むのがいいと思います.立派に生きていこうとする心を育てるのには,親が範を示すのに次いで効果があるでしょうから.偉人伝以外の本を書いておきます.

子供と声を出して読みたい『論語』百章―人の品格を磨くために
岩越豊雄,致知出版社,2007

子供とその親向けに,論語を素読してもらうことを目的として書かれた本である.論語20篇499章から,子供にもわかりやすく,生活の指針となる 100章が選ばれ,原文,読み下し文,現代語訳,解説が記されている.解説は平易で,理解しやすい.論語の入門書として,大変良くできていると思う.


中学生〜高校生に勧めたい本

自分の人生について本気になって考える時期ですから,それに相応しい本を読みたいですね.

自分を育てるのは自分―10代の君たちへ
東井義雄,致知出版社,2008

本書は,教師であった東井義雄氏の,昭和55,56年に開催された2回の講演をまとめたものだ.どうか自分の人生を大切にして下さいというメッセージを中心に,非常に優しい語り口で,心に響くエピソードがちりばめられている.素晴らしい本だ.子供が中学生になるときにプレゼントしたい.

吉田松陰・留魂録
古川薫(全訳注),講談社,2002

「留魂録」は,吉田松陰が松下村塾の門下生にあてて記した遺書である.処刑直前に江戸の獄中で書かれた.書き終えたのは処刑前日の黄昏どき.このとき,松陰,三十歳.留魂録に託された松陰の熱い想いに,史伝にまとめられた松陰の波瀾万丈の生涯に,大いに心を打たれる.江戸末期から明治へと激動する日本の歴史に名を残した多くの志士を育てた吉田松陰.その思想家として,教育者としての態度を,我々は知っておくべきだろう.

愛と死をみつめて―ある純愛の記録
大島みち子,河野実,大和書房,2004

不治の病に冒された女子大生とその恋人が交わした文通の記録であり,純愛ものの原点.女性は手紙の中で,病気になったおかげで,人を愛することを知り,愛される喜びを知り,多くの親切な人々に支えられて,自分は本当に幸せであると書いている.もちろん,不治の病に冒されて,愛する人と一緒に暮らすどころか,一度の旅行にすら行けなくて,嬉しいわけがない.そんな境遇を呪いもしただろう.それでも,現実を肯定的に受けとめ,最後の最後まで前向きに生きようとし,自分は幸せだと感じている.なんとも立派ではないか.世に師と仰がれる方々の言葉を読むのも良いが,そのような言葉が,本書を読むことで,さらに心に深く刻み込まれたような気がする.

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記
仲宗根政善, 角川書店, 1995

10代の女の子たちが引率教師に従い,学徒隊として従軍し,兵士らの看護の任にあたる.米軍が沖縄本島へ上陸する前後のことだから,もはや日本の敗戦は決定的であったはずだが,艦隊に特攻機や人間魚雷という信じがたい手段で対抗するなか,それでも皇軍の勝利を堅く信じて,懸命に与えられた責任を果たす少女たち.6月19日,第三外科隊の壕にガス弾が投下され,学徒を含め100人を超える人々が殺された.「私の上には兵隊の屍がのしかかっていた.屍にはウジがわき,腐った肉を蚕食する音がはっきり聞きとれた...神谷さんがまだ手をしっかり握っていた.ゆり動かしても返事がない.よく見ると神谷さんの頭はなかった...」と,奇跡的に生還した女性が綴っている.第三外科隊の壕があった場所に,戦後,ひめゆりの塔は建立された.本書は,捕虜となった引率教師の一人が,奇蹟的に生き残った生徒たちの手記を集め,自分の体験とともに真実の記録として残そうとしたものである.日本は太平洋戦争でなんという大きな犠牲を払ったことか.過去を知らずして未来は語れない.


高校生〜大学新入生に勧めたい本

いよいよ自分の責任で自分の人生を決める覚悟をする時期です.自分は何のために生きるのか,どのように生きるのか,ということを学べるような本を読みたいですね.

人を動かす
デール・カーネギー,創元社,1999

良い人生を送るために,どのように人に接するべきか.人を味方にし,友を増やし,心豊かな人生を送るために,どのように人に接するべきか.この本には人心掌握の原則が書かれている.豊富な具体例が説得力を持つ.読むべき書物だ.大学院講義で複数の推薦図書を挙げたところ,学生が読んで参考になる,感銘を受けるという意味で,本書が一番良かったようだ.圧倒的な支持を得ていた.

青年の大成―青年は是の如く
安岡正篤,致知出版社,2002

高校生・大学生に是非とも読んで欲しいと思う.如何に生きるべきかということを,多くの実例を交えながら,わかりやすく説いている.必ずや,心に響くことが見付かるだろう.本書では,人間にとって最も大切なのは「徳」であり,徳性を身に付けるために修練しなければならないと説く.では,人間として自己を錬成するために必要なものは何か.それは,寸暇を惜しむこと,私淑する師と良い友人を持つこと,そして,愛読書を持つことだ.

ビジョナリー・ピープル
ジェリー・ポラス,スチュワート・エメリー,マーク・トンプソン,英治出版,2007

本書は,「ビジョナリー・カンパニー」の著者らが,政財界,宗教,芸術など様々な分野のビジョナリー・ピープルにインタビューを行い,成功し続ける人達の条件を明らかにしようとするものだ.本書に散りばめられたビジョナリー・ピープルの言葉には大いに刺激を受ける.非常に示唆に富む内容で,自分の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれる書籍だ.

[決定版]生きがいの創造
飯田史彦,PHP研究所,2006

飯田氏は本書で,「自分にとって有意義な価値観を自分自身の判断で選び取ることの大切さ」を訴えている.そして,自分に適した価値観を選ぶための情報として,死後の生命や生まれ変わりがあると信じることの妥当性を,科学的な研究成果を参照しながら示している.死後の生命や生まれ変わりを信じるか信じないかの判断は,本書で参照されている科学的研究成果を自分自身で確認してみてからでも遅くはないだろう.自分で確かめもしないで否定する人は,例えば,ガリレオが教会から受けた仕打ちを思い出してみるといい.人生とは何かについて考えるきっかけを本書に求めてみるのもよいだろう.特に,今の人生を辛いと感じている人は.

引き寄せの法則 エイブラハムとの対話
ジェリー・ヒックス,エスター・ヒックス,ソフトバンククリエイティブ,2007

人は,何かを強く望み,その実現を信じるならば,欲しいものを所有でき,なりたい人物になれ,したいことをできる.これは,人の思考が放つ振動が宇宙から共鳴するものを引き寄せるためである.これこそが宇宙を支配する法則,「引き寄せの法則」である.したがって,人はこの宇宙の法則を理解し,実践することによって,幸せな人生を謳歌することができる.逆に,自分が望むような人生を送っていないと感じる人は,「引き寄せの法則」を理解し,自分の思考を修正する必要がある.

話し方入門
デール・カーネギー,創元社,2000

人前で上手に話すための秘訣が書かれている.もちろん,単なるハウツウではない.人に伝えたいと切望するものがあること,周到に準備をすること,練習に練習を重ねて自信を持つこと,始め方と終わり方に注意すること,わかりやすく話すこと,そして,美しい言葉を身に付けることなどが挙げられている.人前で話すことの重要性を認識し,上手に話せるようになりたいと願う人にはきっと役立つ.


大学生〜大学院生に勧めたい本

この大切な時期を無為に過ごすことのないようにと願います.教養を身に付け,社会に貢献するための基盤をつくりましょう.勉強するのは当然で,それに加えて,寸暇を惜しんで良書を読みたいですね.

ドラッカーの遺言
P.F. ドラッカー,講談社,2006

20世紀最高の知識人とも評されるピーター・F・ドラッカー.彼が亡くなる直前のインタビューをまとめたのが,本書である.そこで扱われる領域は広く,しかも日本に焦点を当てた記述も多い.はじめてドラッカーに触れるという人にも,ドラッカーを敬愛する人にも,満足感を与える本であると思う.激動の21世紀を生きていくために,その足場を築くために,是非,本書を読んでみて欲しい.

経営者の条件
P.F.ドラッカー,ダイヤモンド社,2006

本書の対象は決して「経営者」ではない.組織において意志決定を行う知識労働者すべてが対象である.本書の前提は2つ.1つは,エグゼクティブの仕事は成果をあげることだということ.もう1つは,成果をあげる能力は修得できるということ.その上で,成果をあげる能力を修得するためになすべきことが書かれている.知識労働者として成果をあげるべき人に強く勧めたい.

武士道
新渡戸稲造,教文館,2000

”BUSHIDO: The Soul of Japan”の邦訳本である.新渡戸稲造は,日本人特有の高い精神性,日本の道徳思想の源流を武士道に求め,日本の道徳思想を正しく外国人に伝えるために本書を執筆した.本書には膨大な引用がなされている.その範囲は,聖書を筆頭に,古代ギリシヤ,古代ローマ,ドイツ,フランス,イギリス,アメリカ,中国等々の哲学者,思想家,歴史家,詩人等々,実に多岐に渡っている.そのような本だからこそ,世界の心ある人々に強く訴えかけることができたのだろう.

ハーバードからの贈り物 – Remember Who You Are
デイジー・ウェイドマン(著),幾島幸子(訳) ,ランダムハウス講談社,2004

本書「ハーバードからの贈り物」には,15人の教授からのメッセージが収められているが,いずれのメッセージも教授各々の体験・人生に深く根差しており,読み応えがある.この本を読んで凄いと思ったのは,ある1つの大学院の教授陣が,自分の体験に基づいて,これだけのメッセージを学生にきちんと伝えているという事実だ.教授が自分の人生観を自分の言葉で学生に伝えていることだ.本書で語られている訓話を抽象化してしまえば,どれもこれも既に語られていることだろう.世の中に,哲学,自己啓発,人生論,リーダーシップ論などの書籍は掃いて捨てるほどある.そうそう新しい理論が出てくるものではない.しかし,語られているメッセージは浅薄な抽象論ではない.教員が自分の人生を通して学び,学生に伝えたいと切望した内容だ.真剣に講義を受講した学生が,こういう話を最終講義で聴けば,強い刺激を受けるだろう.その場にいることができない者としては,せめて本書「ハーバードからの贈り物」を読んで,雰囲気を味わうことにしよう.

リストラなしの「年輪経営」
塚越寛,光文社,2009

このような善良な経営者がいるのかと感激する.マネーゲームに奔走する金の亡者になってしまう前に,いや,なってしまった後であっても,一読を勧めたい.就職活動をする学生にも強く勧めたい.就職先を選ぶのも,そこで自分が幸せになりたいと願ってのことだろうから,社員を幸せにする会社とはどのような会社であるか,本書を読んで真剣に考えてみて欲しい.

日本でいちばん大切にしたい会社
坂本光司,あさ出版,2008

本書「日本でいちばん大切にしたい会社」で紹介されている会社では,社員の表情が明るく,会社に誇りを持って,活き活きと一生懸命に働いている.経営者は社員とその家族を大切にし,顧客を大切にし,地域社会に役立とうと精一杯のことをしている.その結果,素晴らしい業績をあげている.著者は「会社は株主のもの」という考え方に真っ向から異を唱え,幸せでない社員が顧客を幸せにできるはずがなく,そんな会社が株主を幸せにできるはずもないという.就職活動をする学生にも既に就職した社会人にも是非読んでもらいたい.

職業としての学問
マックス・ウェーバー(Max Weber),岩波書店,1993

本書は1919年,マックス・ウェーバーの晩年の講演をまとめたものであるが,100年後の今なお色褪せていないと感じられる.文章の読解しにくさには面食らうが,学問を職業とする人の心構えや学問の存在意義を明らかにしようとする本書は一読に値する.

自動車の社会的費用
宇沢弘文,岩波書店,1974

社会的費用というのは,受益者負担の原則が貫かれていないために,社会全体が被っている損失のことである.「自動車の社会的費用」とは,つまり,自動車を利用している人達がその社会的責任を全うせず,社会全体に押し付けているコストということになる.本書は,その社会的費用を算出しようという企てである.研究者や技術者が技術を評価する場合にも,コスト・ベネフィット的な考え方しかしてこなかったのではないだろうか.新しい時代の要請に応える評価方法を模索する必要があるのではないか.

成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート
D.H.メドウズ,D.L.メドウズ,J.ラーンダズ,W.W.ベアランズ三世,ダイヤモンド社,1972

ローマ・クラブの「成長の限界」について見聞きしたことがない人は恐らくいないだろう.本報告書は,人類が無為無策に傍若無人な振る舞いを地球上で続けるなら,100年もしないうちに,資源不足,環境汚染,食糧不足などを原因として,危機的状況に陥ると警告している.この警告が出されたのが1972年.それから30年以上が経ち,まさに警告通りの道を人類は歩んでいるのではないかという危機感を持つ.それと同時に,ローマ・クラブの先見の明に敬服する.近年,環境,エネルギー,資源,食料などの問題が深刻化しており,それに取り組む研究も多数あるが,この「成長の限界」をまとめるに至ったプロジェクトのように卓越した視点と手法によるものが,どれ程あるのだろうか.様々な観点から,一読しておくべき報告書だと思う.

神曲 地獄篇煉獄篇,天国篇
ダンテ(著),平川祐弘(訳),河出書房新社,2008

人類史上最高の文学作品とも謳われる「神曲」の主人公は,作者のダンテ・アリギエーリ本人である.「神曲」はダンテの旅行記であるが,旅先が地獄,煉獄,天国であるという点が尋常でない.人類の思想に多大な影響を与えた本書を,教養という観点からも,読んでおく価値はある.

幸福論
ヒルティ(著),草間平作(訳),岩波書店,1961

人間の幸福について書かれた本は数多くあるが,本書は素晴らしいと思う.少なくとも,ショーペンハウエルの「幸福について―人生論」よりも,私の感覚によく合う.ヒルティは幸福になるためには,正当に仕事をすること,善いことを行う習慣を身に付けること,神を信じることなどが必要であると記している.聖書やダンテの「神曲」からの引用が膨大であるため,「神曲」を読んでから本書を読むことを勧めたい.

人生の短さについて 他二篇
セネカ,岩波書店,1982

「人生の短さについて」,「心の平静について」,「幸福な人生について」の三篇からなる.人は時を浪費するのを止め,最高の善,徳を求める生活をすべきであると説く.決して取り戻すことのできない時間を他人が奪っていくことを問題視し,多忙にかまける人間を咎め,時間を自分のために使うべきとする.セネカはローマ皇帝ネロの教育係であり,政治家であった.新約聖書の時代であり,興味深い.

自省録
マルクス・アウレーリウス,岩波書店,2007

自省録は何度読んでも,難しいところが多い.元々,人に読ませたり,本として出版するために書かれたものでなく,ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスが文字通り自省しつつ書き連ねたものを,後世の人達が整理したものであるためだ.難しくはあるが,それでも,しっかり心に響く.私にとっては非常に良い本であり,座右の書である.

クリシュナムルティの教育原論―心の砂漠化を防ぐために
ジッドウ・クリシュナムルティ(Jiddu Krishnamurti),大野純一(訳),コスモスライブラリー,2007

クリシュナムルティは現代の教育を全否定する.それは完全に失敗したと.先進国では高等教育を受けた人々が贅沢な暮らしを謳歌しているが,争いや戦争が絶えず,貧困がはびこっている.悲惨な現実にまるで気付かないかのように振る舞う利己主義な人間を大量生産する教育.そんな教育が正しいはずがない.親や教師が「勉強しなさい」「良い大学に入りなさい」と子供に説くのも,すべては安穏とした人生を手に入れるためではないか.安定や安心を求める心は,恐怖や不安に突き動かされ,天下り的な社会の規則,なんとか教徒やなんとか民族,に自分を,そして子供たちを縛り付ける.それが自由な人間だろうか.心が鎖に繋がれた奴隷だろう.現代の教育は,そんな奴隷を量産しているにすぎない.そのような状態から解放され,真に自由な人間になるためには,まず,自分を縛り付けているものを自覚しなければならない.自分の内面に向き合って,自分が何者であるのかを知らなければならない.自分自身を知れとはそういうことなのだろう.本書は,スラスラと読めるような本ではない.巷に溢れる軽薄な教育本や勉強本とは次元が異なる.

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
ティナ・シーリグ(Tina Seelig),高遠裕子(訳),阪急コミュニケーションズ,2010

非常に示唆に富む本だ.本書を際立たせているのは,これがスタンフォード大学で起業家精神について教える集中講義の様子を伝えていることだろう.常識を疑うスキルを磨くための演習,ルール破りを実践するための演習,チャンスを見極めるための演習,失敗から教訓を引き出すための演習などが紹介されており,実に興味深い.多くの自己啓発本のように,自分のためだけに読むこともできるが,教育に活かすこともできる.本書を読んで,自分の行動を見直すこともできたし,自分がやりたい講義についてのヒントも得られた.自分の可能性を広げるために,自分で設けた限界を壊すために,学生も卒業生も読んでみることを勧めたい.


成人・社会人に勧めたい本

「子曰く,年四十にして悪まるるは,其れ終らんのみ」

人を伸ばす力―内発と自律のすすめ
エドワード・L. デシ,リチャード・フラスト,新曜社,1999

非常に多くの気付きを得られる.子供,生徒,部下,さらには自分自身であってもよい.人を育てるという問題に興味があるのであれば,是非一度読んでみて欲しい.いかに我々が間違ったことを当然と思い込んでいるかに愕然とさせられる.人を育てるというとき,そのあるべき姿として,我々は,自分で設定した目標の実現に向けて自発的に努力できるような人を思い描くのではないだろうか.人がそのようになるためには,何が必要なのだろうか.本書は,このような問いに答えてくれる.

佐藤一斎「人の上に立つ人」の勉強―45分で読める『言志四録』+『重職心得箇条』
佐藤一斎(著),坂井昌彦(翻訳),三笠書房,2002

人の上に立つ人の心構えや戒めがまとめられた必読書として,江戸時代から今なお読み継がれている「言志四録」と「重職心得箇条」の現代語訳と解説である.著者の佐藤一斎は多くの人材を育成したが,その門下生には,吉田松陰,坂本龍馬,勝海舟らも師事した佐久間象山も含まれる.じっくりと味わい,自分の血肉としたい.

食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
安部司,東洋経済新報社,2005

食品添加物の神様とまで言われ,食品添加物を自在に操り,ヒット食品の数々を生み出してきた著者が,これまでの行いを悔い改め,食品の裏側を暴露し,本当の姿を消費者に伝えようとする本.著者が食品添加物販売の仕事を辞めたのは,自分が開発に携わったミートボールを,愛する我が子が美味しそうに食べる姿に衝撃を受けたからだという.廃棄処分されるしかないようなクズ肉に,これでもかというほど食品添加物を加え,子供が喜ぶ味に仕立て上げたミートボール.それまで売る側の理論しか頭になかった著者が,消費者の立場に立たされた瞬間だ.


親になる人,なった人に勧めたい本

子どもの成長にあわせて,親も成長しないといけません.

子育てハッピーアドバイス
明橋大二,1万年堂出版,2005

読めば,バカ売れする理由がわかる.子育てに悩み,奮闘しているママやパパが知りたい内容が,カラーのマンガやイラストを交えて,非常にわかりやすく描かれている.本書が支持される理由は,親が取るべき行動をマンガで具体的に示してくれている点にあると思う.耳障りの良い言葉が並んでいるだけで,結局どうしたらよいのかわからないという類の本ではなく,具体的にこうしてみたらと書いてある.とにかく,一度手に取ってみる価値はある.

子どもが育つ魔法の言葉
ドロシー・ロー・ノルト,レイチャル・ハリス,PHP研究所,1999

子は親の鏡と言われる.親の態度が子供に大きな影響を与えることは理解できても,具体的に,どのような態度を取れば良いのか,どのように声をかければ良いのか,となると,これは非常に難しい問題だ.本書は,身近で具体的な例を使いながら,様々な状況で,親が取るべき態度を明確に提示している.親となるときに一読する十分な価値がある.

子どもの話にどんな返事をしてますか? ―親がこう答えれば、子どもは自分で考えはじめる
ハイム・G・ギノット,草思社,2005

子供達と関わるために,親は特別なコミュニケーション・スキル(技術)を身に付けなければならない.これが著者のメッセージだ.そのためには,子供の感情は何であれ受け入れ,行動だけを規制する.甘やかしではなく,寛容な子育てを実践するために,本書は大変参考になる.様々な場面での親子のコミュニケーションについて,良い例も悪い例も具体的に紹介されており,自分の子育てを見直すきっかけを与えてくれるだろう.子育てについて真剣に考えている親たちに,是非読んで欲しいお薦めの育児書だ.世界中でベストセラーになるのも頷ける.

お母さんはしつけをしないで
長谷川博一,草思社,2005

子育てに悩む親へのカウンセリングで定評のある著者が,「しつけ」について解説した本です.子供に生じている様々な問題(いじめ,不登校,ひきこもり,少年犯罪など)のほとんどが,実は,しつけの後遺症だということです.本書は,「このようにしつけなさい!」と号令をかけるタイプの本ではありません.厳しいしつけが子供に与える影響,その後遺症,子供のためを思って厳しくしつけてしまう母親の気持ち,現代の子育て事情などを,具体的な例を示しながら解説し,母親はもっと気を楽にしていいのだというメッセージを送ります.結論は,タイトルにある通り,しつけをしないぐらいでちょうど良いのだということです.特に,小さい頃から勉強をさせるなという主張です.育児に奮闘中の人達はもちろん,これから育児をする人達,そして育児をする人達の周囲の人達,みんなが読むと良いでしょう.

じょうぶな子どもをつくる基本食
幕内秀夫,主婦の友社,2000

ご飯を主食とする,日本の伝統的な食生活の大切さと妥当性をわかりやすく解説している.パンを主食とする欧米型食生活が日本人に適さない理由,砂糖の危険性,アトピー性皮膚炎やアレルギー,便秘,乳ガンなどを改善または予防するための食生活,現在の学校給食の弊害などについて書かれており,特に子育て中の母親には読んで欲しい一冊だ.

子どもの教育
ルドルフ・シュタイナー,筑摩書房,2003

本書を読んでの感想は,第一に,やはりシュタイナー自身が書いたものを読まないとダメだということ.本書は,シュタイナー自身の手による教育の入門書である.非常に示唆に富む内容で,教育者はもちろん,子供を持つ親には是非一読を勧めたい.ただ,「霊学の・・・」とあるように,スピリチュアル(霊的)な部分を大切に考えるシュタイナーの思想なので,読みやすいシュタイナー教育の入門書を読んだ上で,その教育観に共感できたら読むといいのかもしれない.

親だからできる赤ちゃんからのシュタイナー教育―子どもの魂の、夢見るような深みから
ラヒマ ボールドウィン,学陽書房,2000

シュタイナー教育を志す母親達にバイブルとも言われる本.子供が生まれてから小学校に行くようになるぐらいまでを対象に,シュタイナー教育の考え方と具体的なアドバイスを与えてくれる.シュタイナー教育の指導者の資格を持つ翻訳者の力によるところも大きいのだろうが,とても優しく書かれていて,読みやすい.こういう育児方法があるのだということを知らないのは,もったいない.

七歳までは夢の中―親だからできる幼児期のシュタイナー教育
松井るり子,学陽書房,1994

米国に滞在した1年間,息子をシュタイナー幼稚園に通わせると共に,毎週1度の保育参加も経験した著者が,その幼稚園の様子を詳細に伝えてくれる本.シュタイナー教育がどのようなものであるかを知りたい人には,非常に参考になるだろう.大変読みやすく,押し付けがましくなく,幼稚園の様子,保育者の素晴らしさ,子供や大人の反応が素直に書かれていて,著者の感激がそのまま伝わってくる.シュタイナーなんて知らなくても,このような保育もあるのだと知るだけで大いに価値がある.育児に迷いがあるなら,是非とも読んで欲しい本.

幸せな子ども―可愛がるほどいい子になる育て方
松井るり子,学陽書房,1998

シュタイナー教育に魅せられ,親としてシュタイナー幼稚園を体験した著者が,生まれてから小学校低学年頃までの育児について,自分の考えをまとめた本.非常に優しい言葉遣いで書かれており,自分の意見やシュタイナーの意見を押し付けようとするのではなく,こういう育児もありますよと語りかけている.育児の参考書として,またシュタイナー教育の入門書として,素晴らしい本だと思う.できれば,育児を始めるまでに読みたい.

小学生と思春期のためのシュタイナー教育―7歳から18歳、12年間一貫教育
京田辺シュタイナー学校,学習研究社,2006

これは素晴らしい本だ.子供を持つすべての親に,あるいはすべての教師に,読むことを勧めたい.子供を大切に想う親や教師の気持ちが,本書から溢れ出ている感じがする.子供の教育のために,ここまで頑張れる人達がいるということに感動するはずだ.

「親力」で決まる ! 子供を伸ばすために親にできること
親野智可等,宝島社,2004

小学校教員の著者が自らの経験をふまえて,子供を伸ばすために親ができることを述べる.そのアドバイスは極めて具体的であり,納得できたなら,すぐに実行できるだろう.小学校の子供を持つ親,これから小学校に通う子供を持つ親には,読んでみることを勧める.必ずや,参考になることがあるだろう.

やさしい教育心理学
鎌原雅彦,竹綱誠一郎,有斐閣,2005

元々は,教職に就こうという人が教育心理学の基本を学ぶための書籍という位置付けだろうが,一般人にも十分興味深い内容だ.しかも,内容を身近に感じられるように上手に工夫されていて,大変読みやすい.流石,教育心理学の専門家が書いただけのことはある.「教育心理学」に興味があるかどうかは別として,とにかく読んでみて損はない.特に,子供を持つ親にとって参考になる話題が盛り沢山だ.

夜回り先生
水谷修,サンクチュアリ出版,2004

子供への接し方について深く反省させられる.非常に強いメッセージを発している,力のある本だ.子供を持つ親,持とうとする人,学校の教員,みんな読むといい.水谷氏のような生き方を誰もができるなんて思わないが,自分の子供にも,学校の児童,生徒,学生にも,そのような特別な関係にない子供にも,どのように接するべきかを考えるヒントが得られるはずだ.自分自身を含めて,社会がどれほど子供たちに辛くあたっているかにも気付くだろう.

おもちゃの王様―世界中で愛され続ける定番ベストガイド
相沢康夫,PHP研究所,2003

厳選されたおもちゃの定番78製品が紹介されている.(1)一定の期間製造販売され続けている,(2)奇をてらわずシンプルである,(3)子供に媚びず,子供を馬鹿にしない,(4)子供の発達をふまえている,という4つの基準を満たすおもちゃだ.子供にどんなおもちゃを与えるべきか悩んでいる人には,是非読んでもらいたい.店頭で悩むよりも,この本で予習してから買いに出掛ける方がよい.